ただの会話
魔石をグレアム様達に渡し、パトリックに討伐が終了したことを伝えるようにお願いした。ニコラス様は作業を見学したいと話されたため、私と一緒に残ることになった。一人で魔物の毛皮を剥ぐ作業を行う。脂肪がたくさんついており、そのせいで刃切れがすぐに悪くなるため、手間取った。
ニコラス様はそんな一連の作業を見ていた。…見ていて楽しいのかな?でも、冒険者になれば、この作業も習わないといけないし、学習意欲があるのかな?本日何度目かわからない「いい子じゃん…」ジャッチをする。
毛皮から脂肪を出来るだけ削いでいく作業を黙々としていると、ニコラス様が話しかけてきた。
「ジルさんは、なんで冒険者になられたのですか?」
「んー…流れかな?」
「流れ?ですか?」
「そう、私の村冒険者がいなくてね。村の男手がそういうのやってくれてたんだけど、強い魔物に襲われてね。なんやかんやあって、私が村唯一の冒険者になったから、かな?」
こうして考えると、考えなしになったみたいに思えてきた…
話し終えたが、ニコラス様は黙っている。どうしたのかと思い、振り返ると地面を見つめたまま口を開いた。
「私は、ジルさんが羨ましいです。冒険者としての実力もあって…」
「そうかな?あんまり褒められないし、そう思ってくれているなら嬉しいな。そいういえば、なんで騎士にならなかったの?貴族が冒険者になるって中々聞かないよ?」
そう言ってみたが、なんとなくは知っている。確か、お兄さん…第一王子の役に立ちたい的なのだったはず。
「それは、意地というか、私の我儘ですかね?」
「うん?」
「ずっと家族から大切にされているとわかっていたんです。ですが、大切にされていて、危険なことから遠ざけられて生きているとわかってしまうと、私だって一人でも大丈夫、できるっていうことを知って欲しいと思い始めたのです」
「そう思う出来事があったの?」
「いえ…直接私に何かあったことはないです。ですが、父上や兄上があることに悩んでいることを知ったのです。それは私に無関係ではないことも」
「そっか。」
…記憶違いかな?なんかゲームと違うような気がする。気のせいかな?曖昧だし、仕方ないなー
「…ジルさんは、深く聞こうとしなのですね」
「まぁ、興味はあるけど、そのお家庭の事情みたいなものでしょ?それにニコラス様が冒険者になることで、その悩みが解決できるのなら、立派な冒険者になれるように支援するのが私の仕事だからね」
「そうなんですね」
「でも、私個人としては…」
「?」
「もし、君に困ったことが起こったら手助けしたいと思っているよ。私なんかでよかったら相談してね」
なんだか、放っておけない感じがする。庇護欲というか、なにかそういったものが駆り出される。これが王族がニコラウス様を大切にしてきた理由の一つなのかな?まぁ、これから教師と生徒の仲になる訳だし、仲良くなっといたほうがいいもんね。
そう言えば、ニコラス様はふわっと笑い、「ありがとうございます」と嬉しそうに話した。




