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『約束を守っていただけなのに、なぜか天下が近づいてきました。』〜和議の娘と、遅刻魔の韋駄天〜  作者: 藤乃澪
第一章 藤本初盟

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第十話 八百対三百

「兵、何人出す?」


「三百」


「向こう八百やで?」


 澪は地図を開いた。


 雨が降れば使えなくなる山道。

 長男と不仲な家臣。

 兵糧を集めている場所。


 どれも、以前の交渉や会話の中で知ったことだった。


「残り百は動かさない。逃げ道を作る」


「敵の?」


「逃げられない相手は、死ぬまで戦うから」


 目的は、敵八百を殺すことではない。


 帰ってもらうことだ。


 澪は一通の書状を友政へ差し出した。


「走れる?」


「誰に聞いとんねん」


 友政は笑って書状を受け取る。


 遅刻魔の韋駄天――多々見友政が、初めて歴史の表舞台へ走り出した。

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