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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第3巻 ソノラ編

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第14章 心音の歌

 七階に戻ってきた。ソノラは目を閉じていて、口元のあの笑いは相変わらずだった。


「やっと来たね、小さなやつ。でも今は一緒に行けないよ。」

「なんで?」 一瞬固まった。


「死にかけた時、やっぱりあの声が聞こえたんだ。」

 彼女の口調は珍しく真剣だった。

「あいつが……あんなに長く押さえつけてきたのに、まだ力を残して高塔を破るなんて。」

「あいつって誰?」

「怪物さ。あいつがいるところじゃ、音は生きられない——聞こえないんじゃなくて、消えるんだ。音楽なんてもってのほか。」

【高塔の下に怪物が押さえられてたのか? こんなに長く戦ってきたのに、全然知らなかった。】


「じゃあ、どうして行けないんだ?」

「ここのみんなを見てごらん。」

 彼女は一瞬目を開けて俺を見て、また閉じた。

「私がここに留まっているのには、理由があるの。」

「あんたはこれを解決するために来た。でも私の死は……出しちゃいけないものを出してしまう。」

「出しちゃいけないものって?」

「……怪物だよ。あいつがいるところじゃ、音は生きられない。」

 これ以上は言わなかった。口調はそこまで真剣でもなかったけど、「出しちゃいけない」という言葉だけはいつもより強く発音していた。

【高塔の下に何かが押さえられてる?】


「それを押さえられるのは、心音だけなんだ。」

 彼女が付け加えた。声はとても小さく、独り言のように。

【「完全な心音」?】


「じゃあ、まだ心音があるんじゃないか?」 と聞いた。

「そうだよ。でも、もし私がなくなったらどうなる?」

【……】


「ソノラ、『完全な心音』ってどうやって演奏するか知ってる?」

「『完全な心音』?」

 彼女は首をかしげ、笑いが一瞬固まった。

「……もちろん知らないよ。聞いたこともない。」

【この間……明らかに知ってるのに、言いたくないだけだろ。】


「もし本当にヒントをあげたいなら、とっくに教えてるかもしれないね?」

【もうヒントをくれた? まさかまた心音を聴けってことか?】


 下を向いて、ドラムスティックみたいな反手双刃ハンシュソウジンを見た。

 でも太鼓がなくてどうやって演奏するんだ?

 ……やってみるしかない。エアギターってあるなら、エアドラムだってあるだろう。


 目を閉じて、集中する。心音がどんどん大きくなり、胸の中で何かがドンドン叩いているように感じる。


 反手双刃を取り出し、心音が鳴った瞬間に叩きつける——


「ドンッツ——」

 空気の中に確かに太鼓の音が響いた。

「ダッツ——」

 よし。ドクンドクンの強弱に合わせて、左右の手が対応できている。いける。


「ソノラ、やり方がわかっ——」


 言い終わらないうちに、様子がおかしい。


 心音閣にいない。


 見知らぬ場所。何も聞こえない。でも、目の前に映像が浮かんでいるのが見える。水面に映った影のように、俺の太鼓の音に合わせて明るくなったり暗くなったりする。


 手を止めると、映像がぼやけて、何かに飲み込まれるように消えた。


【また記憶か?】


 深呼吸して、心音のリズムを再び叩き始める。


 映像が再び明るくなる。彼女が歌った——


 ·


 静寂から生まれし怪物

 全ての音を呪い尽くす

 王は音を禁ずる令を敷き

 生まれたばかりの子は口を縫われた


 ·

 ·


 一人の娘が祭司の予言を信じ

 音叉はその手で光を纏う


 ·

 ·


 畸形の耳を持つエルフの娘

 人の心音を聞き分ける

 ある者の鼓動はあまりに騒がしく

 彼女は塔を建てた——心のままに

 代償に 国中の人が閉じ込められた


 ·

 ·


 始まりは皆が感謝した

 ここを心音閣と名づけ

 音楽で言葉を交わした


 ·

 ·


 いつしか 音の温もりを忘れ

 心音は消え 静寂だけが残った


 ·


 映像は完全には繋がっていなかった。ところどころ引き裂かれたようで、これらの断片だけが残っている。でも詩の切れ端は、さっきよりずっと心に響いた。


【ソノラの物語……あの耳の多い娘は彼女自身だ。】


【でもまだ欠けてる。誰が祭司の予言を聞いたのか? なぜ感謝したのに心音が消えたのか? わからないまま。】


 映像が消えた。また七階に立っている。最初からそこにいたように。


 ソノラはまだ元の位置にいて、目を閉じ、口元にあの笑いを浮かべていた。


「この杭がずっとこの歌を流し続ければ、あの怪物は完全に死に絶える。みんなも……やっとこんな風にしなくて済む。」

 彼女は一瞬間を置き、声を落とした。

「やっと……休暇が取れるよ。」


 口を開いたけど、声を出す間もなく、彼女の体は光の粒に散っていった。

 一つ一つ、音符のように、風に吹き散らされる楽譜のように。


【—システム通知:ソノラの遺燼イジンを獲得しました。—】


 俺の手の中に、ひんやりと収まった。


 待て。


 何か忘れてないか……


 しまった! あの虫の形をしたやつをまだ渡してない!


【まあいい……どうせまた祭壇に入るし、その時に渡せばいいか。】

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