第9章 女王
「ここ、そんなに広いのか?」
「こんなに大きな部屋は初めて見た……本当に不思議。でもなんでみんな、先に食事をしないんだろう?」
「もう一度挑戦が必要なのかもしれない。」
部屋の左側には、金の扉を通った子供たちがいる。いつの間にかとても正式な装備に着替えて、交渉のテーブルに座っていた。
「ココア、あいつらが何を話してるか聞こえるか?」
「あまりよく聞こえない。でも交渉じゃない……腹の探り合いだ。」
俺には聞こえないが、見ることはできる。テーブルの上の書類はめちゃくちゃに破られ、誰かが机を叩き、誰かが冷笑している。長い時間の後、真ん中に座っていた子供が最後の書類を向こう側に押し出し、相手が署名し、隣も署名し、次々と。そして全員が署名し終えた。
部屋の右側には、早々に白い扉を通った子供たちがいる。
「右は?」 また聞く。
ココアは目を閉じてしばらく聞き、それから目を開けて首を振った。「怒りの叫び以外は、相手に死ねと言ってるだけ。」
比武場では、最後まで立っていた二人の子供がまだ戦っている。一人が剣の柄で相手の木剣を弾き飛ばし、剣を落とした方は地面に跪き、もう立ち上がらなかった。勝った方は歓声を上げず、ただ相手を一瞥してから、中央を見上げた。
両側とも終わった。
ココアが立ち上がり、服の埃を払った。
「そろそろ部屋が変わるかもしれない。」
言い終わると同時に、三つの部分を隔てていた仕切りが消えた。両側の子供たちは大半が疲れ果てて動けず、それぞれ一人だけまだ力のある子供が中央の食卓に気づいた。
彼らは弱々しく歩いてきた。正式な服を着た方は外套を乱暴に脱ぎ捨て、木剣を持っていた方はすぐに手を離し、食卓へ駆け寄った。このテーブルにどんな決まりがあるかも気にせず、口を動かし始めた。
交渉に勝った子供が食卓に座り、まず祈りを捧げ、それからココアに気づいた。
「君も客だろ? 一緒に座って食べないか?」
「ありがとう。主人が気にしないといいけど。」
食卓に座っても問題なく、食べても今のところ問題がないのを見て、ココアはその子供の誘いに応じ、低い身分の席に座った。
「ついに——お前たち子供たちの中の優秀な者たちが選び出された!」 あの声がまた響いた。「もちろん約束は守る。私に会わせてやろう。」
この声は間違いなく城の女王だ。しかしなんだか軟らかくて、ずっと喉に痰が詰まっているように、しゃがれて粘っこい。
「この声、変だね……」 ココアが小さく言った。
「うん、俺もそう思う。」 声を潜めて返す。
食卓の前の闇から、ゆっくりと巨大な影が現れた。
彼女がついに光の下で姿を現した時——あまりに肥満し、筋肉がたるんだ女だった。
あの束身のドレスでなければ、スライムのような体を拘束できない。頭の上の王冠は大きく華やかだが、半分は頭にめり込んでいる。
【まさか。これがマルコだって言うのか? 彼女の見た目が醜いとかそういう問題じゃない……でもこれ、人間なのか? 好感度システムが俺のを表示できたら、絶対零度になってる。】
いや、女王に生きているとバレてはいけない。バレたら終わりだ。
「あなたが女王様ですか?」 交渉に勝った子供が平静を装って口を開く。
「なんだこの化け物! 俺の剣は?!」 もう一人は怖くて喉を詰まらせ、椅子から飛び降りて木剣を拾いに行く。
「勇敢な子よ、落ち着きなさい。」 女王が手を上げる。「食事を続けなさい。私に驚いてはいけない。」
彼女の腕は弾力に富んで伸び、木剣を吸い寄せて手に取り、それを拾おうとした子供も一緒に連れて行った。椅子の上まで移動すると、その子供は彼女の手から落ちた。そして剣は彼女の体内に残り、少しずつ腹のあたりへ移動していく。
その子供は体中に粘っこい液体をつけられ、吐き気を催してえずき、食べたものを吐き出しそうになった。この状態では、しばらくは食べ続けられないだろう。
「女王様、あなたは本当に私たちのことを考えてくださっている。」 賢い子供が口を開く。口調は子供とは思えないほど落ち着いている。「きっと何か大事なことがあって、全員ではなく私たちだけにしか話せないから、この挑戦で選んだのですね?」
「その通り。やはり賢い子だ。」
女王がもう一方の手で彼の頭に触れた。粘っこいものが彼の頭にもついたが、彼はさっきの子供のようにすぐに嫌な顔をせず、落ち着いて軽く笑った。
「でもこの女の子はどうしたのかな?」 女王がココアを見る。「本来なら、ここには二人の子供しかいないはずだが。」
「こんにちは、女王様。」 ココアは穏やかな口調で。「まさか、ご自身が隠し扉を設置したことをお忘れではないですよね? 私はその扉を見つけて入ったんです。でもその隠し扉のデザイン、本当に素晴らしいですね。」
【なんて礼儀正しい返答。さすがココア。】
「おお、そうそう、長い間誰も見つけなかったから、忘れかけてた……いやいや。」 女王がふと止まる。「あれは隠し扉じゃないよ、子供。」
彼女はしばらく沈黙した。
「はははは——お前たち二人とも、体中が汚れすぎている。こんな不潔な格好で食卓につくなど。私に会えたのだから、あまり欲張ってはいけない。早く行きなさい。」
「はい、女王様。お邪魔いたしません。」
賢い子供はすぐに礼をし、勇敢な子供のそばに回り込み、彼を連れて行った。
「女王」は何か重要なことを言うために、わざと彼らを追い払ったのだ。
「ああ——ココア。」 女王の声が突然変わった。しゃがれた声ではなくなり、むしろよく知る名前を呼ぶように。「愛しい子よ、やっとママに会いに戻ってきてくれたのね?」
二人の子供がいなくなると、女王はテーブルを跳ね飛ばし、ココアを抱きしめた。
俺は急いで手を離し、地面に落ちた。
「ママ……?」 ココアの声は小さかったが、もがきもせず、俺を呼びもしなかった。
あの擦れる音がどんどん軽くなる——つまり、二人はどんどん遠ざかっている。
体を起こすと、部屋の両側にいた子供たちがいなくなっていることに気づいた。
彼らがいた場所には、二つの粘っこい液体の水たまりだけが残り、まだゆっくりと流れている。一つは白、一つは金色。
白い水たまりは、さっき木剣で戦っていた子供たち。金色の水たまりは、交渉に負けた子供たち。
天井から二本の細長い透明な管が伸び、管の先はそれぞれの水たまりの真上を向いている。液体はゆっくりと吸い上げられ、管に沿って天井へ向かう。
二本の管は途中でより太い透明な管に合流し、二つの水たまりの液体は同じ管を通って外へ運ばれ、壁の中へ消えていく。
管は天井に縮み、何もなかったかのようだ。
【……負けた子供たちはみんなこれになったのか?】
そして勝った二人の子供は女王に追い払われた後、姿を消した。どこへ行ったのかわからない。
その場に立ち尽くし、どうすればいいのかわからなかった。
【ココアが少しでも抵抗してくれたら、俺にも攻撃のチャンスがあった。でも彼女はそのまま抱かれていった。もがきさえしなかったのか?】
それに彼女の母親は酒場の女将じゃなかったのか? なのに「女王」も彼女の母親?
これは一体どういうことだ。




