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『約束を守っていただけなのに、なぜか天下が近づいてきました。』〜和議の娘と、遅刻魔の韋駄天〜  作者: 藤乃澪
第一章 藤本初盟

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第七話 敵に回したくない女

友政は、他人に澪のことを説明する時、決まってこう言った。


「普段は普通」


「それ、褒めてるのか?」


「たぶん」


 だが、話し相手の表情を見て、何気ない発言まで覚え、必要な時にはきっちり使う。


「それを本人は、情報を集めてるつもりないんやろ?」


「ない」


「一番怖いやつでは?」


「そう」


  話が途切れたところで、相手がふと思い出したように言った。


「そういえば、お前、幼い頃に“めりいず”なる袋を背負っていたそうだな」


「誰から聞いた」


「忘れろ」


 別室で、澪がくしゃみをした。


「……誰か悪口言ってる?」


 本人はただ、話して、聞いて、覚えているだけだった。


 けれど、それを敵に回した時の厄介さを、友政だけは少しずつ理解し始めていた。

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