第8章 崩落(ホウラク)
赤角羊が頭を下げ、四つの蹄を踏み鳴らして、無秩序に走り回り始めた。
【俺に向かって突っ込んでくるわけじゃない?】
その動きを注視していると、俺の下を走り抜ける。急に跳び上がって角で突き上げるのを警戒し、本能的に少し距離を取った。
ちょうど距離を取ったその瞬間、地面の焦げ跡が急速に燃え広がった——無数の火壁が地面からアーチ天井まで立ち上り、前後から挟み撃ちにして、通路全体を隙間なく埋め尽くす。
動ける範囲が極限まで狭められ、火の勢いも不規則で、まるで法則がなかった。
もう飛び続けるのは無理だと判断し、地面に降りた。
足をついた途端、赤角羊が目標を定めた。方向転換して突進してきて、後ろの焦げ跡も一気に広がり、退路を完全に塞いだ。
逃げ場はない。真正面からぶつかるしかない。
骨爪を握りしめ、タイミングを見計らって翼耳を羽ばたかせて跳び上がり、その角に向かって一爪振り下ろした。
赤角羊が頭を振ってかわす。
その体の側面に着地し、体勢を立て直す間もなく、焦げ跡から火壁が燃え上がった。
ぬいぐるみは火に一番弱い……
一瞬で燃え広がり、HPが半分以上も削られた。
【死ぬ死ぬ!】
慌てて転がるが、火はまったく消えない。
赤角羊が突っ込んできた。踏み潰そうとしている。
踏まれる寸前、何かがものすごい速さで俺をくわえ上げ、背中に乗せた。
同時に、体の火も消えた。
【婪だ! でもどうして……】
その毛はもはや毛ではなく、炎が骨や皮膚にまとわりついているようだった。全身が赤く輝き、まるで生きた炎の塊のようだ。
「また何か食べたのか?」
「火、美味しい美味しい!」
「お前、火まで食うのかよ?」
口元を舐めると、あの長い舌も炎の舌に変わっていた——ただ「大師」の白い光術の符文だけが舌の根元でかすかに光っていて、少し浮いていた。
【とにかく、婪が無事でよかった。】
炎の体になった婪は、火壁を全く怖がらなかった。
火壁の間を自由に駆け抜ける。少し体を伏せれば熱を避けられた。
赤角羊がまた突進してきた。婪を石柱の陰に隠れさせ、その隙に愈伤棉を食べてHPを回復する。
突進のたびに長い通路が激しく揺れ、砕けた石が次々とアーチ天井から落ちてくる。
ふと、ある考えが浮かんだ。
今の婪の光は十分に明るい。外の暗影を恐れる必要はない。
それに、一度赤角羊の角を折れば、黒斑豹と灼痕蛇を呼び寄せられる——もうこの長い通路に閉じ込められている必要はない。
逆に、この通路を利用して赤角羊を閉じ込めることができる。
「婪、石柱の周りを回れ。ぶつからせろ!」
「わかったわかった!」
婪が石柱の周りをぐるぐる回り、赤角羊が必死に追いかける。
一本、二本、三本……石柱が激しい衝突で次々と折れていく。
残るは最後の一本だけになった。
赤角羊はもう疲れ果てていた。荒い息を吐き、頭を振る動作も遅くなっていた。
俺はその隙を逃さず、婪の耳を引っ張って方向転換させ、跳び上がり、一爪振り下ろした——ひび割れた角が音を立てて折れた。
赤角羊のHPが一気に半分に減った。
一瞬固まり、地面に落ちた自分の角を見下ろした。
そして迷わず、蹄を上げて自分の角を踏み砕いた。
鈍い音と共に破片が飛び散る。
周囲の炎が新たな指令を得たかのように、一斉にこちらに向かって押し寄せた。
その力も戻ってきた。以前よりもさらに狂暴に。
第二段階。
「最後の石柱に向かって走れ!」
最後の石柱に向かって突っ込む。炎が追いかけてきて背中を舐めるが、婪の背中にいれば火はすぐに消える。燃え続けることはない。
背後で鈍い衝撃音が響いた。
長い通路が崩れ始めた。石がアーチ天井から落下し、石柱が砕け散り、建物全体が骨格を抜かれたように崩れていく。
「外へ出ろ!」
婪が俺を乗せて入り口を駆け抜ける。背後で通路が轟音と共に崩れ落ち、瓦礫が積み重なって廃墟となった。
赤角羊の巨体は石の山に押しつぶされ、頭だけが外に出ている。もう大きく頭を振ることもできなかった。
飛んでいき、最後の一撃を加える。もう一方の角も折れ、HPが完全にゼロになった。
赤角羊の体が灰になり始める。星の光のような点が灰の中から立ち上り、骨爪に吸い込まれていった。
遠くの闇から、低い豹の咆哮が聞こえた。
黒斑豹。
そして、あの見慣れた乾いた熱気も、静かに近づいていた。
骨爪を握りしめ、闇を見つめる。
【来い。次はお前だ。】




