第4話 冒険者になりました
目が覚めると、真っ白い天井が目に入った。
「俺は…?ああ、そうだ。負けたんだったな。」
見事なまでに完敗だった。試験官に一度すらもダメージを与えられなかったのだから。これは不合格コースまっしぐらかぁ?
そんなことを考えていたら扉が開いた。今さらだがここはギルドの医務室である。
誰が来たんだろう?と思って、首を向けると、試験官が立っていた。
いや、ホラーではない。さっきも言ったがここはギルドだ。試験官の人もギルドの人なのだからいるだろう。しかし、試験のときは気だるそうだった表情が今は活気に満ちている。まるで面白いおもちゃを見つけた子どものように無邪気な顔だった。
「やぁ。」
「あ、はい。」
おっと、まさか突然話しかけてくるとは。困ったな。まだ俺は彼について何も知らない。話題がないのである。
「さて、突然で悪いが君はどうやって私の攻撃を避けていたんだい?」
「え?いや、勘ですよ。それ以外にどうしろと言うんです?未来予知できるわけでもないですし。」
「…へぇ。フェイントを混ぜた攻撃を20回以上。勘で避けていた。か。」
危ない危ない。思わず「何言ってんですか?」と前世の毒舌が出るところだった。彼はブツブツ何か言っているが、ちょうどいいので気になることを聞いてみようと思う。
「俺からも質問いいですか?」
「ああ、すまないね。何でも聞いてくれ。」
「どうして俺のパンチでダメージを受けなかったんですか?」
そう。問題はこれなのだ。確実にみぞおちのあたりを狙った。偶然だが。なのに、彼は全くダメージを受けていなかったのだ。
「ああ。私の能力だよ。【平均】と言ってね。君のパンチの衝撃を周りの空気に平均化して分散させたんだ。そして、君に触れた時に君の心拍数を平均化してね。酸欠で気絶させたというわけだ。」
ふむふむ。つまりこの人はチート能力持ちということだ。
え、なんで?なんでこんな人が試験官やってんの?弱めの冒険者とかが出てくるもんじゃないのか?
「まあ、というわけでこれから君の教育を担当するよ。改めまして、私の名前はアベレージス・バラン。バランと呼んでくれ。」
この人がいわゆる俺の師匠というわけだな。
って、あれれ??
「えっと、試験は…?」
「うん?あぁ。あれはほとんど形式上のものだよ。このギルドは来るもの拒まずの精神だからね。もちろん勝てばそれ相応の対応はあるだろうが、不合格ということはありえない。仮に弱くても教育すればある程度は大丈夫になるものだ。」
これまでの試験は全部茶番だったということか。
だけどまあ好都合。これで冒険者としての資格をゲットした…
「ではこれから一ヶ月の【研修】を経て君も冒険者にしてあげよう。」
「え?今なれるんじゃ?」
「そんなわけないだろう?君の能力や魔法に合った戦い方を教えてあげてからだ。すぐに死なれては困るからね。一応今は【冒険者(仮)】になっているはずだ。ステータスをチェックしてみたらどうだい?」
なるほど。ステータスを開いてみると、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【名前】ユキタ・サダメ
【二つ名】転移者
【所属】冒険者(仮)
【能力】「幸運」
【レベル】1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
確かに。というか…
「魔法?」
「うん。君は何属性が使えるのかは知らないけれど。今度測ってみようか。」
ヒューッ!能力に加えて魔法があることが確定しましたーっ!ファンタジー!
「というわけで退院許可が出たら私のもとに来るといい。どうやらかなり体に負荷をかけたようだからまだ入院の必要があるらしい」
今の俺の状況をまとめると、茶番の試験でボコボコにされ、入院させられ、そのあげくその試験官に研修を受けることになった。
…うん。一日目にして前途多難すぎないか!?
とにかく今は眠ることにした。明日からは地獄が待っていそうだからな。
魔法の属性としては火、水、風、土の基本となる4属性。
そして光と闇の上位属性があります。
基本誰にでも1つは属性があります。上位属性があると、優遇されたりもします。
その属性持ちでなくても魔法自体は使えますが、属性持ちと比べると威力が雲泥の差。
ちなみにバランさんは基本4属性持ち。
デッドロックさんは基本属性4つに加え、闇もあります。




