表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第5巻 ニクス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/90

第14章 烈陽の下で

 朔に別れを告げて、婪に乗って再び暗影回廊アンエイカイロウへと走った。


 門はまだあった。押し開けて中に入ると、そこは空っぽだった——ニクスはいなかった。


 あの椅子だけが何事もなかったかのように、元通りに立っていた。


【……さっきまで椅子は倒れていたのに、今はきちんと立っている。蛍も消えたし、破片もない。まるでリセットされたみたいだが、何かが足りない気がする。】


 血痕も消えていた。


 長い間、その椅子を見つめていた。


 やるべきことは一つだけだ。


「婪、ここで待っていろ。」

「何をするんだ何をするんだ?」

「椅子に座る。」

「一緒に座れないのか?」

「お前の火で燃えてしまう。」

「わかったわかった。」


 翼耳ヨクジを羽ばたかせて、椅子の上に飛び乗った。


 座った瞬間、強い眩暈が襲ってきた。視界が広がり、重くなり、四肢に肉があり、毛皮が骨を包んでいる——俺は婪になっていた。完全体の婪だ。頭と尻尾だけの奇形じゃない。毛皮には不規則な星型の模様があった。


 目の前は真っ暗だった。


「婪、早く出てこい。この部屋はお前が来る場所じゃない。」


 ニクスの声だ。


 そして扉が押し開けられ、光が差し込んだ。


 彼女の姿がはっきり見えた——若くて傷のないニクス。華やかな服、精巧なマント、顔には傷がなく、牙もない。


「わかったわかった。」


 口から出た言葉は、まるで他人の声を聞いているようだった。婪が代わりに答えているのだ。


 椅子から飛び降りようとすると、四肢が地面に着いた瞬間にうまく支えられず、前に倒れそうになってからやっと立ち直った。


「気をつけて、子猫ちゃん。」ニクスが俺を抱き上げた。「急ごう。ヘリア様を待たせてはいけない。」


 彼女は俺を抱えたまま部屋を飛び出し、回廊を抜け、美しい庭園を通り抜けた。


 あちこちを見回す——石柱、アーチ、廊下の曲がり方。すべてが不気味なほど見覚えがあった。


 あの荒廃した長い通路とまったく同じだ。ただここは完全な状態で、その先には高い場所へ続く階段があった。


 ニクスが足を緩め、俺を地面に下ろした。


「もう抱っこはできない。しっかりついてこい、婪。」

「いいぞいいぞ。」


 彼女について階段を上った。


 階段の先は開けた広場だった。天から光が降り注ぎ、雲が裂けて、陽の光が滝のように地面に降り注いでいた。その下には大勢の人が跪いていた。


 高いところに誰かが座っていた。光が強すぎて、輪郭しか見えなかった。


 声が響いた。「来たな、我が名を与えしニクスよ。さあ、私の隣に座れ。」


 この声を聞いたことがある。どこで聞いたんだっけ?


 ニクスはうつむいて歩み寄り、一礼した。最後まで顔を上げなかった。


 もう一歩前に出てよく見ようとした瞬間、光が一筋降り注いで、まぶたが焼けるように熱くなった。


 そして彼女が振り返るのが見えた——その角度、見下ろすその目つき。


【……影とまったく同じだ。】


「ペットはおとなしく端にいろ。誰がお前を主人と並ばせていいと言った? 下がれ。」


 彼女が言うとき、口元が微かに動いた。

【その笑い方まで同じだ。】


 突然、すべてがわかった。

【彼女がヘリアだ。】


「ニクス、何度言ったらわかるんだ。お前の犬をきちんと躾けろ。こんなに礼儀知らずでどうする。」

「はい、ヘリア様。もう一度教え直します。」

「教える? 罰するのが正しい。もう過ちを犯した。後で私が直接監督する。」

「婪はまだ幼くて、体も弱いです。たくさんの食事が必要で……」ニクスの声がどんどん小さくなる。「どうか傷つけないでください……」

「もしお前が手を下したくないなら」ヘリアが遮った。「お前が代わりに罰を受けろ、ニクス。」

「……わかりました。ただ婪を傷つけないでください。」

「本当にお前はあの犬を愛しているんだな、ニクス。儀式の場で私にやきもちを焼かせるつもりか?」


 彼女はニクスの首を掴んだ。彼女の体から光が炸裂し、まるで空全体が燃え上がったかのようだった。雲が焼け溶け、下で跪いていた人々の一部が燃え上がった。悲鳴が響き渡るが、誰も立ち上がらず、燃えていない者はさらに深く頭を下げた。


