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『約束を守っていただけなのに、なぜか天下が近づいてきました。』〜和議の娘と、遅刻魔の韋駄天〜  作者: 藤乃澪
第一章 藤本初盟

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第四話 三月の静けさ

盟約は三月を迎えた。

国境に新しい砦はなく、大軍も集まらない。小競り合いも、一度も起きていなかった。


「暇ですね」

「喜べ」


城主は呆れたように澪を見る。


以前なら国境に張りついていた兵も、今は田畑へ戻っている。止まっていた街道には商人の姿が戻り、荷車が行き交うようになった。


澪にとっては、それで十分だった。


「最近、そなたを“和議の娘”と呼ぶ者がおる」

「嫌です。ダサい」

「そこか?」


城主はため息をついた。


まだ誰も、この三月の静けさが、後に『藤本初盟』と呼ばれることになるとは知らなかった。

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