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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第3巻 ソノラ編

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第10章 完全な心音

 遺燼祭壇イジンサイダンに入ると、すぐにフラグのため息が聞こえた。


「これで何度目だ、おもちゃちゃん。本当にやることがないんだな。」


「自分から話しかけてきた? だいぶ仲良くなったんじゃないか、フラグ。」


「言わなかったことにして。」


 コロティアが手話をしながら、目尻に笑みを浮かべている。


「嬉しいです……また会えて……リリィ……魔法は……慣れましたか?」


「おかげでかなり強いモンスターに勝てたよ。」

「そうですか……お役に立てて……嬉しいです。」


【すげえ、コロティアとちょっと話しただけで好感度がまた20%も上がった。】


 コロティアの目には、優しさの奥に愛しさが隠れている。朔の神性とは違うのに、心臓の鼓動が止まらなくなる。


【なんで遺燼祭壇に入ってもこの心音が鳴り続けるんだ? 変だな。】


【それにさっき朔に「彼女への好きとは違う」って言ったばかりなのに、本当にドキドキしちゃダメだろ……】


【やっぱり俺は優しい人が好きなのは変えられない。どんな優しさにも弱いんだ。】


「それで……リリィは私たちに……何か用ですか?」


 コロティアが手話で聞く。


「この世界で青い蛍が何度も出てきてさ。あなたたちが俺を探してるのかなと思って見に来たんだ。」


「独りよがりもいい加減にしろ、おもちゃちゃん。そこまで会いたくはないよ。」


 フラグがまた毒づく。


「私は……会いたかったです……」

 コロティアが慌てて手話した。


「それで、二人はうまくやってる? 喧嘩とかしてない?」

「もちろんしてません……フラグの言うことをよく聞いてますから……」

 コロティアは笑いながら手話する。

「喧嘩なんてできるわけないだろ。話す話題もないし。」

「さっきまでリリィの話をしてたじゃないですか……」

 コロティアが新しい手話をした。でも俺は天賦の才のおかげで理解できた。


「俺の話?」

「お前……この手話もわかるのか?」

 フラグの声が少し気まずそうだ。

「なんだ? 二人で新しい言語でも作ったのか? 秘密の話に便利だから?」

 コロティアはフラグを一瞥し、ゆっくり手話した。

「手話とは……ちょっと違う……彼女が教えてくれた……ずっと寝てるわけにも……いかないから。」


【そうだよな。このゲームのキャラは食事はしなくても、睡眠は必要なんだ……俺は別だけど。死んだら寝たも同然だし。】


「じゃあ、フラグは手話のできる人を知ってるんだ?」

 と聞いた。


「お前も見たはずだ。記憶の中の小さな女の子。」

【フラグがようやくその話をしてくれた……って、好感度いつ70%になったんだ?】

【二人で話してるだけで好感度って勝手に上がるのか?】


「そういえば、ソノラって知ってるか?」

【コスモがソノラの世界に来れたなら、彼女たち同士は知り合いなのか気になる。】


「知らない。誰だ?」

「この輪廻世界の主だ。」

「知らん。そもそも人と知り合いたくないんだ。面倒くさい。」

「もしこの世界の主なら……リリィが連れてきてくれるよね?」

 コロティアがこちらを見る。


「そうするよ。でも先に言っておくけど、あいつは何でも聞こえるんだ。」

「何でも聞こえる? じゃあ読心術も使えるのか?」

「多分使えないと思うけど……確かじゃない。」

「はあ、また面倒なやつか。」

 フラグがため息をつく。


「もう一つ聞きたいんだけど、『完全な心音』って何だと思う?」

「なぜそれを聞くんだ?」

 心音の話になると、コロティアは少し照れていた。

「ソノラを祭壇に来られるようにするための鍵なんだ。でも全然意味がわからなくて。」

「どうでもいいものだよ。」

 フラグがすぐに答えた。

「少なくとも……あなたに出会う前は……それはとても静かでした。」

 コロティアはむしろそう言った。

【なんだかすごく甘い言い方だな。】


「じゃあ、ソノラはそれを聞きたいと思うだろうか?」

「彼女は……何か言ってた?」

 コロティアが聞く。

「心音は旋律だって言ってたよ。」

 コロティアは少し考えて、ゆっくり手話した。

「それなら……彼女にとって……心音は……彼女が一番好きな音楽なんだと思います。」


【そうか。どうして気づかなかったんだ。】


【たぶん、ソノラを倒した後の二週目に、この心音を……彼女に奏でてみることができるかもしれない。】


【……そのためには、まず彼女に勝たないとだけど。】

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