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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第4巻 カタイナ編

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第5章 赤髪の騎士

 鍵をくわえて牢へ戻った。


 シエルはそれはもう喜んだ。


「これ、あたしにくれるの? ありがとうありがとう、やっと出られるよ。」


 口から鍵を渡す。シエルはそれを受け取り、鉄格子の間から手を伸ばして鍵穴に差し込み、回す——扉が開いた。


 しかし扉が開く時、鈍い大きな音がして、通路の中を反響した。


【看守を呼び寄せるぞ。】


「これあげるね、変な小僧さん。きっとお腹空いてるでしょ?」


 彼女は地面に何かを置いた。


 食べ物だった。


「カチカチカチ。」

【俺のこと気にしないで、早く逃げろ。】


「お礼を言ってくれてるってことでいいよ。あたし、もう行くね。バイバイ。」


 シエルは俺の頭をポンポンと叩き、自分が見つけたあの道具の束を抱えて、通路の外へ走って行った。


 彼女はいつもあんなにたくさんの物を持っているけど、売ってる道具はそんなに多くない。原料に使うのかもしれない。


『リィちゃん……鍵を渡してくれない?』


 あの女の声が向かいの牢から漂ってきた。


『まだいたのか? ちょっと待って。』


『あんたは本当にいい人ね……リィちゃん……』


【リィちゃん? このあだ名、変だな。】


『ふふふ……あの娘とあんたの関係が羨ましくてね。彼女はあんたのことリィちゃんって呼ぶの?』


『呼ばないよ。心を読まないでくれ。』


『じゃああの子たちはあんたのこと何て呼ぶの? 朔はどう呼ぶ? あの人はどう呼ぶ?』


『なんでそんなこと気になるんだ? 早く扉を開けて出てこい。看守が来るぞ。』


 尻尾に力を溜めて、跳び上がる。鍵穴に刺さった鍵をくわえ、女の牢の入り口に投げる。


『ふふふふ……この激しい鼓動はどうしたの……あんた、「朔」って名前を聞いたとき、心拍数が上がるの?』


『生理的な好きってそういうものだろ? まるで——』


『まるでDNAに刻まれてるみたいに……わかるわ……ふふふふ……わかる……羨ましい……こんな扱い、私も受けてみたい。』


『いったい出る気あるのか?』


『もちろん。もちろん。』


 女は鍵を取り、牢の扉を開けた。


 次の瞬間、彼女は手を上げた。


「ふふふふ……もう行かなくちゃね、ここで時間を無駄にしちゃった。必ず頼みを覚えていてね……リィちゃん……あんたをそう呼ぶのは私だけだとわかってる。特別な名前……幸せだなあ……」


 彼女は消えた。言葉だけが梁に絡みつくように、いつまでも残っていた。


 鳥肌が立った。


【この女が絶対にコスモなわけがない。朔が言う「ブラックユーモア」がこれのことなら……朔はそれが好きで、だから笑ったんだろう。でも俺には全然面白くなくて、逃げ出したいだけだ。】


 ——


 看守が来た。


 でもさっきの二人じゃない。


 かなり完全な騎士だった。


 彼女の関節の繋ぎ目すべてに鎖が掛かっていて、燃えるような赤い長い髪が兜の隙間からこぼれている。兜の形は鉄処女アイアンメイデンの檻を閉じたような形で、面当てには五官がなく、縦長の鍵穴だけがある。


 背は高いけれど、狭い通路を歩き慣れているせいか、体は少し丸まっている。


 肩には巨大な槌を担いでいる。槌頭にも鍵穴がある。


 兜の鍵穴の中で、何かが左右に動いている——暗金色の、目なのか何なのか、よく見えない。


 彼女は牢をひと目見て、鉄甲の隙間から尖った焦燥した声を絞り出した。


「……牢の扉が開いてる! 全部閉じ込める! ぜんぶぜんぶ閉じ込めなきゃ!」


 中に囚人がいるかどうかは気にしていない。彼女が気にしているのは、なぜ扉が開いたかだ。


 慌てて隅っこに縮こまり、隠れる。


 鍵はまだ牢の鍵穴に掛かっていて、煌々と光っている。


 隠しに行きたいけど、彼女がこっちを見ている。


 彼女は鍵に気づいた。


「鍵……? 鍵! この鍵はどこから来た?!……看守は? 看守はどうやって鍵を管理してるんだ!」


 彼女は鍵を抜き取り、向きを変えて立ち去る。


 足音が通路に響き、どんどん遠ざかる。


【しまった。やっと手に入れた鍵がまたなくなった。】


 隅っこにうつ伏せて、彼女が消えた方を見つめる。


 あの騎士の姿は、ひと目見てもかなり精緻だった。


【まさかまたエリートモンスターか? やめてくれよ、このマップ、どうしてこんなにプレッシャーが大きいんだ。】


「カチカチカチ。」


 小僧がまた鳴いた。


 下を向くと——シエルが置いていった食べ物が、まだ地面にあった。


 金色の蛍がいつの間にか飛んで来て、その上に止まっている。


【……これはどういう意味だ?】

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