第5章 奇妙な贈り物
石段が急に大きく揺れた。振り落とされて、四階の床にうつ伏せに倒れた。
音楽はまだ鳴っている。平行移動するモンスターたちが俺の横を通り過ぎていく。一匹も見下ろさない。
【……まあいい。死ななきゃそれで。】
服の埃を払って立ち上がる。この階はこんなにおかしいのに、ソノラは何も言わない。
——
突然、隅から不気味な笑い声が聞こえた。
「ふふふ……羨ましいなあ……こんな音楽、私にはどうやって聴けばいいんだろう……」
何かが隅っこに縮こまっていた。手を空中で無意味に振っている。ワルツの照明がそこを照らすまで、それが女だとわからなかった。
服は色あせていて、フードが顔をすっぽり隠している。
【生きている人間? こんなところに?】
慎重に近づく。彼女はまた笑った。その笑い声に、近づくのが怖くなった。
「動くぬいぐるみ? 動くぬいぐるみ! 見せてくれ、一目でいい!」
【なんで急に元気になったんだ!】
彼女が突然立ち上がった。俺は避けたけど、それでも飛びかかってきて、ぎゅっと抱き上げて、力を込めて掴んだ。
【苦しい!】
「おい! 苦しいんだよ! やめてくれ!」
叫びながら、もう反手双刃に手を伸ばしていた。
「可愛いね。たくさんの人に好かれてるんだろ……」
【俺に聞いてるのか?】
「羨ましいなあ。私でも好きになっちゃうよ。ましてや他の人はなおさらだよね?」
【……何言ってんだ。】
【くそっ、ますます力が強くなってる。武器に届かない。】
「しかもあんたは死なないんだろ? もっと羨ましい。でも私は助けてくれる人が必要なんだ。やってくれる?」
【これ、脅迫と変わらないだろ。】
「早く言ってよ、ぬいぐるみさん。なんで無視するの……」
【綿が潰されそうだ。どうやって答えろってんだ。】
やっとの思いで手を上げて、彼女の腕をポンポンと叩いた。
「ふふふ……ごめんね、欲張りすぎた……力を入れすぎた。」
少し緩めたけど、手はまだ震えている。力を入れすぎたせいみたいだ。
「このクソ女! 頭おかしいんじゃないか! なんでそんなに強く掴むんだ!」
下を向いたら、なぜか300ダメージも減っていた。くそっ。
愈伤棉を一つ食べる。彼女はすぐそばで静かにそれを見ていて、笑っている。
「それで、ぬいぐるみさんは私を助けてくれるの? こんなに強くて優秀なあんたなら、断らないよね?」
「その理由じゃないけど、とりあえず言ってみろ。」
「塔の頂上にいる人に会ったことある? 高みの見物してる人は、きっと輝いてるんだろうね。」
「ない。」
「ない? じゃあどうやってここまで来たの?」
「運だよ。それに今だってこの階で足止めされてるだろ?」
「運? なんでみんなそう言うの? 正直に言って、それは才能なんじゃないの? あんただけの。」
【知らない奴に話したくなかったけど、この女なんでそれを知ってるんだ……】
【危ない。逃げなきゃ。】
「ぐだぐだ言ってるけど、結局は情報を引き出したいだけか? 本題を言えよ。」
「ごめんごめん。これを塔の主に渡してほしいの。きっと喜ぶから。」
彼女はローブの中から何かを差し出した——虫のような形をしている。
「これ何だ?」
「贈り物。ただ虫の形をしてるだけ。無害だよ。」
【本当か?】
迷っているのが見えたのか、彼女はもう数回声を立てて笑い、もう片方の手からも何かを取り出した。
「報酬なしで頼むわけないでしょ。贈り物が彼女の手に渡ったら、これは自然にあんたのものになる。」
その物体は普通じゃなかった——まだ動いている。生きているみたいだ。
もっと怖くなって、近づけなかった。
「まだ足りない? 欲張りだね……ふふふ、好きだよ……もしかしたら私たちは同類かもしれないね。」
【何を言ってるんだ。誰があいつと同類だ。】
「それに、あんたを上の階に送ってあげることもできるよ。どう? やってみない?」
「じゃあお前は自分で行かないのか?」
「私には才能がないからね。音楽のセンスもないし、メロディーもわからない。だからこの階に閉じ込められて、踊ってる連中に殺されそうになってるんだよ。」
「じゃあ、なんであの連中は平行移動してるのかわかるか?」
「だって彼らは私たちが見えないからだよ、ふふふふ……」
【……もう聞かない。話が通じない。】
物を渡して、上の階に送ってくれる……この条件は断りにくい。
「わかった。これを彼女に渡す。」
「よかった。あんたは本当にいい人だ。」
【このセリフ、彼女の口から出るとすごく変だ。】
差し出されたものを受け取る。布が裂けるような音がした——周囲の空間が揺れた。
顔を上げると、女はいなくなっていた。
音楽もすっかり変わっていた。
シンコペーション、アドリブ、拍子が飛び跳ねる。
【五階? ジャズ? ちょっと待て、なんでわかったんだ?】
タンゴ、ワルツ、ジャズ。こんな音楽、よく知らないのに、毎階ちゃんと認識できる。
【天賦の才……音楽まで教えてくれるのか?】
よし、音楽評論家になったってわけだ。
胸が突然震えた。
さっきの女の仕業か? でも顔を上げると、青い蛍が光った。
【……たぶん、また何かを手に入れたんだろう。】
まあいい、考えてる暇はない。
イントロがもう鳴り始めている。




