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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第2巻 コロティア編

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第7章 蹄鉄

「リリィ……リリィ、どうしたの? 早く起きて……」


 朔の声? どうしてここで朔の声が聞こえるんだ?


 ばっと目を開ける——教会の天井だ。


 いつ戻ってきたんだ? 体の下は冷たい石の床で、隣では篝火がパチパチと燃えている。


 よかった、シエルの売り場は明るくなってる——彼女は戻ってきていた。


「俺……どうやって……戻ってきたんだ?」


「やっと起きたね。」朔がしゃがみ込んで、眉をひそめる。「どうしてあなたは気絶した状態で転送されてきたの?」


「よくわからない……篝火にも触れてないし。ただ人影を見ただけで、それで……」


「人影? それが誰だか見えたの?」


「いや。」


 シエルが横から歩いてきて、まだ開けてない包みを握りしめている。


「それって、あなたが言ってた『大師』なんじゃないの♡」


「たぶん違う……でも確かじゃない。あの人は元々そういう神出鬼没な人だから。」


 朔が手を差し出す。手のひらには錆びた塊が乗っている。


「あなたが戻ってきたとき、すごく錆びた匂いがしたの。うつ伏せで倒れていて、私がひっくり返したら、これが下に挟まってたのよ。」


 蹄鉄テイテツだ。錆びて元の形がほとんどわからない。


「これは……」


「ごめんなさい、勝手に炎で感知してみたの。前の欠片たちみたいに、特別な役割があるみたい。」


「そんなの謝ることないよ。教会の中のよくわからないものに対して警戒するのは当然だ。」


 手を伸ばして受け取ろうとする——動かない。朔がそれを地面に置いてくれた。


 手を乗せる。


 記憶が流れ込んでくる——


 まず、蹄鉄を打つ音。リズムは安定していて、手つきは正確だ。打っている人はきっととても慣れている。馬が痛がって鼻を鳴らす音さえも聞こえない。


 次に、一つの映像。どこからともなくスポットライトが当たっていて、誰かが馬のたてがみを撫でている。顔は馬の頭に隠れて、男か女かもわからない。


 その人は撫でながら、馬の首をポンポンと叩いた。


 それから光が消えた。


 闇の中から馬の嘶き、蹄を蹴り上げる風の音、そして骨の砕ける鈍い音が聞こえてきた。


 記憶が途切れた。


「そうだよ、朔。これは確かにコロティア様に関係してる。」


【でもこの蹄鉄、出どころがおかしすぎる。あの場所には青い蛍の案内なんて全然なかったのに……】


「うん、もうそうやって彼女たちを呼ぶのに慣れたみたいね。」


【俺は「様」をつけるのはよそよそしい気がするけどな。俺にとっては、もうみんな好きなんだ。】


【好き度のランクがあれば、みんなこの枠に入る。ただ一番好きなのは……】


【ああ、また変な方向に考えがそれた。】


 シエルが横を何度も往復して、何度も俺を見て、やっとの思いで近づいてきた。


「ほい、あげる。」


 縫合剤を俺の胸に押し込んだ。


「気絶して帰ってくるなんて、びっくりしたよ……死んだかと思ったよ♡」


【こいつ、心配してくれてるのか?】


「大丈夫だ。」


「大丈夫ならいいけどね。」シエルはぶつぶつ言いながら立ち上がり、スカートをパンパンと叩いた。「もし本当に死んだら、あたしの商品、誰に売るんだよ。」


 口ではそう言ってるけど、目は結構真剣だった。


 俺は彼女を見た。


【あの誤解のせいで、いつの間にかこんなに仲良くなってるなんてな……】


 シエルは見つめられて落ち着かなくなり、振り返って売り場へ歩いていった。


「何見てるんだよ、使えばいいだろ。次からはお金もらうからね♡」


 二歩歩いて、急に立ち止まり、首をかしげた。


「そうそう、ありがとね、ちびぬいぐるみちゃん♡」


 そして振り返らずに歩いていった。


 コーラが鉄を打つ音はずっと止んでなかった。でもさっき、こっちを一目見た。たった一目だけ。


 俺は朔に向き直った。


「もう少し聞きたいことがある。」


「どうぞ。」


「瀕死になった烁殻虫シャクカクチュウを保護して戻したんだろ? あいつが今どうなってるか見せてくれないか?」


 朔は少し間を置いた。


「烁殻虫? 私こそ聞きたいのだけど、あなた、あれを外に置き忘れてきたんじゃないの?」


「朔が連れ戻したんじゃないのか?」


「ごめんなさい、私じゃないの。」


【朔じゃない? じゃあ誰だ? あいつは明らかに炎の塊に連れ去られたんだぞ……】


 ちょっと待て……烁殻虫を連れ去った炎は何色だった?


 頭の中に一つの映像が浮かぶ——


 青。


 朔のあの金赤色じゃない。遺燼祭壇イジンサイダンの中の蛍と同じような……青。


「……もしかして、フラグか?」


 思わず口に出してしまった。でも違う気がする。


 フラグはもう遺燼祭壇の中にいるんじゃないか? どうしてあそこに現れるんだ?


 朔は何も答えなかった。ただ俯いて、その蹄鉄をひっくり返した。


「……ひとまず、しまっておきなさい。」


 口調はとても静かだった。


 でも俺にはわかった。彼女は何か知っている。言わなかっただけで。

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