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わかってしまったが、時すでに遅し

 部屋に戻り、扉に背を預ける。ルイが来るまであと約2か月…つまり、ゲームの開始までの期間だ。これまでの実技内容の確認をして、自分なりに授業を考えないとな…それと、主人公である第二王子についても探っておこう。

 机に向かい、貰った資料を広げて読んでいく。

…これ、ルイやる必要あるかな…なんか今まで一緒にしてきたことばっかりな気がする…いや、する。




 冒険者の養成所といっても、大体入る子たちは親や冒険者と共に魔物の討伐を行ったことがある、もしくは手伝いをしたことがあることや、せめて武器の扱いはできていないと試験の時に落とされる。

 試験は大体トーナメント戦のように受験者同士で戦うものが多いらしいけれども、それも武具の扱いを見るためのものだ。私的には魔物を退治するほうが一番武具の扱いを見るのにいいと思うけれども、魔物を安全に連れてくるなんてほぼ不可能だからなー。まあそれは誰しも考えているんだろう。


 ぶっちゃけると冒険者でなくても魔物は倒せるし、売り買いもギルドで出来る。それでも、王国に一つしかない養成所に入り冒険者になろうとするのには理由がある。

 一つは国や貴族からの依頼が入ること。これは武力でのし上がりたい系の人にはいいかも。滅多にないけれど、それで一代限りの貴族になれた人もいるらしいし。

 あと、素材や魔物を一定の安定した金額で売り買いができる。

 そして、冒険者であることは、前世でいえば運転免許書を持っているみたいに、一種の身分の証明になる。冒険者のメダルや指輪は契約によって本人にしか持てない。護衛や個人的に依頼をしたいとき、ギルドを通して確実に身分がはっきりしている相手に依頼ができる。適当にこなしたらそれが誰なのかはっきりわかるから、安心して依頼ができる。それは冒険者からしてみれば、きちんとした報酬を手に入れることができることだし、自分やギルドの評判が下がることないようにこなす。冒険者でない人が依頼を受けると、足元を見られたり、報酬が少なかったりするから同じような依頼を受けるなら冒険者になりたい人はいると思う。

 あとは冒険者でないとギルドの職員になれない。だからカウンターには若い綺麗なお姉さんではなく、前線から立ち退いたおじさん方が大半だ。知識が豊富だから、相談に乗りやすいし、依頼を達成した時めちゃくちゃ褒めてくれる。でもやっぱ、若いお姉さんにカウンターいて欲しい…たまに女性がいることはあるけれど、それは世帯持ちになって育児が落ち着いた人妻さんだ。

 そんな感じで、やっぱり冒険者は庶民に人気の職業だ。前世で言うところの国家資格みたいなものだし。騎士の誓いとかなんか難しいことをしなくていいし、便利な職業だ。でも、魔物が現れればその場に優先的に向かわされるということもあるし、大変なところもある。

 …免許制にしているのは職業の偏りをなくすためでもあると思う。冒険者は国が定めた職業だから魔物を狩る腕さえあれば稼ぎがいい。例えば、魔物が出やすい場所に住んでいる農夫がいて、魔物を倒し報酬の旨さを知ったら農夫が狩りにかまけて農業を疎かにすれば一国としての成り立ちが厳しくなる。だから安易に資格を渡さないようにしているのだろう。資格がなければお小遣い稼ぎ程度にしていてね的な。冒険者じゃない上に平民なら低価格で売れって言われてしまうだろうし。

 正直平民なら私みたいに魔物を倒して冒険者になる人が冒険者の中では多い。一々養成所に行くのは手間がかかる。でも回復魔術といったサポート系の一人では魔物狩りが厳しい魔術師や冒険者という証が欲しい者からしてみれば、養成所は比較的安全に冒険者になれる道である。


「ん…?」


 そうだよ。ルイはめちゃくちゃ戦闘系。養成所に行かなくても、銀等級の魔物を討伐すれば冒険者になれるよね。私みたいに…

 ……な、なんてことだ…。気づいたが、時すでに遅し。ルイはもう養成所に行くことになっているし、私は養成所の教員だ…

 うそ、なんで今まで気付かなかったの…。私馬鹿すぎるでしょ…

 ショックすぎて、ベッドに倒れ込む。


「ルイぃ…」


 ルイのお姉ちゃんなのに、なんてお馬鹿さんなんだ…

 そして、そのままふて寝をした。もう、明日から頑張る…


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