18話「死神」
十何年前。
新は村の生贄として捧げられた。
「……どこ、ここ?」
何もない真っ暗な空間。
とうとう死んでしまったか。
案外すんなりと死を受け止め、適当にふらついていた。
「おい」
急に誰かに声をかけられた。
「……先輩?」
去年行方不明になっていた先輩の声だった。いや、行方不明ではない。なんの前触れも無しに引っ越していたため、そう誤解しただけの話。
でもその先輩がどうしてここに。
村という狭いコミュニティだからこそ知っているだけで、さほど関わっていない相手。思い入れも何もない。
「名前は?」
「……志木新」
そう言った瞬間、先輩が走り出した。
「え」
そう言った頃には、化け物達に囲まれていた。
た、食べられる!
そこから先は覚えていない。
次に目が覚めた時には、また知らない場所にいた。
日本の死神の長と名乗るショウと出会い、話を聞いて冥界にいることがわかった。
生贄の儀式。
毎年あの村は生贄を捧げ、生贄は一年間死神として過ごす。
そしてまた生贄が捧げられた時に元の世界へ戻れる。
生贄になる条件は、名前を捧げること。
名前を相手に盗られたら、死神になるしかない。
そう説明された。
でも、新はあることを思った。
「それって、相手の名前を盗らなかったら死神続投ってこと?」
「そうだが、……お前何言ってるんだ?」
特に理由も何もない。ただ生きることがめんどくさい、そう感じながら毎日を生きていた。
……めんどくさく過ごすより、死神として過ごした方がいいんじゃね?
そう思ったのが始まりだった。




