第17章 肩を並べて
「どうしてこんなに早く戻ってきたの? リリィ。」
【最初に話しかけたのがシエル? なんか慣れない。】
「朔はどこへ?」
「守護者様は何もおっしゃいませんでしたから、あたしも聞けませんでしたよ♡」
「いいんだ、すぐ行くから。まずはちゃんとお礼を言わせて。この鎧、すごくいい感じだよ。」
「どういたしまして♡ あれは『大師』のおかげだよ。最初はコーラに頼もうと思ったんだけど、大変そうでしょ? 彼女に頼んだらすごく楽になったんだ♡」
【『大師』が直したのか。数回会っただけで俺のサイズと重さがわかるなんて? ちょっと怖いな。】
「じゃあ彼女にもお礼を伝えておいて。」
「リリィが自分で言えばいいよ♡ 『大師』は神出鬼没ってことは、どこにでもいるってことだからね♡」
「そうだな。久しく魔法も教えてもらってないし。会ったらちゃんとお礼するよ。」
突然、シエルの売り場で金色の光点が一回転した。
【どうやら会話はまだ終わってないみたいだ。ようやく彼女たちのサブクエストか。】
「そうだ、あの人から頼まれたものを作ったんだ。届けてくれないかな?」
「もちろん。」
受け取ったのは銀色の鈴だった。
【でもなんでこんな変な顔がついてるんだ?】
「これは?」
「泣き顔の銀鈴。壊れたお守りだってさ。あたしも詳しくは知らないんだ。」
「これを持ってたら彼女、自分を晒すことにならないか?」
「大丈夫でしょ。ほら、あたしがひび割れを直したけど、音もしないでしょ?」
手に持って振ってみる——結構重い。大剣くらいの重さがありそうで、振るのに力がいる。本当に音はしない。
しかし一回振っただけで、シエルはさっきまで背を向けて棚を整理していたのに、次の瞬間には銀鈴を握っていた。速すぎてびっくりした。
「勝手に振らないでよ、リリィ。何に使うかもわからないのに、私たちが死んじゃうかもしれないでしょ♡」
「わ、わかった。ちゃんと渡すよ。」
「それじゃあありがとう。よろしくね♡」
シエルはようやくゆっくり手を離し、バッグにしまうのを見届けてから、安心して背を向けて続きを始めた。
【早く輪廻をリセットしよう。】
ゆっくり篝火の中へ歩いていく。
「ううっ! 熱い熱い! どうなってる?」
全身が炎に包まれた。焼けるような痛みじゃないけど、前に比べて火傷のような軽い刺痛が加わった。
【外に出たら必ずステータスを確認しないと——「無痛の人」が消えてるじゃないか!】
背中の布地が焼け焦げた。背中なら朔がいなくてもバレにくい。それに鎧も着てるし。
急いでステータスを確認した。
【この特質、いつ鎖で封じられたんだ? しかも一重だけ……まさかカタイナに一度殺されたせいか?】
【まあいい、今は考えないでおこう。酒瓶にはもう湖水を入れた。カタイナを助けに行かないと。】
外に転送すると、小僧もついてきた。
「カチカチカチ。」
やっぱり何を言ってるのかわからない。
再び酒の大陸に来ると、巨体はちょうど挟まったところだった。
しかし今回は違う——カタイナは無謀に突っ込んでいなかった。
彼女は脇に立ち、両手で巨槌を握り、槌頭を地面に付けて、何かを待っているようだ。
「カタイナ! 平然を装っても無駄だ!」
セリフまで変わっている。
巨体が虚ろになり、地下牢へ引っ込んだ。
「やっぱり俺を乗せてくれ。」
急いで小僧に言う。
「カチカチカチ!」
飛び乗り、反手双刃を握る。今回は心の中まで慌てていない。
カタイナが横を向いて俺を一瞥した。髪は微動だにしない。
「私と一緒に戦うのか?」
穏やかに聞く。
「そうだ。これを飲め。きっと助けになる。」
酒瓶を差し出す。
彼女は受け取り、一瞥して、仰いで飲み干した。
「これは……彼女の酒瓶……もう忘れてた。」
唇を舐める。
「とても冷たい。彼女がくれたのか?」
「違う。彼女には会ったことない。でもこれで少しは正気になるだろ?」
「ああ。これは彼女の『秘策』だ。でもありがとう。」
「どういたしまして。」
言い終わらないうちに、足元の酒の塊が大きく揺れた。
「態度を表明したなら、死を受け入れろ!」
巨体の声が四方八方から押し寄せる。両腕が同時に地下から突き出し、左右から合掌するように叩きつけてきた。
【俺たちを蚊のように叩き潰す気か?】
本能的に避けようとした——しかしカタイナが動いた。
彼女は両手で巨槌を振り回し、体ごと回転した。半周じゃない。まるまる一周。槌頭が唸りをあげて完全な円弧を描く。
巨手が槌にぶつかったのか、槌が巨手を叩いたのか、見えなかった。
「ドン——」
鈍い音。巨体の右の掌はまだ閉じる前に、掌の真ん中に深い凹みができ、腕全体が弾き飛ばされた。
俺の攻撃はもう一方の手に当たったが、ちょっと皮を削っただけだ。
しかしカタイナの一撃で、巨体のHPゲージは大きく減った。
【やっぱり。彼女が正気を保っていれば、戦闘力は全然別物だ。】
巨体は痛みに耐えかね、鍵穴から何本かの鎖を出し、殴られた手に絡めた。手はまだ動いているが、虚ろにはならず、地下へ引っ込むだけだった。
「くそっ! なぜお前はやけに冷静なんだ!」
巨体の声にようやく焦りが混じった。
カタイナは巨槌を地面にドンと打ちつけた。
「焦るべき人間が変わったからだ、くそったれな『私』よ。」
間を置いて、横を向いて俺を見た。
その一瞥はとても短かったが、意味は明確だった——この言葉は巨体に向けただけじゃない。
地面の揺れは止まっていない。巨体は引っ込んだだけだ。逃げたわけじゃない。もう少し真剣にやらないと。




