第12章 暴走する舞踏
ニクスの傷は塞がったが、その部分の皮膚は完全に黒くなっていた。まるで内側から焼き尽くされたかのように。
彼女はうつむき、体がまだ完全に安定していないのに、再び動き始めた。
踏み出し、腕を振り、体を回す。影もそれに合わせて動く。永遠に糸で繋がれているかのように。
しかし彼女の独り言はどんどん大きくなっていた。閉まらない箱のように。
「腕の振りをもっと大きく、ステップは小さく……」
「違う違う、そうじゃない。」
「こうだ、こうなんだ……」
「彼女が教えたことだけ覚えてるのか? 私の舞踏はこんなんじゃない。」
「覚えてる、覚えてる……でもまだ彼女が見てる。」
言いながら、ようやく影を見て、目を閉じた。
紙片のようなものが彼女のマントから舞い出した——一枚、二枚、どんどん増えていく。地面に落ちると、蠢き、伸びて、ぼんやりとした暗色の形になる。
それが何かは言えない。ただこちらに向かって突っ込んできた。
婪が飛び退く。しかし下を見ると、自分はまだ同じ場所にいた。
【……違う。彼女も一緒に動いてるんだ。】
「婪、全力で走れ。できるだけ遠くへ。」
婪が急加速する。後ろの奴らは数歩追いかけて、それから突然目標を失ったように散開し、影の中へ戻っていった。水面に溶け込むように沈んでいった。
さらに距離を取る。彼女が何匹放っても、追いつけない。
ニクスがようやく止まった。再び腕を上げ、手首を回す——あのジェスチャーだ。
二つの暗球が現れ、一つは速く、一つは遅く、こちらに向かって飛んでくる。足元にも同時に暗色の領域が現れ、内側へ収縮している。
【また同じパターンか。】
「婪、尻尾だけで跳べるか?」
「もちろんもちろん!」
暗球が迫った瞬間、婪が尻尾を強く弾かせて高く跳び上がった。
慣性を利用して体勢を調整し、落ちる瞬間、刃を影の首の反対側に叩き込む——
硬直。刃が食い込んだ。フラグの飾りが光る。前より強く。
影が激しく揺れた。内部で何かが断裂したように。
ニクスが自分の首を押さえ、体が微かに震える。HPはもうほんの少しだけ残っている。
そして彼女は泣いた。頬に淡い光が浮かんでいた。
「いやいやいや、彼女に会いたくない……」
「泣くな! 彼女はお前がそうするのを見たいんだ!」
二つの声が争う。そして影が動いた。距離を保つのをやめ、ニクスに向かって歩き始めた。
一歩一歩が確かで、まるで自分の領土を歩くように。影はニクスの手を握り、彼女の背後に回り、両腕を頭上に引き上げる——またあのポーズだ。また円い太陽だ。
【……違う、彼女と融合しようとしている。】
気づいた時にはもう遅かった。影がニクスの背中に貼りつき、少しずつ染み込んでいく。融合する部分から白い光が刺さり、熱波が一層ずつ押し広げられる。婪が後退を余儀なくされる。
「婪! 突っ込んで止めろ!」
婪が突進する。しかし白い光が強すぎて、近づくことすらできない。
影がニクスの体内に没入した。
彼女が浮かび上がる。肌は完全に黒くなり、焼け尽きた木炭のように、表面が絶えず蠢いている。口元の裂け目が開き、橙赤色の欠片が内部から落ちていく。一つ一つが、晨骨と同じ質感だった。
【……晨骨は彼女の体内のものだったのか? じゃあ影は一体誰なんだ……】
考え続けることはできなかった。
マントが閉じ、全身を包み込み、まるで成形されつつある黒い球体のようになる。そして地面に向かって急降下した——どんどん速く、どんどん大きくなる。地面が震え、空気が押しつぶされてほとんど呼吸ができなくなる。
「婪——!」
言い終える間もなかった。
球体がぶつかってきた。
———
目を開けると、教会の穹頂が見えた。
体は無事だったが、胸にはまだ押し潰されたような窒息感が残っていた。
起き上がり、周囲を見渡す。婪は篝火のそばに縮こまっていて、俺が起きたのを見ると立ち上がり、尻尾を二回振った。
「……お前も死んだのか?」
「死んだ死んだ。」
その口調はあっけらかんとしていた。
しばらく篝火を見つめた。
ニクスの最後の一撃……もし影が融合しようとしていることに早く気づいて、もっと早く突っ込んで止めていたら、死なずに済んだかもしれない。
でもあの影は……いったい何なんだ?
それに彼女が口にしていたあの「彼女」って……
……まあいい。
炎の先が指先の下で跳ねた。手を引っ込めた。




