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『約束を守っていただけなのに、なぜか天下が近づいてきました。』〜和議の娘と、遅刻魔の韋駄天〜  作者: 藤乃澪
第一章 藤本初盟

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第五話 遅れてきた男

国境視察の日、多々見友政は半刻遅れて現れた。


「途中走ったし」


「走れば遅刻が消えると思ってんの?」


 かなりの距離を走ってきたはずなのに、友政はほとんど息を乱していない。


「間に合ったやろ」


「間に合ってないから言ってるんだけど」


 友政は若いながら、軍務ではすでに頭角を現していた。


 長い行軍にも強く、いざという時の判断も早い。


 ただし、刻限には弱い。


 道中、澪の歩みが遅くなると、友政は何も言わず荷物を取り上げた。


「ありがとう」


「遅いから」


「余計な一言なんだよなあ」


「結果、楽になるやろ?」


「結果結果って、そればっかだね」


「結果が一番大事やろ」


 その言葉を、澪はこの先、何度も聞くことになる。

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