第8話 初めてのモンスター戦
投稿が遅くなってしまいました。
研修期間の半分…2週間が過ぎた。ある程度戦えるようにはなったと思う。
「君は本当に飲み込みが早いね。まさか1週間で基本魔法をおおかた習得してしまうとは思わなかったよ。」
そう。1週間で【炎球】、【水球】、【風球】、【土球】の4属性の基本魔法。
そして【結界】や【治癒】といった無属性魔法も少し覚えた。
なめるなよ!これでも前世ではゲームやアニメをかなり見ていたのだ。イメージするだけなら簡単である。
「じゃあそろそろ実戦に移ろうか。まあ、まずは弱いモンスターからだから、そこまで心配はしなくていいと思うよ。じゃあ今から取ってくるね。」
ついに実戦かぁ。やっぱり練習とは違う緊張感が必要ということなのだろうか。
…いや待て。今バランさんはなんて言った?
―取ってくるね。
この、ギルドの訓練場に連れてくるってことか!?
「やぁ。ただいま。これが最初に君に倒してもらう…【闇角獣】だ。」
少しして帰ってきたバランさんが担いできたモンスターはまさに黒いユニコーンだった。角に至っては全てを吸い込むような闇色だった。
…風格が違う。明らかに中ボスのような雰囲気をかもし出している。
「私の能力で気絶させているからね。申し訳ないけど準備でもして待っていてくれ。」
「すいません。これが弱いモンスターなんですか?」
「そうだよ。気になるなら鑑定すればいいんじゃないのかい?」
確かにそうだ。というわけで鑑定してみると。
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【種族名】闇角獣
【レベル】29
【種族特性】引力、斥力
【属性】水、風、闇
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人間とは鑑定結果の見え方が違うなー。とか、種族特性なんてあるんだなー。とかいろいろ思うことはあったが目についたのはレベルと属性だ。
…上位属性持ちのレベル29。俺とあまりにも強さが違うのだけど。
「あのー?俺との強さの差が違いすぎませんか?」
「いいや?問題ないね。君の能力ならなんとかなるんじゃないかな?」
俺の能力?「幸運」?
つまり…運任せに避けろって言ってんのか!?この人は!?
そんなことを考えている間にダークユニコーンが起き上がった。
「ヒヒィィィイン!」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
いななきが鳴り響く。それと同時に【針雨】と【風刃】がいくつも飛んでくる。しかし。
カキン!
結界で【針雨】を無効化しつつ【風刃】を避ける。
偶然全ての風刃をかわすことができた。
しかし、それにダークユニコーンは苛立ったようで…。
「さぁ。本領発揮だ。引力で君に魔法が必ず当たる状態で、斥力で近づけないダークユニコーンを…君はどうやって倒すのかな?」
いや、どうやってとかじゃなくてね?
…これ無理ゲーじゃね?
とりあえず魔法攻撃は結界と回避でしのぎつつ、対処法を自分なりに考えてみることにする。
その一、相手のエネルギーを全て使わせる。
相手のエネルギーが尽きるまでどれだけの時間がかかるわからない。却下だ。
そのニ、強引に突破する。
俺にそれだけの突撃力はない。却下だ。
その三、なんとかして相手のバリアを解除する。
なんとかの内容が未だにわからない。保留だ。
…万事休す…か?
一旦今はどちらも攻撃が当たらず決定打に欠けている。というかどちらも一度も相手にダメージを与えられていない。泥仕合にもほどがあると思う。
そしてそんなお互いに何もできない無駄な時間が過ぎていき、5分ほど経った頃。
…あれ?
だんだんダークユニコーンの周りにあった黒いバリア的なもの(鑑定結果を信じるなら「斥力」だろう)が弱まってきているような気がした。
「おや?普通なら5分で切れるようなバリアではないのだけれど…。」
バランさんも初めて見るような珍しい光景らしい。
(だけど俺にとっては好都合!)
弱まってきているなら話は変わってくる。ゲームで知ってるぜ?こういう無敵系の敵の弱点にあるあるなのは!
(2方向からの同時攻撃!)
考える前に即実行。自分の放てる最強の火力を誇るオリジナル魔法【火炎放射】を放ちつつ、【身体強化】を使い、素早く後方に回り込む。
(ま、カッコつけても最小サイズの【炎球】を10発くらい一気に撃ってるだけなんだけどね)
そんなことを考えつつ、身体強化を右拳に注ぎ込む。予想通りバリアが前方に集中して、後方ががら空きだ。
「オラァッ!」
「ヒヒィィィイン!?」
また、いななきが響いた。だがそれは最期の悲鳴だったのだ…。
少しカッコつけてみたが、俺もダークユニコーンが消え去るのと同時にぶっ倒れた。魔力が切れたのだ。
「やれやれ、魔力を全部使い果たしてどうするんだい?いつ不意打ちされるか分からないんだ。余力を残して倒せるようにならなきゃね。」
「そうですね。ところで限界を出しきらないと勝てない相手を出してきたのはどこの誰なんでしょうね?」
「さあね?私は余力を残して勝てる相手を持ってきたつもりだよ?」
どの口で言っているのか。そして俺は異世界に来てから早くも二度目の気絶を経験した…。
− − −
「よう。」
「何の御用です?ギルマス。」
「何って可愛い新人のしごかれてる様子を肴に酒を飲みに来たんだよ。」
「…相変わらず性格が悪いですね。」
デッドロックはバランに馴れ馴れしく話しかけた。そのかたわらにはギルド副長であるペース・トレストの姿があった。
「で?あなたは何をしにここへ?まさかあなたもお酒を飲みに来たわけではないでしょう?」
「えぇ。もちろん。私からあなたにお願いがあるのですけれど。」
「何なりと。」
「…おい。俺の時とずいぶん態度が違うな?」
華麗にギルド長をスルーしつつ、トレストの返事を待つ。
「実は私の弟が冒険者になったのです。彼、サダメくんだったかしら?パーティを組ませてみませんか?」
「へぇ。悪くないと思いますよ。私はね。ですがあくまで決めるのは彼だ。それで良いなら彼には話しておきましょう。」
「感謝します。…彼は本当に期待の新人ですね。」
その言葉を聞きながらバランは思う。
彼のやってみせたことの非常識さを。
2週間でオリジナル魔法を生み出すなんて聞いたことがない。しかも世界に認められ名がついた魔法を生み出すなんて。
(本当に面白いね。彼は。)
バランはこれからを考えて愉しそうに嗤った…。
【針雨】…針のように極細の水を雨のように降らせる魔法。一発一発の威力は低いので結界で無効化できる。どちらかというと結界を張らせて魔力を浪費させるための魔法。




