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『約束を守っていただけなのに、なぜか天下が近づいてきました。』〜和議の娘と、遅刻魔の韋駄天〜  作者: 藤乃澪
第二章 和を結ぶ者

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第十四話 雨の夜

予想通り、雨は強くなった。


敵六百が進む山道は泥に変わり、兵糧車は進まない。


装備は重くなる。


澪は山道の出口に兵を置いた。


だが、攻めない。


撤退路も塞がない。


「今なら攻められます」


家臣が言った。


澪は雨の向こうを見た。


「だから攻めない」


「……なぜです?」


「追い詰めた敵は、死ぬまで戦うから」


敵兵の多くは、戦が終われば農民に戻る。


家へ帰り、田を耕す。


それを知っているからこそ、澪は追わなかった。


「勝つためじゃなくて」


雨音の向こうで、敵兵の姿が揺れる。


「終わらせるために戦う」

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