21話「不幸の具現化」
「俺、死神として過ごす。なんか、そのほうがいい」
「まぁ、決めるのは勝手だが…。……うん、お前変なやつだな」
「面白そうだし、飽きたらやめればいいでしょ」
「能天気だな。何年も前の生贄が成長して戻ってくる方が村としては怖いだろ」
「もしずっといたらどうなる?死ぬ?死なない?」
「前例がないからわからない。気になるなら試せ」
「……はぁい」
そんなこんなで始まった死神生活。
最初は主にショウから教えてもらいながら、死神としての使命を全うしていった。もちろん、生贄の管理も。
生贄になった人物を逃がし、名前を伝える。そうすることで、自分の名前を奪ってもらえる。そして、襲いかかってくる不幸の塊からも逃れられる。
あの化け物たちは村からとった不幸の塊からできたもの。生贄が授けられた時にしか現れない空間にいる。正直に言って、あそこを"空間"と呼べるのか、いまだにわからないけど。
化け物を倒して、不幸を少しずつ減らしていく。化け物の好物は人間の寿命。それを授ければ消える。小さな不幸は攻撃で消えることもあるけど、長年積もってきた不幸は消せない。
だから、生贄たちから一年ずつ寿命をもらうことにした。
今までは一年間死神労働だったから、一年という点ではほぼ変わらないはず。
少しずつ寿命を捧げて、新しい不幸は攻撃で消して。何年か繰り返して、最後の不幸の消滅が見えてきた。あと、数十年の寿命で終わる。意外と早かった。
その寿命は、自分の寿命を差し出すつもりだ。人間としての寿命はまだ残っているはずだから。でも、不安要素は残るからあと少しだけとっておきたい。
最後の不幸が消滅すれば、生贄の儀式もなくなる。きっと、村を縛りつける"呪い"はこの不幸も原因だと考えているから。
そう思って、望んだ儀式。そこに現れたのが優。
もう全てが予想外だった。
結局優に約束を取り付けてしまい、代償として寿命をとるではなく"能力"を与えてしまった。
儀式の記憶は消えているから優は覚えていないだろうけど。
だとしても、この先優を巻き込むことになるのは事実。
いくら優から言い出したこととはいえ、こうなったのはアラタに原因がある。




