第4章 シャクカクチュウの戦い
篝火を離れて前に進むと、何匹か死んだ晶砕獣が見えた。
エリートモンスターに殺されたのか?
じゃあ俺、このソウル貨をタダで拾えるじゃん。
喜んでたら、急に足元がふらついた。
本能的に転がる——
紫色に光る、ムカデみたいな怪物が地中から飛び出してきた。
そいつは地面に落ちてた俺のまだ拾い終えてないソウル貨を飲み込んだ。
そして俺を見つけて、追い払うような嘶き声をあげる。
【エリートモンスター:烁殻虫】のHPゲージが表示された。
朔が教えてくれた通り、そのゲージには一本の縦線が入ってる。
【どうやらHPをこの線より下まで減らせばひっくり返せるってわけか?】
俺は背中の水晶の大剣を抜いて突っ込んだ!
嘶きのアニメーションがまだ終わってないうちに、まず一太刀入れる——
【しまった、今の俺は低すぎる!】
嘶きが終わると同時に、烁殻虫が尻尾を振って薙いできた。
慌てて後ろに転がる。
まさか尻尾にも口があって、しかも伸び縮みするとは思わなかった。
俺は避けたのに、転がってる隙にそいつが腕に噛みついた。
——50ダメージ。
【マジかよ? この新モンスター強すぎだろ……もうテストサーバーのエリートが恋しくなってきた。】
でもそいつにもチャンスはあった。
噛みつきに伸びてきたけど、戻る速度はめちゃくちゃ遅い。
俺は逆手に大剣を持って、その尻尾に向かって斬りつけた。
もしこいつが双頭の虫なら、ここも首になる!
当たった!
烁殻虫はよろめいて、体すら支えきれなくなった。
その一撃で70ダメージ。
HPゲージは数値が見えないけど、長さから見て、あと四発は弱点を叩かないといけない感じだ。
耐性のおかげで腕は割れず、かすり傷だけで済んだ。
すぐに距離を詰める。
でもよろめきが終わると、烁殻虫はすぐに地面に潜った。
ゲームの赤いびっくりマークはないから、足元の振動で位置を判断するしかない。
【いや、盛り上がった晶石もある!】
突っ込んできた! 転がれ!
また頭を振る? もう一回転べ!
朔の祝福のおかげで、ちょっと歩くだけでスタミナゲージが回復する。
【うわっ、気持ちよすぎる!】
【これが異世界の主人公ってやつか?】
【現実世界でもこんなに爽快な体感ゲームができる日が来るのかよ!】
地中に戻る速度がまた遅いだろ?
見てろ、一撃横薙ぎ!
また首に当たった。
そいつはそのまま地中に戻って、遠くまで這って逃げた。
でもすぐに戻ってきた。
手口は同じだ——お前の技、もう完全に読まれたわ!
また一撃。あと二発でひっくり返るぞ!
ところが、そいつは急に遠くまで這って、地中から出た。
【新技か?】
そうだ。
烁殻虫は地中から出ると、ウロボロス状態になった。
六本足で地面を踏みしめ、頭が尻尾を咥え、丸まってボールになる。
そして俺に向かって転がってきた。
タイミングを見計らって転がる。
でも一人称視点じゃ視野が限られてる。
別の方向からもう一度転がってきたとき、一拍遅れて、まともに食らった。
——100ダメージ!
【倍ダメージ?!】
【あああ、痛くはないけど、背中が燃えてるみたいだ!】
回復薬持ってない。あと二発。
でも今の体当たり状態じゃ、大剣が全然届かない。
スタミナゲージがついに尽きた。
【終わった。剣も振れないし転がれもしない。見えたら逃げるしかない。】
でも俺の速度はクソ遅いんだよ!
また致命的一撃を食らった!
やばい、残り100。
もう一回食らったら完全に終わり。
スタミナゲージがあとちょっとで満タンになる。
なのに烁殻虫は狂ったみたいに、体当たりが止まらない!
【もう転がりに頼ってられない……賭けに出るしかない。】
賭けるのは、そいつが突っ込んでくる瞬間、大剣で二つの首を同時に叩けるかどうか。
でもやらずにわかるか?
最悪もう一度戦えばいい。
少なくとも篝火に戻ればまた朔に会えるしな。
姿勢を整え、本能的に水晶の大剣を握りしめる。
もしぬいぐるみに呼吸があるなら、今は息を殺しているはずだ。
よし、転がる音が聞こえた。五時の方向。
三、二、一! 今だ!! 水晶横薙ぎを振り抜け!!!