 熱くて、俺は逃げ出した。


 隅に三つの檻があった。赤角羊、黒斑豹、灼痕蛇——前に外で出会ったあの三体の「太陽の欠片」が、すべて中にいた。柵には古い爪痕と火傷の跡があり、檻の中は生き物とは思えないほど静かだった。


 一瞥して、またニクスを見た。


 彼女はうつむきながら、ヘリアに引かれて前に進んでいた。


 あの三つの檻を振り返らなかった。一瞬も。足を緩めることもなかった。


【……彼女はあの檻のことを知っている。中にいるものが何かもわかっている。】


【そしてこの先に何が待っているかも知っている。だから見ることができないのだ。】


 しかし婪はついていった。ニクスが「ついてこい」と言ったことを覚えている。


 俺はその体の中にいて、彼女が見たものを見た。


 扉が背後で閉まった。


 そして場面が切り替わった。


 別の集団が見えた——儀式には参加せず、隅に集まっている。声が一つ聞こえる。落ち着いていて力強い。


「まだわからないのか? 何年も続く作物の減産は、本当に日照時間が短いからなのか? 元凶はあの烈陽だ。私たちはまだ彼女を信奉し続けるべきなのか? 彼女は気まぐれで、穏やかにもなれば暴虐にもなる。ニクス様が夜を長くしたのは、私たちが生き延びるためだ。今日の儀式での彼女の立場はお前たちも見ただろう——彼女は何も悪いことをしていない。私たちは彼女を助けるべきだ。」


 またあの謎の女だ。どの記憶の断片にも現れる声。今回ははっきりと話しているが、やはりその顔は見えない。


 そして場面が変わった。


 回廊の奥、あの部屋。扉は完全には閉まっておらず、灼痕蛇が中から出てきたときに扉が少し開いた。


 その隙間から覗いた。


 ヘリアがニクスを椅子に押し倒してキスをしている。ニクスの口元から血が流れ、彼女は押さえつけられ、手は椅子の座面に食い込ませて、指の関節は白くなっている。涙が頬を伝い、ヘリアの手の甲に落ちた。


 ヘリアは一瞬止まり、自分の手の甲の水滴を見下ろして、笑った。


「……泣くなよ。これがそうなるって、最初からわかってただろ。」


 そう言って、またキスをした。ニクスの指は椅子の縁に食い込んだまま、離されなかった。


 場面が再び変わった。


 数人の者がこっそりと刀を作っていた。彼らはその刀をニクスの前に差し出した。


「あなたの力を込めれば、彼女を殺せます、ニクス様。」

「いや、できない。彼女は私の姉だ……」

「でも彼女はあなたを本当の家族だと思っていますか?」


 その者が顔を上げ、まっすぐに見つめた。

「太陽が私たちを滅ぼそうとしています。私たちは地下に逃げました。抵抗が必要です。本当に皆を目覚めさせられるのは、あなただけです。」


 ニクスはその刀を受け取った。


 深夜。ヘリアは彼女を抱きしめて深く眠っている。ニクスは刀を握りしめ、手は震えていた。黒い何かが彼女の掌から滲み出し、刀身を伝って刃全体を浸した。


 彼女は突き立てた。


 ヘリアの首から溢れ出た液体は橙赤色で、晨骨とまったく同じだった。


 俺は記憶から弾き飛ばされた。


 戦場に立っていたのはヘリアだった。あの刀はまだ彼女の首に刺さっている——記憶の中でニクスが突き立てたものと同じだ。彼女の背後にもう一つの影があった。非常に薄く、少しずつ消えかけている。


 ニクスだった。もうすぐ消えようとしていた。


 ヘリアが両腕を頭上に掲げた——またあのポーズだ。また円い太陽だ。


 このポーズを二度見たことがある。一度は影の模倣、一度は黒い球体が落ちる前の形。


 しかし今回は違う——彼女自身がそこに立っていて、動作は完全で、伸びやかだ。黒く、縁は暗い赤い光を放っている。


 あの橙赤色の光が、ニクスが消えた場所に浮かんでいた。


 彼女は去った。遺燼イジンが残された。


【—システム通知:【名無しの遺燼イジン】を獲得しました。—】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