第6章 即興ゴーレム
「さっきどこに行ってたの、小さなやつ? どうやって上がってきたの?」
この階では、普通にソノラの声が聞こえた。
「四階に他の人がいたんだ。知らなかったのか?」
「他の人? みんなが新しいステップを試してる音が聞こえただけだよ。ワルツはやっぱり回転がある方が魂がこもるよね。」
ソノラは全然知らなかった? あの女、いったい何者なんだ?
「そうだ、そろそろ試練の時間だね。ちょっとヒントをあげる。」
【試練? 小ボス戦か?】
「覚えておいて——ジャズは即興。相手の拍子を絶対に真似しちゃダメだよ。」
【即興? 同じ動きを二度繰り返せないってことか? 難しすぎる。】
ソノラが言い終わると、トランペットのソロが鳴り響いた。
【—システム通知:小ボス——即興ゴーレムが出現しました。—】
固定された形態はない。全身にあらゆる楽器が積み重なっていて、まるで動くゴミ山のようだ。でもどの楽器もちゃんと正しい位置に配置されていて、もともとそこに生えていたかのようだ。
【これ、何通りの攻撃パターンがあるんだよ。】
トランペットの音色が流れる。地面に、音楽に合わせて音符の列が浮かび上がるのに気づいた。微かに光っている。音符はとても長く伸びていて、そいつの姿もそれに合わせて大きい——
ソロが突然止まった。
なぜか375ダメージ。
下を見ると、自分が音符の線の上に乗っていた。それが震えて、消えた。全く反応できなかった。
【即興ってのは、決まり事を無視するってことか? 予備動作すら見せないのか?】
そいつは頭の上のピアノを弾き始めた。背中のアコーディオンの穴から四本の腕を伸ばし、低音と高音の鍵盤を押さえる。音は乱れていて、でも満ちている。混沌じゃなくて、「混沌そのもの」が感情になっている。
今回は音楽が止まるのを待たなかった——高音パートに入ると同時に動き出した。ドラムの音が足音に合わせてドンドンと響く。直線は歩かず、まるで風に吹き散らされた楽譜のようにランダムな軌跡を描く。
【左に避けるか、右に? いや、即興は繰り返しちゃダメ……じゃあ俺は——】
飛び上がった。
靴の跳躍力が大いに役立った。そいつが移動してきた瞬間、直接その体の上に飛び乗った。反手双刃を抜いて、その腕に叩きつける。
「ドン——」
まるで中空の木を叩いたみたいに、手が痺れた。そいつは傷つかず、むしろどこからともなく手を一本伸ばし、シンバルを握って俺に向かって叩きつけてきた。
ピアノの高音鍵盤を踏んで避け、揺れるそいつの体から飛び降りた。
また100ダメージ。
【避けたんじゃないか? なんでまだダメージを受けるんだ?】
そいつはピアノを止め、サックスに持ち替えた。体が光り始め、シンコペーションのリズムに乗って上下に跳ねる——アクセントが予想外の拍に来る。起きて落ちるのに規則性がない。落ちるたびに、地面に円形の音符の輪が炸裂する。
避けながら、愈伤棉を食べる隙を探す。
【跳ねるのが好きか? 俺も飛ぶ。でももうそいつに合わせない。】
耳を羽ばたかせて飛ぶ。今回はダメージを受けなかった——飛び上がるタイミングをそいつのジャンプとずらしたからだ。
【わかった。相手と同じ動きをしてはいけない。同じ拍子でやるのもダメだ。】
そいつが落ちている隙に、腐蝕術を吐き出した。
お前は金属だろ? ちょうどいい。
一吹きすると、サックスが音痴になった。そいつのどこかから赤い錆斑が浮かび上がる。
そのまま飛んでいき、反手双刃で錆びた箇所を叩いた。
この一撃はめちゃくちゃ痛かった——HPが半分も減った。
でも同じ技を二度続けては使えない。さっきの一拍は空中で攻撃した。次の拍で同じ位置をまた飛んで叩くのは「自分の拍を真似る」ことになる。
すぐに遠くへ飛び、そいつの次の動きを観察する。
即興とはランダムなものだ。突然歪んだ音波を放ち、俺を低音アコーディオンの中に巻き込んだ。
楽器の箱の中は騒音だらけで、耳がおかしくなりそうだった。
しかしそいつは、俺がまだ動けるとは思っていなかった。
ピアノの音が再び響く。高音パートだ。もう一度腐蝕術を吹きかける。
今度は内部から錆びさせる——場所もやり方も変えた。これで繰り返しにはならないだろ?
反手双刃を同時に振り下ろし、一番奥の音簧に叩きつける。
アコーディオン全体が低く長く鳴り響き、全ての腕が一瞬で硬直した。
鍵盤の下から這い出る。
青い蛍が目の前で光った。胸が軽く震えた。
【やっと即興の法則がわかった——繰り返さなければいい。でも怖がる必要もない。】
「素晴らしい素晴らしい! 今までで一番面白いショーだったよ! 上がっておいで、あともう一階で私に会えるから。」
ソノラの杭から拍手の音が聞こえる。
「そんなに頑張って私に会いたいなんて、私のファンなの?」 口調は完全に挑発的だ。
「もうそうだよ、ソノラ。」
「そうだと思ってた。あんたみたいなファンに出会えるなんて、光栄だね~」
——
石段を上がる。
六階。
静かすぎる。
この階には、音楽がない。




