第4章 打
「大師」はその写真をじっくりと見つめていた。
仮面を付けているけど、とても嬉しそうなのがわかる——仮面の模様が変わって、曲がった、まるで笑っているような線になっていた。
【この仮面、感情を表現できるのか?……でもこの笑い顔、なんか不気味だな。】
「感謝する。吾れ喜ばしいゆえ、術をお前に授けよう。」
ようやく教える気になった。
「其一、術は名が長きほど、その力強し。肝に銘じよ。」
名前が長いほど強い?嫌な予感がする。
「例えば——『打』——見せてやろう。」
『打』?まさか字面通りの「殴る」って意味じゃないよな?
「大師」は地面に半分埋まった錆びた塔盾の前に歩いていき、立ち止まった。
「打。」
一文字。拳で塔盾を殴る。
塔盾は少し凹んだ。でも拳も少し擦りむいた。
【これ、ただのパンチじゃないか?!どこが魔法なんだ?しかも自分も怪我してる!】
「烈打。」
二文字。地面に刺さった錆びた大剣に持ち替える。一拳で、大剣は真っ二つに折れた。
【威力は上がったけど、やっぱり拳だよな……】
「超烈打。」
三文字。さらに大きな盾壁の破片に向かい、拳を振るう——拳が鉄面に当たる前に、盾壁はもう凹んでいた。
【お?ちょっと面白くなってきた。】
「究極超烈打。」
五文字。遠くに廃棄された破城槌の残骸がある。二歩ほど離れて拳を空振りさせると——槌の金具に穴が開いた。
【ちょっと待て、手も触れてない?これもう魔法だろ!】
「究極超絶超烈打。」
七文字。今度は構えも取らず、ただ軽く手を上げるだけ。前方の錆びた鎧の破片の山が、まるで見えない巨大なハンマーで殴られたように、四方八方に飛び散った。
【しかも……さっきあの変な喋り方してなかったよな?】
「今日は気分がすごくいいから思いっきり殴ってやるからお前はどいたほうがいいどかないとケガするぞ。」
一息で言い切った。息継ぎもなし。
【「大師」、普通に喋れるんだな?!】
遠くに戦場の隅に捨てられた分厚い鉄の扉がある——何かの要塞の残骸だ。彼女が言い終わると同時に、手も上げないまま——鉄の扉が消えた。
飛んでいったんじゃない。直接粉々に打ち砕かれた。
風が吹いて、鉄錆色の塵の霧が舞い上がった。
【これは……強すぎるだろ……】
「驚くには及ばず。これは基礎の術に過ぎぬ。」
【これが基礎?!】
「もし続けて学ぶなら、さらに上のものもある。だが、吾は代償を取る。」
「じゃあ……『打』はサービスでくれるんですか?」
「諾。」
「後の魔法はソウル貨で学べるんですか?」
「然り。」
「でも、なんでサービスしてくれるんですか?」
ずっと心にしまってたこの質問が、思わず口から飛び出した。
「吾には一人の友がおる。お前の心を知り、吾に頼んでよく世話するようにと。」
「友達? 俺の知ってる人ですか?」
「然り。」
「『心を知り』ってどういう意味ですか? 俺、別に何もしてないですけど……」
【俺がやったNPCクエスト……たしかコーラの日記を見つけただけだよな?それが『心』と何の関係が?】
【この「大師」と友達でいられるのって、まさか朔?】
「守護者様ですか?」
「非ず。その者の名は——シエル。」
【シエル?! 心?!】
【ちょっと待て、まさか変な誤解してないよな?】
あの鉄製短剣のことを思い出した——コーラは「護身用に持っておけ」と言ったのに、シエルは後で俺に感謝していた。もし彼女があれを俺からの贈り物だと思ったのなら……
【そんなバカな、ないないない!】
「お前が彼女に心を寄せていると知っている。吾もお前の誠実さを見たゆえ、手を貸している。」
「心を寄せている」? 俺、シエルのこと好きだなんて一度も言ったことない!
「絶対に誤解してる! いや——彼女が誤解してるんだ! 彼女がどこに仕入れに行ったか知ってますか? 行って説明しないと!」
「お前、照れているのだ、吾にはわかる。彼女もまた理解できず、知り合いに尋ねて、ようやくその意味を知った。」
「誰に聞いたんですか?」
「その者の名は——コーラ。」
【コーラ?! あいつ、いったいシエルに何を言ったんだよ……】
「『大師』、ありがとうございました。先に失礼します。」
今すぐ戻らないと。このことはちゃんと説明しなければ。




