残る不安
吊るさないとやっぱり大変なので、精霊さんに解体を手伝ってもらっていると、アルフォンス様達がこちらに来た。討伐は終わったし、先に解散してもらおうと提案したが、却下された。はっきり言うと皆で解体をするよりも一人でやった方が楽だ。パトリックにも相談し、話し合いの結果私とパトリックが残り、皆様には先に帰っていただくこととなった。後日報酬の話しや報告書を提出する算段もついた。最後アルフォンス様と目が合ったけど、気のせいだと思うことにする。あれ、だって、私のことまだ疑っているような気がするもん。やべえ、もう会いたくねえ…
パトリックと二人っきりだけど、無論パトリックは手伝わずに、本を読んでいる。お互いに干渉しない方が楽だからいいんだけど、私には確認したいことがあった。
「ねぇパトリック」
「はい」
「これは誰かが連れて来たものだよね」
「そうでしょうね。ファングは生息範囲は広いですが、まずこの森自体に猪は生息していません。それにエルダー級ともなれば、」
「ヴォイドの森くらい物騒じゃないと出てこないよね」
「そうです」
問題は誰が連れて来たのか。それにエルダー級となると、銀等級ものだ。貴族が狩りのために連れてきたにしては命がけの狩りになる。もしかすると、狩りではない別の目的があったのでは…?
「考えるのはよしといたほうがいいです」
「…」
「このことも一応報告書に書きますが、真相は迷宮入りになるでしょう。
「なんで?」
「今回の件は、相当な熟練者ですら成しえることが難しい捕獲を行った誰かがいるということです。それができる者がギルドに何人いるのか…冒険者でない者の仕業かもしれません。それに、これが意図的に行われたのだとすれば、実行犯とは別の者がいるでしょう」
「探すのが難しいってこと?」
「そうですね…それに私たちの仕事は依頼を達成することのみ。真相の調査はあちらの仕事です。あなた、一応疑われた身なのですよ?首を突っ込んでギルドマスターに迷惑をかけないでくださいね」
「はーい」
確かに。私たちの仕事はここまで。あとは先に帰った人たちの仕事だ。でも、不安が残る。この漠然とした不安をなぜ感じるのだろう。不安を意識しないように、解体する速度を上げる。無心に枝肉を削いでいく。
そんな私の姿を本を読むのをやめてパトリックが何処か考えるように見ていたのには気付かなかった。
「王都での姉」もう少し続きますので更新お待ちください。




