第1章 膠質沼地(コウシツショウチ)
祭壇から出ると、朔がシエルと話していた。
割り込むのは失礼かと思い、振り返ってコーラのところへ向かった。一つはまだ鎧の修理をちゃんと礼を言っていなかったし、もう一つは超速の力が収まった今こそ、あの刺剣のピンク色の液体について聞いておきたかった——ずっと聞くタイミングがなかったのだ。
「コーラ、鎧を直してくれてありがとう。」
「ん? 何だ?」
「ありがとうって言ったんだ……」
「おう、どういたしまして。」
【……なんだか上の空だな。何を見てるんだ?】
コーラの視線を追うと——朔とシエルが楽しそうに話していて、シエルが何か言っては笑っている。
【ちょっと待て、お前たち何をそんなに楽しそうに話してるんだ……コーラが俺の話を全く聞いてなかったのも納得だ。】
心の中で呟きながら、割って入ろうとした——するとシエルが何かに気づいたように話を止めた。朔も横目で俺を一瞥したが、何も言わなかった。
まあいい、まずは液体の話をしよう。
「リリィ」 コーラが突然呼び止める。「後で、あの二人が何を話していたか聞いてきてくれないか?」
「あ、ああ。」 一瞬固まった。
【……どうして急にそんなやきもち焼いた目で見るんだ? びっくりした。】
「頼む。」 彼女は目をそらす。「他に用は?」
「もう一つある。」 刺剣を差し出す。「これでヴィロシと戦った時、剣に付いてるピンクの液体がすごく粘って、速度を落とせたんだ。風も感知しやすくなった。これ、お前が作ったものなのか、それとも——」
「自分の世界から持ってきたものだ。」 コーラは刺剣を受け取る。「気にしないでくれ。もう使わないだろうから、処分しておく。」
「お前の世界? シエルも?」
「もちろん。俺たちは同じ時空の出身だ。驚くことでもないだろう?」
彼女はそう言いながら刺剣を溶鉱炉に差し入れ——中に何かの液体を注いだ。炎が一瞬で灰青色に変わる。剣を黄色くなるまで焼き、油に浸す。再び取り出すと、剣身のピンク色の液体は消えていて、代わりに灰青色の艶が浮かんでいた。
「驚かないよ。」 その艶を見る。「お前たちの関係を見ればわかる。でも聞いたんだが——お前たちの世界は暴君に滅ぼされたんだって? コーラはシエルと同じ意見なのか?」
「全部シエルから聞いたのか?」
「まあな。」
「確かに世界は滅んだ。」 刺剣を返す。口調は淡々としている。「でもそれは必然だったと思う。俺とシエルの考えは違う——彼女は復讐を望んでいるが、俺はもう手放している。」
「そうだったのか。」
「持っていけ。」
刺剣を受け取り、鞘に収める:「で、その液体はお前たちの世界では何に使うんだ?」
「実は馬車の減速用だ。」 コーラは手を拭く。「重い荷物を載せた馬車は慣性が強すぎるから、車軸に少し塗っておくと飛び出さない。」
「お前の家ではよく使ったんだろ?」
「どうしてそれを?」
「お前の腕前を見ればわかる。」 言う。「元の世界でも鍛冶屋の家系だったんだろ——馬車で鉄器を運ぶことが多かったから、そういうものが必要だったんだ。」
コーラは俺を見た。まさかそう言われるとは思わなかったようだ:「……お前、なかなか詳しいな。」
「まあな。」 笑う。「じゃあさっきの話題を聞きに行ってくる。」
「ああ。」
もちろん、シエルから話を聞き出すには、まず何か買わないと。
「上等な布地だよ、リリィ、いる?」
「もちろん。あちこち替えたいところがある。」
ソウル貨を使ってよく使うものを買い揃えた。縫合剤はまた値上がりしていたが、買わないわけにはいかない——今使わなければ、体の縫い目が緩んでいくのがはっきりわかる。全身がだらしなくなる。
「ありがとうございました♡」
「そうだシエル、さっき朔と何を話してたんだ? あんなに楽しそうに。」
「明日がコーラの誕生日なんだよ♡」 彼女は声をひそめた。「知らなかっただろ?」
「何? 確かに知らなかった……」
「そうなんだよ。じゃなきゃ何を話すって言うのさ♡」 シエルは首をかしげる。「でもな、コーラの目つきがちょっと変だった気がする——まさか自分で忘れてるんじゃないか?」
「それで、どうやって祝うつもりなんだ?」
「サプライズだから、もちろん秘密だよ♡ あたしは買い出し担当で、具体的な段取りは守護者様が決めるんだ。」
「なるほど、それは楽しみだな。」
「そうだ——」 シエルは何かを思い出したように言う。「守護者様が言ってたんだけど、この世界にはきれいで美味しい水があって、飲み物に使えるんだって。でもあたしは探してる暇がなさそうで——もしリリィが都合よかったら、探しておいてくれないかな?」
【またシエルから直々のサブクエストか……まあいい。】
「わかった、探しておく。」
その後、朔のところに戻り、布地を替えてもらいながらレベルアップもしてもらう。
長い間貯めていたソウル貨で、レベルが一気に五つ上がった。でも正直言って、それがどれだけ役に立つのかわからない——何度レベルを上げても、死ぬ時は死ぬし、ボスも全部仕組みで削ってきた。
「これはマルコ様の世界ですね?」
朔の声で現実に引き戻される。彼女の視線を追って窓の外を見る——すでに窓の隙間から液体が染み込んでいた。半透明で粘っこく、何か膠のようなものが教会の外でゆっくりと膨れ上がっている。
「そうだ。」 その液体を見る。「彼女の能力は……膠質の力だったっけ? ちょっと変わった名前だな。」
「リリィはなるべく地面に触れないようにして。」 朔が言う。「正確には、水に触れてはいけない。それは致命傷になる。」
「わかった、了解した。」
【朔からの警告は、しっかり受け止めておかないと。】
「無事に帰ってきて。」
「うん。」
もう迷わず、教会を飛び出した。
外は確かに朔の言う通りだった——見渡す限り、半透明で濁った黄色がかった膠質沼地が広がっている。まるで巨大なゼリーが世界を覆い尽くしたかのようだ。
表面から気泡が浮かび上がり、ぷつぷつと割れていく。風で割れるんじゃない。まるでその膠自体が呼吸しているかのように。
遠くには、膠の中に閉じ込められた枯れ木の輪郭がかすかに見える。歪に立っていて、琥珀の中に閉じ込められたもののように。
翼耳を羽ばたかせ、まだ枝が外に出ている枯れ木の方へ飛んでいく。下のあの粘っこいものは、何かが落ちてくるのを待っているかのように、ゆっくりと動き続けている。