運は俺の味方だった。
大剣が烁殻虫の体に当たった感触をはっきり感じた瞬間、そいつはひっくり返った。
前薙ぎが頭の方の首に当たり、後ろ薙ぎが転がって回転してきた尾の方の首に当たった。
「はぁ——びっくりしたびっくりした!」
「倒せたのか? よかった、もう一回やり直しは勘弁だと思ってたんだ。」
【でも、なんで俺、戦ってるときは妙に真面目なんだろう?】
【普段は大雑把で、さらには抽象好きの俺でも、エリートやボス戦になると一発クリアにこだわるんだよな。】
戦闘が終わり、大剣は自動的に背中に戻った。
すぐに烁殻虫のところに駆け寄ると、案の定オプションが出た。
処刑するか、乗り物として招いて乗り物システムを解放するか。
もちろん乗り物にする!
そうすればそいつが飲み込んだソウル貨も俺のものになる。
あんなに強い相棒なら、移動もきっと速いだろ。
伸縮さえさせなければ、隙は確かに大きいけどな。
そいつは炎の光に照らされて、ひっくり返った状態から戻った。
烁殻虫はおとなしく頭を下げた。
触ることもできる。
触った感触は宝石みたいで、ひんやりしてて、とても滑らかだ。
「行こう。お前がいれば、マップ攻略の速度が倍になるぞ!」
【こいつにどうやって乗るのか、マジで見てみたい。】
まさか、乗り方というのが——俺がその輪の中にいるってのか?
烁殻虫は頭と尾を繋げて転がり始め、さらには物理法則を無視して壁を這う。
そして俺はまるで回し車の中のハムスターみたいだ。
ただ俺は輪の中に浮いてるだけで、走らなくていい。
行きたい場所を言う必要もなく、烁殻虫が俺の意志に従って転がってくれる。
もし走らされるんだったら、本当に低評価をつけるところだ。
近くを何周かしてみた。
烁殻虫の速度は確かに速い。
あいつには【晶殻衝】っていうスキルもある。第二段階で使ってたやつだ。
雑魚モンスターには打ち上げ効果、エリートには動作中断効果があって、なかなか使える。
転がってるときに武器も使える。「騎乗攻撃」ってやつで、ダメージが乗り物と加算されるから、移動中の雑魚処理効率と生存率が大幅に上がる。
「この乗り物、めちゃくちゃカッコよくね? 後のマップにもあるのかな。」
でも気づいた。突進中は曲がれない。壁や木にぶつかると硬直する。
試乗が終わったところで、さっき金色の蛍が消えた場所に戻った——烁殻虫を倒した場所の近くだ。
あの蛍はわざわざ俺をここまで連れてきたんだ。ただエリートを倒させるだけが目的じゃないはずだ。
周りを見回して、もう一度よく探してみた。
すぐに、小さな光るものに気づいた。地面で何かがキラキラしてるみたいだ。
近づいて見ると、折りたたまれた紙だった。少し鉄錆びた匂いがする。
烁殻虫から飛び降りて、拾い上げて広げた。
「これ……コーラの日記の断片?」
やっぱり、テストサーバーでコーラを救出したあの場所は、今ではストーリー関連のアイテムと強化アイテムに変わってた。
紙切れの隣には、かすかに光る小さな石もあった——【魂鍛石】。
彼女の日記なら、何が書いてあるか見てみよう。
【武器も持たずに破晶嶺に入っていったやつが気になる。どうやって生き延びたのかが特に不思議だ。】
うん、よくある「読めるけどやっぱり謎」な断片化叙事だ。
でも俺の知ってる範囲で、武器を持たないやつって、新NPCじゃなければ、放浪商人のシエルくらいしかいない。
前にコーラがシエルを見るあの目つきと合わせて……
ああ、わかった!
このゲームのジャンルは百合だって知ってる? 恋愛要素は絶対にあるんだ。
まさか公式がコーラとシエルをペアにしたのか?
それは最高だ!
俺、テストサーバーでプレイしてたときからあの二人はお似合いだと思ってたし。
もう少し先の篝火を灯したら教会に戻ろう。
コーラがどんな反応するか見たくて仕方ない。




