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第七話 敵に回したくない女
友政は、他人に澪のことを説明する時、決まってこう言った。
「普段は普通」
「それ、褒めてるのか?」
「たぶん」
だが、話し相手の表情を見て、何気ない発言まで覚え、必要な時にはきっちり使う。
「それを本人は、情報を集めてるつもりないんやろ?」
「ない」
「一番怖いやつでは?」
「そう」
話が途切れたところで、相手がふと思い出したように言った。
「そういえば、お前、幼い頃に“めりいず”なる袋を背負っていたそうだな」
「誰から聞いた」
「忘れろ」
別室で、澪がくしゃみをした。
「……誰か悪口言ってる?」
本人はただ、話して、聞いて、覚えているだけだった。
けれど、それを敵に回した時の厄介さを、友政だけは少しずつ理解し始めていた。




