表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狼の恩返し  作者: kuro
6/45

王都到着。そしてギルドへ

大陸には大きく分けて、三つの国がある。


人が多く住む、パンゲア王国


妖精や亜人が多く住む、ディナ・シー公国


妖魔、悪魔が多く住む、シャイターン帝国



以上の三つだ。



シャターンは他国と仲が悪いが、パンゲアとディナ・シーの仲は良好だ。


その為どちらの国にも人や亜人が多く出入りする。


そして、人の王が治めるパンゲア王国最大都市。


王都ミドガルド。


そこに二人の青年が入っていった。











「意外にも楽だったな…。もっと時間が掛かるかと思った」


「最近は戦争もなくて平和ボケしてるんでしょう。そうでなければ私達がこんなに簡単に入れるわけがありません」


「なるほど」



ガルーとルースは街中をのんびりと歩きながら、先ほどの王都に入るときの審査について話していた。


審査は簡単で、持ち物調査と王都に何しにきたのかを質問されただけだった。


怪しいものなど何も持っていなかった二人はただ「恩人を探しにきた」とだけ言って、門番にあっさりと通された。



「それで? ギルドってのはどこだ?」


「えーっと、門を出て真っ直ぐ行った所に大きな看板が出ていると門番の方は言っていましたが…」



二人はそう言って親切な門番に言われた、「ギルド」と呼ばれる場所を探している。



「いやー、それにしても随分と便利なものができたんですね~。モンスター討伐から飼い猫探しまでするとは。ギルドとはなんて素晴らしいところなんでしょう。」


「単純に節操がないだけだろ」


「いいではないですか、便利なら」


「まっ、そうだな」



ギルドには様々な業種の人間が仕事を探しにやってくる。


そして、普通の人が仕事を依頼する事も簡単に出来る。


「人を探しているならギルドに依頼すればいい」と言う助言に従い、彼らはギルドを目指した。







「っと、ここのようですね。看板もしっかりと出ています」


「結構でかいな。俺のとこの道場みたいだ。まぁ、こっちは三階建てだが」



そう言って二人は普通の民家が三つは入りそうな大きな建物を見上げた。



建物には「GUILDギルド 王都ミドガルド店」とでかでかと大きな看板が垂れ下がっていた。



それを二人は特に驚くでもなく、物怖じせずにスタスタとギルドの中に入っていった。






「すみません。仕事を依頼するにはどうすればよいのでしょうか?」


店内に入り、すぐ受付らしきものを見つけたルースは早速仕事の依頼をしようとする。


「なぜコイツが俺の依頼を頼むか」と疑問に思ったが、社交性がない自分が人に物を頼むのは難しいだろうと思い、ほうっておく事にした。


…それに


「は、はい! どんなご依頼でしょうか!?」



…俄然はりきりだした、あの受付嬢の楽しみを奪うのは少し気が引ける。



あっ、あの受付だけ受付嬢がいっきに三人に増えたぞ。美形は得だなオイ。



「それでは探し人の特徴を教えてください!」


「えーっと、ですね。赤い髪と翡翠色の瞳が特徴の貴族の令嬢です」


にこやかに答えるルース。


「ね、年齢は分かりますか?」


それと反対に顔が曇り始める受付嬢。



「えーっと、多分あそこにいる黒い服の青年と同じくらいだと思います」



そういって俺のほうを指差したルース。受付嬢たちがものすごい目で俺を見てきた。


(…こわっ)


受付嬢たちは俺を顔を見た後、今度はものすごく悲しそうな顔と声で口々に、



「さ、探している方は恋人ですか?」「ち、ちがいますよね?」「違うと言って下さいっ!」



と言ってルースを苦笑いさせた。



そして、ルースは苦笑いのまま「私の恋人ではありません。友人のです」と言った。



俺はそれを聞いた瞬間、受付で受付嬢相手にボケたことを言った馬鹿の頭を叩いた。



スパーン!



