第7章 日珥(プロミネンス)
あの視線がまた来た。
長い通路を離れてからというもの、黒斑豹はずっと外側の闇の中からついてきていた。
少しでも気を緩めれば、あの微かに光る瞳が暗がりで一瞬だけ輝き、振り返るとすぐに消える。焦らず、ただ待っている。
もっと緊張させるのは灼痕蛇だった——音もなく、前触れもなく、風の流れで通り過ぎたかどうかを感じ取るしかない。
【もう一度あの回廊に行ったはずなのに、どうして入り口がまた見つからないんだ……】
小僧はしばらく走り続けていたが、周囲の闇は一向に変わらなかった。
風が来た。
耳を引っ張って左に避けると、一陣の乾いた熱気がさっきまでいた場所をかすめていった。
すぐに右側で鈍い音が響いた——地面が割れた。黒斑豹が飛びかかって空振りしたのだ。
振り返る暇もなく、小僧の首を叩くと、さらに前へ走り出した。
炎の光が見えた。
長い通路だ。あの廃れた建物。壁の松明はまだ燃えている。また戻ってきた。入り口で黒い影が止まり、中までは入ってこなかった。
振り返って見ると——黒斑豹の目が外で一瞬光り、そして消えた。
【……三番目の柴の山は回廊の奥にあるはずだ。なのに回廊の入り口すら見つからない。もしかして……最初から回廊の中にはないのか?】
周りを見渡す。さっきは急ぎすぎて、よく見ていなかった。
改めてよく見ると、この長い通路は暗影回廊の構造とほとんど同じだった——アーチの位置、柱の間隔、通路の曲がり角の角度も、まるで同じ型から抜き出したかのようだ。
ただここはもっと荒廃し、もっと古く、壁に松明が増えているだけだ。
「……婪?」
試しに呼んでみた。
耳がピクッと動き、振り返ってこちらを見た。確認するように。
「柴の山の匂いがするか?」
しばらく地面に鼻をつけて嗅いだ。
「乾いた薪の匂い……ここだけにある。」
「燃えた後の匂いじゃないのか?」
「外側はそうだ。中にはタールと灰の匂いがある。薪の匂いは……ほんの少しだけ。」
「その匂いを辿れ。」
婪が右へ走り出した。しばらくして、三番目の柴の山が見えた。
前の二つよりずっと大きい。小山のように積まれている。
【回廊の中にない柴の山……引き寄せるものも厄介そうだ。】
「点火しろ。」
婪が光の玉を打ち込む。柴の山が光り、炎が立ち上った瞬間、見えない力が猛然と襲いかかり、婪を横倒しにした。
火は消えなかった。地面に倒れたまま、焦げた跡が一筋伸びた。
その焦げ跡が動いた。ゆっくりと、それからどんどん速くなり、こちらに向かって突っ込んできた。
婪を引っ張って逃げると、後ろから追いかけてくる。闇の中に虚ろな影が凝り始め、どんどんはっきりしていく。二本の石柱の間を飛び越えた時——ついにその正体が現れた。
巨大な羊だ。二本の湾曲した角は、凝固した光のように輝いている。
石柱がその頭突きで真っ二つに折れ、破片が飛び散る。立ち止まって首を振り、こちらの様子を探るように見つめてきた。
頭上にHPゲージが現れた。
【—システム通知:「烈陽の欠片——赤角羊」を発見しました。—】
【「角が先に折れ」……お前のことか。】
反手双刃を握りしめ、婪の背中を叩いた。
「行くぞ。」
婪が飛び出し、跳躍した。空中で角を見定め、一刀振り下ろした。
当たった。赤角羊が頭を振り、婪ごと俺を吹き飛ばした。
地面に叩きつけられ、婪の前胸に新しい焦げ跡ができた。
「熱い熱い!」
婪が地面を転がる。火は消えず——焦げた場所が燃え続け、毛が全部焼け落ちてようやく止んだ。その下の骨が見える。犬のものではない形だ。
【お前は今までいったい何を食べてきたんだ……】
「まだ動けるか?」
「大丈夫大丈夫!」
婪が体を起こす。脚はまだ震えている。
飛び乗って、長い詠唱を放った。拳が赤角羊に次々と命中するが、びくともしない。角には傷一つつかず、HPゲージは満タンのままだ。
【……フルHP?】
赤角羊は俺の拳に苛立ったのか、首を振る動作がどんどん大きくなる。前振りもなく、再び突進してきた。
「婪、跳べ!」
間に合わない。婪は吹き飛ばされ、地面を滑ってようやく止まった。前胸にまた焦げ跡が増え、火がすぐに燃え広がる。もう転がる力も残っていない。
翼耳を羽ばたかせて飛び上がり、空中に浮かんだ。
【もう自分でやるしかない。】
武器も魔法も効かない。試せるのはあの女がくれた晨骨だけだ。
赤角羊が地面の婪に注意を向けている隙に、晨骨を握りしめ、その角に向かって滑らせた。
赤角羊が顔を上げてそれを見た。
角に深い裂け目が入った。赤角羊が低くうなるような声を発した。羊の声ではない。
そして俺はある声を聞いた。
「……我が愛しき眷属たちも、また言うことを聞かぬようだ。」
【我?】
一瞬固まった。手の中の晨骨が熱くなり、燃え上がった。慌てて振り払うと——骨の灰が空中で砕け、再び集まって俺の手にまとわりついた。
骨の爪。燃える骨の爪。烈陽のような白い光が長い通路全体を照らし出した。
「しっかりと罰してやれ……」
赤角羊の視線はその骨の爪に釘付けになった。
この骨を知っているのだ。
しかしその瞳の奥には、憎しみだけが宿っていた。




