幕間 短い帰路
「おかえり、リリィ♡」
「朔はまだ戻ってない?」
「そうだよ。輪廻をリセットしても外にいるのは、守護者様だけだよね♡」
「じゃあ、戻ってきたら遺燼祭壇に行ってるって伝えておいて。」
「鎖魂獄の主も倒したの? リリィはやっぱり強いね。さすがあたしが見込んだだけあるよ♡」
「俺はあんまり関係ない。彼女自身が自分の決着をつけたんだ。ちょっと手伝っただけだよ。」
「謙虚だね~♡」
シエルの目つきが完全におかしい。急いでコーラの方を見る——彼女は顔も上げず、虫眼鏡のついた眼鏡をかけて何かを彫っている。
「もういいや、遺燼祭壇に行くよ。」
話を切り上げて、小僧にその場で待っているよう手で示し、青い蛍に触れた。
視界が揺れて、祭壇の中へ。
「リリィ、やっと来たね! 大丈夫だった? この世界の主と戦って、負担はなかった?」
最初に声をかけてきたのはコロティアだった。フラグとソノラは部屋にいない。
ソノラのブレスレットのおかげで、彼女の声がはっきりと耳に届く——正確には心音だ。でも彼女はまだ慣れていないので、手は相変わらず動き続けている。
「うん、特に負担はなかったよ。」
「やっぱり君だね、小さなやつ。」
ソノラが音楽堂から出てきて俺を見た。フラグもその後ろからついてきて、まだソノラに話しかけている。
「さっきのあのメロディーは——」
俺を見るまで。
「……面倒が増えた。」
口調が一瞬で冷たくなり、顔の表情が変わるのが早い。
【やっぱり誰も最初から何も気にしないわけじゃない。フラグだってそうだ。他の人たちの影響で、彼女も音楽に興味を持ち始めてるじゃないか。】
【でも俺が気になるのは、彼女がなぜそうなったかだ。あの断片的な記憶だけじゃ、全体像は見えない。もちろん、みんなの物語はそういうものだけど。】
「あのメロディーの名前は『面倒が増えた』っていうのか? 初めて知ったよ。」
ソノラが笑いながら言う。
【彼女は見物したいという気持ちを全然隠そうとしないな。】
「でも今回はちょっと面倒だったよ。性格が良くなかったからね。」
【カタイナの遺燼】を空いている場所に置いた。
木の家が再び動き始める。今回はカタイナの部屋にドアが一つ増えていて、外側から大きな鍵がかけられている。
でも鍵は外側にあるのに、どうしても開けられない。
【たぶん好感度が足りないんだろう……見てみると、やっぱり10%しかない。上がらないと入れないんだろう。】
鍵穴から中を覗いてみる——カタイナは兜をかぶっていないようだ。
【じゃあ絶対に彼女の好感度を上げなきゃ。あのきれいな白金の目が、どんな顔に合っているのか、本当に見てみたい。】
「全部鍵をかけなきゃ! このドアの鍵はどこだ?!」
カタイナが突然叫んだ。
「おお、声が大きいね。」
ソノラが眉をひそめる。
「鍵は外側だよ、カタイナ。」
「お前か? ここはどこだ?」
「遺燼祭壇だよ。あいつはもうお前が倒した。少し休んでいいんだよ。」
「もし彼女が戻ってきたらどうするんだ? まだ声が聞こえる……未知のものには最悪の事態を想定しなきゃ。私をここに閉じ込めてくれ! それが正しい判断だ!」
「ドンッ!」と一声、彼女がドアを叩いた。その後はずっとぶつぶつ言っている。
「彼女、本当に大丈夫なの?」
コロティアが心配そうだ。
「『私は『私』を外に出しちゃいけない』ってずっと言ってる……彼女、頭の方は大丈夫なのかな?」
ソノラが自分の頭を指さした。
フラグはまた無関心を装っていた。立っているけど、考えはもう別のところに行っている。
【彼女がカタイナを嫌うと思ってたのに——俺だけを嫌うのか? ちょっと悲しい。】
