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第十二話 韋駄天の多々見
雨の山道を、友政は一定の速さで走り続けた。
泥に足を取られても、速度を落とさない。
南方の砦へ着くと、息を整えながら名乗った。
「藤本澪から書状です」
砦主は書状を開いた。
そこには、澪の言葉が簡潔に記されていた。
中立を選ぶなら、こちらから攻めることはない。
戦が終わった後も、盟約は続ける。
砦主は顔を上げた。
「藤本殿は、我らが兵を出さぬと信じているのか?」
友政は少し考えた。
「信じるというより……」
雨音が、屋根を叩いている。
「出さん方が得やと思ってるんやと思います」
その夜。
南方二百の兵は動かなかった。




