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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第5巻 ニクス編

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第5章 修復

「リリィ、どうしたのよ!」


 教会に戻った途端、朔に気づかれた。


 彼女は駆け寄って俺を持ち上げ、素早く篝火のそばに置いた。HPとスタミナは回復したが、両腕は依然として空っぽのままだった。

【やっぱり篝火では欠損は治らないのか……これは厄介だ。】


「いったい何があったの?」


 朔が俺の頭を撫でながら、声には焦りが混じっていた。

「どうしてこんなことに? 鎧が攻撃を防げなかったの?」


 シエルも寄ってきて、慌てた表情で言う。

「そんなはずないのに……」


「違う、鎧のせいじゃない。」

 俺は体を起こした。

「縫合剤を使わなすぎたんだ。コロティアのマップ以来ずっと使ってなかった。朔が布地を替えてくれればそれで済むと思ってた。」


 シエルが一瞬止まり、それからじたばたと足を踏み鳴らした。

「守護者様は布地の交換だけを担当してるのよ! あたしが縫合剤を売ってるのは、それには別の役割があるからなんだから! なんでそんな大事なことを忘れちゃうの……」


 そう言いながら俺の手に縫合剤を押し込もうとしたが、今の俺には受け取れない。


「腕は……持って帰れなかったの?」


 朔が指でそっと両肩の欠けた部分を塞いだ。


「怪物に追われてる間、小僧は武器だけは守れたけど、腕は拾えなかった。」

「武器ならまた打てる。」コーラが初めて口を開いた。

「わかってる。でも武器にはフラグ様の飾りがついてるんだ。それはなくせない。」


 その言葉を聞いて、朔の指が一瞬止まった。


 ほんのわずかだったが、俺には感じ取れた。

【……何か変なこと言ったか?】


 しかし彼女は何も言わず、指先に魔法陣を灯して、光の輪が肩から下へと伸びていった。


 両腕を再構築しているのだ。


 彼女の方を見ると、笑っているのに、額は汗でびっしょりだった。


 その汗は彼女の上にとどまれず、熱せられた鉄鍋に水が落ちるように、じゅっと白い湯気になって消えていった。


 平然を装っているが、目尻は常に潤んでいて、すぐに消えるものの、瞬きするたびにまた溜まっていく。


「朔、やめてくれ。」俺は言った。「辛そうだ。」


「大丈夫よ、魔法ですぐに腕は元に戻るから。」


 篝火が小さくなっている。炎が低くなり、熱も退いている。


 彼女はまた自分の命と引き換えに俺を完全にしようとしている。


「朔、もうやめてくれないか?」


 もがいて立ち上がり、彼女の手から飛び降りた。魔法陣は俺が離れたことで中断された。


「リリィ、おとなしくして。」朔の手が空中で止まった。「腕がなければ、何もできないよ。」


「もっと良い方法があるはずだ。君が命を削って俺を助けるなんて、もう見たくないんだ。自分で何とかする方法を考える。」


【多分、もう一度戻れば腕はまだ見つかるはずだ。さっきの蛍みたいに。】


「リリィはまだ見つかると思ってるの?」朔が聞いた。

「違うの?」


【考えてみれば俺はぬいぐるみだ。影に奪われただけで、完全に消えるはずがない。】


「リリィ、あなたはセレス様の後を継いだのよ。」


 朔が間を置いた。

「どうしてあなたなのかはわからないけど、確かなことが一つある——セレス様が失ったものは戻ってこない。あなたも同じよ。」


【……朔はなぜそこまでセレスのことを知っているんだ? 最初からずっとそうだ。彼女は俺にしか会ったことがないのに。】


「それは……」


「失ったものは、失われたままなの。」


【……いつからだろう、俺が「彼女たちを好き」だけじゃなくなったのは。】


 昔の俺は、誰の物語を見ても「いいな」と思っていた。誰と誰がどんなふうに接していても嬉しかった。誰かが傷つけば胸が痛んだ——でもそれだけだった。画面越しなら、痛みが去った後で食事だってできた。


 でも今は違う。朔が命を削って俺の腕を繋ごうとしている。フラグの飾りがなくなりそうになった時、自分の腕より慌てた。コロティアのあの自信のない心音を聞けば胸が苦しくなる。でも何を言えば踏み越えにならないのか、わからなかった。