「カタイナはずっと邪悪な自分と戦ってきたんだ。だからこんなふうになってしまった。どうかみんな、彼女を理解してあげてほしい。」
「大丈夫だよ、小さなやつ。彼女がどれだけ焦っているかは聞こえてる。私の音楽を聴いたらどう反応するか、すごく楽しみだよ。」
「私たちも手伝うよ。」
コロティアもうなずいた。
「退屈だな……」
フラグがようやく意識を取り戻したが、次の瞬間には自分のベッドに寝転がった。
「おやすみ。」
フラグはいつも的確に会話を終わらせる。制作陣がわざとそうしているのかもしれない。もう何も言うことがないのはみんなわかっているから。
「じゃあ、俺は出ていくよ、みんな。」
「休んでね、リリィ。」
コロティアは笑っていた。表面上はその言葉だけだ。
でも彼女の心の中はもう——
「こんなに早く離れたくないな……」「リリィを抱いて寝たいな……」「ダメダメ、そんなこと考えちゃいけない。私なんかが彼女に釣り合うわけない……」
【すごく自信がないんだな。コロティアがそんな心の声を持っているなんて。】
励ましたい気持ちはあったけど、飲み込んだ。
【彼女の好感度は高すぎる。本当に踏み越えてしまいそうで怖い。でも何も言わないのはもっと良くないんじゃないか……】
「リリィ、何か言わなくていいの?」
ソノラの口調は軽かった。
また「読まれた」。
「みんなもゆっくり休んで。」
「はあ、やっぱり変わらないね。」
ソノラのため息を聞きながら、教会に戻った。
朔が帰ってきていた。
「おかえり、リリィ。」
「朔、怪我はなかった?」
「ごめんね、長く外にいて心配させたね。大丈夫、ただ人を探していただけだから、安全だったよ。」
【誰を?】
「朔の友達?」
「そう言ってもいいね。こういう輪廻の世界では、味方になってくれる人はみんな友達だよ。」
【この答えは完璧すぎて、聞いたのが無駄だった。】
「あの子のことは……進展があったの?」
朔が小僧を指さした。
「俺はもうあいつの言葉がわかるんだ。ちょっと聞いてみるよ。」
小僧の方を見る。
「お前は何者だ?」
「自分が何かはわからない。でもこの世界はちょっと知ってる……知ってる!」
【自分でもわかっていないのか?】
システムが新しいマップを知らせていた——「影」の力を持つニクスがいる暗影回廊だ。
【もし彼女がここに見覚えがあるなら、この世界に彼女の正体を示す手がかりがあるかもしれない。】
「自分でもわからないけど、この世界には自分のことを示すものがあるかもしれないって言ってたよ。」
「そうなの? それならリリィにもう少し頑張ってもらって、早くそのことをはっきりさせてほしいな。」
「任せて、朔。安心して。」
言い終わるとすぐに、朔が歩み寄って俺を抱きしめた。
「朔、ちょっと……!」
「リリィにはこれが必要かもしれないと思ってね。魂をもっと完全にすること、覚えてるよ。」
彼女の手のひらから温かさが全身に流れ込む。
【—システム通知:レベル17、HP825、MP455、スタミナ540、攻撃力105、防御力90。—】
【気持ちいい。これでまた少し心強い。】
朔が手を離し、そっと俺の頭を撫でた。
「行ってらっしゃい。新しい世界がまだ君を待っている。」
うなずいて、教会の扉の方を見る。
小僧はもう扉の前にしゃがみ込んでいて、尻尾をゆらゆら揺らしながら、一つの目で扉の隙間から差し込む暗い光をじっと見つめている。
「行くぞ、小僧。」
「行く行く!」
扉を押し開ける。外は深く長い回廊で、影が壁をゆっくりと這い回っている。まるで生きているかのように。
【暗影回廊……本当に真っ暗だな…】




