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第十四話:フラグ回収_逸脱行為 〜小学生必死編〜

二学期が始まり、退屈な授業が再開された。夏休み前に定規で一木と田口を「分からせた」からか、四人組は俺に対しては目も合わせず、不気味なほど大人しくなっていた。大人しくなったのなら、それでいいと思っていた。だが、俺は甘かった。

彼らの歪んだ攻撃性は、俺という「壁」を避け、より抵抗の少ない場所へと流れ込んでいたのだ。

最近、吉田さんの表情が暗い。授業中も落ち着かない様子で、休み時間になると逃げるように図書室へ向かう。気になって声をかけると、彼女は震える声で話してくれた。

一週間前から、あの四人組に執拗に絡まれているのだという。服を引っ張られ、髪を乱され、逃げても追いかけられる。


(あー、これは…)


そして、俺の脳内にある「導火線」を焼き切ったのは、彼女が涙を浮かべて漏らした最後の一言だった。


「……昨日ね、腕をギュって掴まれて、無理やり顔を押しつけられたの。すごく、気持ち悪くて……」


一瞬、思考が止まり、その直後に凍りつくような怒りが全身を駆け巡った。


(――それは、明確な◯加害行為だ)


三十五歳の意識を持つ俺にとって、それは単なる「子供の悪ふざけ」では済まされない。こういう時、バカ親は「子供のしたことだから笑」とほざく。やられた方はたまったものではない。

いつまでも受けた被害がフラッシュバックし、社会復帰できなかったり、そもそも社会に出られず引きこもってしまう被害者も大勢いる。

前世でもデポルが◯加害行為を行い、不起訴処分になった事件を何度もニュースで見た。その度に吐き気がするほどの怒りが全身を巡っていた。

被害に遭われた方、その家族、どんな思いで事件後も生きていかないといけないかと思うと、想像を絶する。


恐らく俺がこの世でやり直せているのも、理不尽にデポルに殺されたからだけでなく、この種の加害に対して強い憎しみがあったからではないかと考えている。


俺の根幹にあるものに触れた。最も許せないことをした。

相手が小二だろうが何だろうが関係ない。嫌がる相手の身体を拘束し、不快と恐怖を与える行為。

それは俺が人生をかけて根絶すると誓った、あの忌まわしい暴力の雛形そのものだ。

ましてや、俺の「目標」を間接的に支えてくれているみことさんの妹に対して。


「……吉田さん。怖かったね。もう大丈夫だよ。話してくれてありがとう。」


俺は努めて穏やかな声で言った。だが、俺の手はマメを引き裂き、血が滴るほど強く握りしめている。


(本当に、、、、怒りで頭がどうにかなりそうだ。)


しかし今の俺には、法学の知識がある。そして何より、二〇二六年のあの夜、理不尽な暴力に屈した絶望を誰よりも知っている。


(一木、木本、本田、田口……。あいつら、よりによって俺が一番許せない『ライン』を越えた)


担任は、また「静観」するつもりだろうか。それとも知らないのか。

俺はノートの端に、ターゲット四人の行動ログを書き込んだ。座席、下校ルート、野球クラブのスケジュール、どのタイミングで吉田さんに加害行為を行っていたのか。

「商談」を確実に成約させるための商談準備だ。

感情で動くのではない。セールスのクロージングと同じだ。確実に、言い逃れできない状況を作り、二度とそんな真似ができないように、彼らの心に「恐怖」と「後悔」を刻み込んでやる……。

本当のところは、力の限り拳を叩きこみたいが、小二の拳なんてさほど痛くもないだろうし、誰かに止められるのがオチだ。ただ止められないのであれば、俺に力があれば、鉄拳制裁もやむなしだが、今できることをしっかり頭を使って対応しよう。

久世恒一の「性加害根絶」という裏テーマ。その最初の実戦は、予期せぬ形で、この二年三組の教室から始まることになった。

本日は三話公開します。

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