【俺はもうセレスじゃない。俺はリリィだ。そしてリリィには、失いたくないものができた。】


 口を開けて何かを言おうとした。


 でもどこから言えばいいのか、わからなかった。


 しばらくして、自分から彼女の手の中に飛び戻った。


 魔法陣が再び光を放ち、両脇の空洞を少しずつ埋めていく。腕が戻っていく。その代償ははっきりと見えた。


「再生の祝福は、もうあげられないの。」


 朔の声はとても小さかった。

「ごめんね、リリィ。これからはもっと頻繁に戻ってきてね。」


「構わないよ。元々必要なかったんだ。」


 両腕が完全に戻った後、すぐに篝火のそばに跳び戻り、口で縫合剤の蓋を開けて、糸を肩口に吹きかけた。


【—システム通知:ほつれ状態を解除しました。—】


 やっぱり、実際にこの世界に来ていると違う。マイナス状態が限界まで溜まっても通知が来ないし、装備の消耗度も表示されない。


 新しい腕を動かしてみて、コーラのところへ行った。


「鎧はまだ直さなくていい。」


 彼女が一瞥した。

反手双刃ハンシュソウジンはだいぶ鈍ってるな。研いでやる。」


 武器を受け取り、うつむいて研ぎ始めた。


「そういえば、あの宝石は……どうなった?」

「彫り終わった。」

 コーラは顔を上げなかった。

「シエルが指輪にすると言ってた。」

「指輪? どうして?」

「元々の用途はもう必要ないと言ってた。詳しいことは本人に聞け。」

「じゃあ買わなきゃいけないのか?」

「ああ。」


 研ぎ終えた反手双刃を差し出した。武器の表面に小さな「+1」が浮かんでいる。


 武器を受け取る。

「このソウル貨は受け取ってくれ。」

「なぜだ?」

「あんたは二度も武器をタダでくれたし、魂鍛石コンタンセキもほとんど使ってない。こんなに助けてもらって、どうやって感謝すればいいかわからない。」

「輪廻の世界では武器は手に入りにくい。それを知ってるから手を貸してるだけだ。」

 彼女は顔を上げた。

「それに武器を作る材料はシエルが探してきてる。お前が感謝するなら、むしろシエルにすべきだ。」

「もう一つある。」

 コーラがまたうつむく。

「魂鍛石がどの輪廻の世界にも散らばってることに、不自然だとは思わないか? 今は武器の強化にしか使えないけど、もしかしたらそれだけじゃないかもしれない。」


【そういえば……考えたこともなかった。それに、もっと上のランクの魂鍛石もあったはずだ。】


【各世界を渡り歩いてこんなものを残していけるやつ……まさかまたあの女か?】


 考え込む間もなく、バッグの中で何かが動いた。


 虫の形をした装飾品だ。勝手に飛び出してきた。


 周りを見回す——シエルは棚を整理している。コーラは鉄床を拭いている。朔は石の台座に座り、目を閉じて片手で顎を支えている。


 誰もそのネックレスに気づいていない。


 俺だけに見えている。


 朔はやっぱり消耗が大きかったんだ。わずかにひそめた眉を見て、胸が締め付けられるように痛んだ。


【いつもこうだ。何かあるたびに、俺はただ迷惑をかけるだけだ。】


「先に行くよ。」

「うん。」コーラが応じた。


「そうだ、シエル。」

 振り返る。

「『大師』に会ったよ。頼まれてたものはもう渡した。」

「そうなの? よかった♡」

 シエルが手にしていた品を置いた。

「そうだ、コーラから指輪の話はもう聞いた? 改良が終わったら、『特別価格』で売るからね。ぬいぐるみが指輪をつけるなんて馬鹿げてるけど、役に立つものは誰だって欲しいものだしね、でしょ?」


 ネックレスはもう割れたステンドグラスまで漂ってきていて、もう少しで外に出ようとしていた。

【もう失くすわけにはいかない。】


「じゃあ戻ってきたら買うよ。」


 小僧にまたがる。

「あの虫について行くぞ。どこへ行くのか見てみよう。」


 小僧がネックレスを追って教会の扉を飛び出した。


 闇が再び押し寄せるが、ネックレスの微かな光は暗闇の中でもはっきりと見えた。


 それは何かを目指しているように見えた。

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