結構いい音がして、ルースがこちらを少し涙目で見てきた。


なにがいいのか、ついでに受付嬢が頬を赤くさせている。



「…ちょっと酷くないですか」


「ボケた事いってるからだ。さっさと依頼を頼むぞ」


俺はルースにそう言って、受付嬢達に探し人の依頼を正式に頼んだ。


「依頼は受けてくれる人がいないといつまで掛かるか分からない」と言われたので通常の1.5倍の料金で依頼した。


俺は仕事の依頼料をさっさと渡して依頼完了。


後は情報が来るまで待つだけ、それまでは街で宿を取りながら自分達でも地道に探す。



だが、その前に



「腹が減ったな。どっかで食ってくか」


「そうですね、どこがいいでしょうか? せっかくですから王都でしか食べれない物でも食べましょうよ」


「さっき依頼して懐がさみしい。奢ってくれ」


「まぁ、いいですよ。路銀はかなりありますし」



そう言って二人は空腹を満たすため、受付の前から玄関の方にスタスタ歩いていく。



すると、その様子をみた受付三人娘が受付から身を乗り出して言った。



「ま、待ってください!」「しょ、食事なら…!」「ここで! ここで出来ますっ!」



「え?」「は?」


その言葉に少し面食らいながら受付に引き返す二人。



「は? 何ここって飯食えるの?」



ビクッ!!!



俺がそういうと、受付三人娘がなぜか怯えた。



「ここでは食事ができるのですか?」


「「はい! そうです」」



今度はルースが声をかけると、ものすごく嬉しそうな声で返事をする受付三人娘。



「…………。」



俺はもう何も言わない。


なにやらルースと三人娘が和気藹々と話しているが俺は無視する。


しばらく俺は意識を遠くに飛ばして辛い現実から逃げた。















「ガルー!ガルー!」


「ん?」



いつの間にかルースが俺の肩を叩いていた。



「ガルー、ガルー! 凄いですよここは! 食堂どころか、武器や防具や簡単な薬まで取り扱っているそうです!」


「ふーん」



なんだか興奮した様子のルースに俺は気のない返事をする。



「それに! ここのすぐ近くにギルドのメンバーが使える格安宿があるそうです!」


「へー」



あの受付の三人娘に薦められたんだろ? 知ってるよ、意識飛ばしても声は聞こえてたから。



「でも、俺達はギルドのメンバーじゃないぞ」


「あぁ、それなら大丈夫です。さっきコレを貰いました」



そう言ってトランプのカードらしきものを渡してきた。


二つあって、その内一つを俺に渡してきた。



「…なんだコレ?」



それは裏にも表にも、文字も何にもない白紙のカードだった。


俺が突然渡された白紙のカードに困惑していると、ルースがにこやかに笑いながらカードについて説明し始めた。



「これですね、ギルドカードと言ってギルドに加入したギルドメンバーが持っているカードです。これは依頼を達成するごとに星が増えて、その数によって色が変わるんです」


「ふーん」


俺は対して興味がなかったので適当に相槌をうった。



「最初は星が殆どないので白紙の様な白。それから徐々に色がついていき青、黄色、緑、赤、銀、金と豪華な色になっていくそうです」


「へー、それで?」


本当にどうでも良いので、テキトーに会話を続けた。



「はい! なんでも金色カードになるとギルドの施設がほぼ無料で使えるそうです!」


「ふーん」意外としょぼいな。


「そして、都市によっては国賓待遇で迎えてくれるそうです。さらに、王城に招かれることもあるとか!」


「あっ、そりゃすごい」


王城に招かれるのは凄い。確か貴族しか入れないんじゃなかったか?



「で、そんなカードを何で俺達が持ってるんだ? 俺もお前も、ギルドには加入してないはずだぞ?」



俺は白いカードをヒラヒラ振りながらルースに聞いた。


「さっきの子達が無料で作ってくれました。宿を決めていないといったら、さっき話した格安の宿に泊まれるようにと、とても親切に」


ある意味予想通りの答えが返ってきた。


「…あっそ。まぁ、いいや。それより食事は?」


俺は少し疲れた。早く飯を食いたい。


「あぁ、二階が食堂だそうです」


「じゃ、行くか」


「はい」


俺はカードを懐にしまいながら、ルースと一緒に食堂に向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