第4章 黒点(コクテン)
俺は火紅色の蛍の光を頼りに方角を確かめた。火光が見えれば、今どこにいるかがわかる。そして扉に刻まれていた地図を頭に思い浮かべ、次の柴の山を探す。
前の柴の山は行方知れずの灼痕蛇を引き寄せた。今度は何を呼び寄せるんだ?
【篝火があればいいのに。一度教会に戻って補給してからまた来られるのに。】
「これも点火するけど、今回は離れてやれ。」
「わかったわかった。」
小僧がまた尻尾で光の玉を叩き込む。でも今回は距離があったせいか、一回目は外れた。なのでもう一度打った。
柴の山が一瞬光ったが、すぐに消えた。
【火がつかなかったのか?】
「もう一度試せ。」
「いいぞいいぞ。」
小僧がまた光の玉を吐き出し、尻尾を振る——
光の玉が柴の山に届く前に、黒い爪がそれを叩き消した。
警戒して反手双刃を抜き、爪が引っ込んだ方向を見つめる。
闇の中で一対の瞳が光っていた。微かに輝き、こちらを見つめている。
黒豹のようなものだ。姿は豹に似ているが、体中に大小の黒い斑紋が散らばっている。呼吸に合わせてゆっくりと拡大・縮小を繰り返す——まるで皮膚の下で何かが呼吸しているかのようだ。
【—システム通知:「烈陽の欠片——黒斑豹」を発見しました。—】
その時、乾いた熱風がすぐ近くを掠めた。
灼痕蛇だ。いつの間にか来ていた。柴の山の後ろを横に滑るように通過していく。ゆっくりと、急ぐ様子もなく。
黒斑豹の視線が一瞬蛇の方へ逸れた。それからまた戻ってきて、俺たちを見つめた。
【どちらも柴の山に引き寄せられた……だが互いにも警戒している。】
「急ぐぞ小僧、急ぐんだ。」
小僧の頭を叩く。今度は強情にならず、すぐに振り返って走り出した。
しかし走っているうちに——何かが後ろからついてきているのを感じた。
小僧の耳は常にピンと立っている。後方の闇の中で、時に微かに光る瞳がチラリと現れては消える。水面下を泳ぐ魚のように。
突然、横から一陣の突風が擦り抜けた——灼痕蛇だ。近づいては来なかったが、通り過ぎただけだ。しかしその一瞬、別の方向から影が動いた。
黒斑豹だ。蛇の動きが俺の注意をそらすのを待っていたのだ。影の中から飛びかかってきた。
その体の黒い斑紋が急速に拡大と収縮を繰り返している。心臓が激しく鼓動し、また萎むように。この飛びかかりには重い衝撃が伴っていた。まるで内部から何かが炸裂したかのように。
咄嗟に刃を掲げて防ぐ。
「ドンッ——」
衝撃で体全体が揺れた。確かに防いだのに、その力がガードを突き抜けて両腕にまで響いた。
そして見えた——
俺の両腕が小僧の背中から滑り落ちていった。糸が一斉にほつれ、手にはまだ武器が握られている。
武器も落ちた。
小僧は驚いて、本能的に振り返った——しかし止まらなかった。
振り返った瞬間、落ちた両腕が闇の中に消えていくのを目にした。影が両側から押し寄せ、水のように絡みついて闇の奥へと引きずっていく。
小僧はなんとか武器だけをくわえ上げた。
両腕は完全にあそこに置き去りにされた。
俺は一瞬呆けた。体の両側が空っぽだ。肩の先には何もない。まるで一塊ごと削ぎ落とされたようだ。
下を向く——切り口の糸は、何度も揉まれた古い縄のようにほつれていた。切断されたのではない。
【衝撃で糸が切れた……でもこの糸はとっくに弱っていたんだ。】
どれだけ縫合剤を使っていなかった? コロティアのマップ以来、一度も使っていない。
輪廻をリセットするたびに、朔が布地を替えて縫い直してくれた。それで十分だと思っていた。死んでやり直せば全て新しくなると。
しかし、切れた糸は決して本当に消えたわけではなかった。ずっと体の中に残り、何層にも重なっていた。朔が直してくれたのは表面だけ、見えるところだけだった。下の糸はとっくに朽ちていた。
黒斑豹の衝撃は、最後の一撃を与えたに過ぎなかった。
切り口から綿がこぼれ落ち、走る風に巻き上げられて闇の中に散っていく。
HPが減り始めた。多くはないが、じわじわと確実に。綿が一枚飛ぶごとに、HPが少しずつ減っていく。
手がない。愈伤棉が食べられない。教会まで耐えるしかない。
「小僧! 止まるな! まっすぐ教会へ走れ!」
「走ってる走ってる!」
小僧は武器をくわえたまま、狭い通路をくぐり抜け、すでに忘れてしまった分かれ道を駆け抜ける。
背後からかすかに唸り声が聞こえたが、どんどん遠ざかっていく。
HPはまだ減り続けている。切り口から飛び出す綿がますます増え、両脇の布地はぺしゃんこになってきた。下を向く——もうほとんど残っていない。
前方に、教会の扉が微かに光っている。
小僧が勢いよく飛び込んだ。




