第3章 檻の中の顔見知り
また分かれ道に戻ってきた。
迷っていると、金色の蛍が突然頭の上を飛んでいった。
真ん中の通路へ向かっていく。急いで追いかける。
ぴょんぴょん。骨の関節がぶつかる音が狭い通路に反響する。看守たちの注意を引かなければいいが。
奥へ進むほど通路は狭くなり、光は暗くなる。小僧の夜目が利かなければ、とっくに何も見えなくなっていた。
ようやく少し明るい場所に出た——数部屋の牢獄がある。金色の蛍がそのうちの一つの入り口に止まった。
近づいて中を覗く。
シエル?!
「はあ、最悪だね。短剣も折れちゃったし、どうやって逃げろっていうのよ。」
彼女は隅っこにしゃがみ込んで、手に鉄製短剣の折れた残りを握りしめている。コーラからもらったあの短剣だ。折れてた。
「カチカチカチ。」
【……自分が何言ってるか全然わからん。】
俺だって伝えたいのに、口を開くとカチカチカチしか出てこない。
【小僧、早く出させろ。】
カチカチカチ。
【いいから吐き出せよ。】
カチカチカチ。
【……このままじゃダメだ。早くこの状態を解く方法を見つけないと。】
「あら? あんた何者? カチカチ言ってるけど、まさかあの怪物たちが来たのかと思っちゃったよ。」
シエルがようやく俺に気づいた。
「カチカチカチ。」
【はあ、通じない。】
「ごめんね、全然わかんないや。でも、あたしをここから助けてくれない? いいものあげるから、お願い~」
彼女は手を合わせて、哀れっぽい表情を作る。
もちろん助けたい。でもどうやって?
檻の鉄格子を噛んでみる——かなり固い。歯が欠けなかっただけでも小僧の歯が丈夫なほうだ。
隙間をすり抜ける? 鉄格子の間隔は狭くて、頭は入っても後頭部が引っかかる。
途方に暮れていると、ふと上を見る——一つ目が無意識に天井を見上げた。
大きな南京錠が牢の扉の上に掛かっていた。
この牢には不釣り合いなほど大きな錠が、びくともしない。まるで牛刀を使って鶏を捌くようなものだ——そうすれば、鶏が苦しむ心配はもうしなくていい。
【カタイナの性格設定……ちょっと不安症なのか?】
「小僧さん、無駄だよ。そんな方法じゃ……」
シエルの言葉が終わらないうちに、向かいの牢から突然声が聞こえた。
『ぬいぐるみさん……聞こえますか?』
固まった。
この声——心音閣で出会ったあの変な女だ!
急いで向かいの牢の入り口に跳ねていく。
『なんでお前もここに?』
『ふふふふ……捕まったのよ。外にいるときは閉じ込められてるやつらが羨ましかったのに、いざ入ってみると今度はあんたみたいに自由なのが羨ましくなっちゃった……羨ましいなあ……』
『俺の言葉がわかるのか?』
『偶然ね……ちょっと借り物をしたら……辛うじて聞こえるようになったの。』
『何を借りたんだ?』
『ふふふふ……小手先の技よ。言ってもわかんないでしょ。』
【またこの謎かけみたいな答え方。】
『どうやって捕まったんだ?』
『悪いことをしたからよ。ここの主は外に出してくれなくなっちゃった……羨ましいなあ……あの人みたいに、自分の感情を乱すやつをみんな閉じ込められればいいのに……良かれ悪しかれ……』
『お前には空間を移動する能力があるだろ? 直接転送すればいいじゃないか?』
『痛いのよ……それに……目立たないほうがいいでしょ……ふふふふ……』
言い終わると同時に、女は「ぷっ」と影から飛び出した。
びっくりした。
『お前はやっぱりコスモじゃないな? 朔の言うのとは全然合わない。』
『……朔? ふふふふ……あの人はいつも優しくておせっかいなんだから……』
【朔と知り合いなのか? でもこの口調……あまり仲良くはなさそうだ。】
『ぬいぐるみさん……もう一回頼まれない? ただじゃ済ませないから……』
『またかよ? 前の分の勘定はまだ済んでないんだぞ。お前がくれたやつ、見た目が怖いくせに何に使うかもわからないんだ。』
『でももう一回手伝ってくれたじゃない……あの子も無事だし、あんたも無事でしょ……それに仲間も増えた……まだ足りないの? ふふふふ……』
しばらく黙った。胃の中であのからっぽの空腹感がまたこみ上げてきた——俺のじゃない。この小僧のものだ。ずっと飢えている。目を覚ましてからずっと。
『こいつ、飢えてるんだ。』 と俺は言った。
『ふふふふ……そうよ。だから食べ物が必要なの。普通のものじゃない。』
『何を食べるんだ?』
『……鎖よ。それ以外にも。そのうちわかるわ。』
【鎖? それを食うのか?】
彼女はそれ以上言わなかった。
『……結局何が言いたいんだ?』
『別に……ただ羨ましいなって思っただけよ。小さなやつまであちこち自由に動けるなんて……』
彼女はまたローブの中から何かを取り出した。前回とちょっと似ている、虫のような形のものだけど、色はもっと濃くて、ほとんど真っ黒だ。表面には艶がない。
指でつまんで、こちらに差し出した。
『二つ頼みがあるの。一つ目は、あの扉を開けてほしい。二つ目は、これを……ここ本当の主に渡してほしいの。』
『……分けて言え。』
『ふふふふ……いいわよ。』
『一つ目、あたしを出してほしいの。鍵がどこにあるか教えてあげる。看守が持ってる鍵、どんな扉でも開けられるわ。あの小さな娘さんも助けられる。』
『……二つ目は?』
『これをカタイナに渡して。気に入るから。』
『報酬は?』
『あの子の餌のやり方。どうやって空腹を落ち着かせるか。言ってることもわかるようになる。名前も教えてあげる。』
下を向いて自分を見る——いや、小僧の体を見る。
お腹の中がまたぐうっと鳴った。
【……確かに飢えてる。】
『どうやって信じろっていうんだ?』
『信じなくてもいいわよ。ふふふふ……じゃああんたはその殻の中にずっといなさい。言葉も話せずに。』
向かいの牢のシエルを見る。彼女はまだこっちをじっと見つめて、あのカチカチ鳴る小僧が自分だと全然気づいていない。
『……わかった。まず鍵の取り方を教えろ。』
『看守よ。あのランプとあの旗。あいつらが鍵を持ってる。』
『どうやって取るんだ? 喧嘩か?』
『今のあんたの姿……誰があんたを相手にすると思う? ふふふふ……』
女の影がゆらりと揺れた。また闇に吸い込まれそうだ。
『そうそう、ぬいぐるみさん……あんた、あの中から出たくないの?』
『……出せるのか?』
『「ごはんだよ」って言いなさい。そしたら放してくれるわ。ふふふ……』
【……何だそりゃ? 誰が信じるか。】
無視した。
『信じないならいいわ。ふふふふ……』
彼女の声がどんどん遠くなる。
『羨ましいなあ……飢えまで誰かに気にかけてもらえて……』
それきり、完全に聞こえなくなった。向かいの牢は空っぽで、最初から誰もいなかったかのようだ。
【……本当に試すのか?】
「カチカチカチ。」
【……やっぱり信じない。】
どうやら看守のところを通らないと、サブクエストも進まないらしい。
でも喧嘩しない方法はないのか?
この小僧の体なら……できるんじゃないか?




