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旅立ち

「ねえ、カナちゃん。次はどうするの?」


 レーテの村から戻って数日後、冒険ギルドの食堂で食事をしていると、ミリアさんが尋ねてきた。


「次ですか……?そうですね……」


 私は地図を広げてみると北にはレーテの村、その先には森が広がっている。

 西には近くの森があるが、その先は何も書かれてはいない。


 東も同様だが、南の方には「リーツェ」という文字が書かれている。


「この、リーツェというのはどう言うところですか……?」


『リーツェはここと同じ規模の街だ。海が近くにあり、大きな船も出ている港街だ』


 なるほど……、港街か……。


「カナちゃん、リーツェに行くの?」


 ラウルの街を拠点にしてもいいけど、いろんな地を回ってみるのも良いかもしれない……。

 そのほうが元の世界に帰る手がかりも見つかりそうだ。


「そうですね、リーツェに行ってみようと思います」


『リーツェに行った後はどうするんだ?またラウルに戻るのか?それとも……』


「リーツェに行った後は、そのまま各地を回ってみようと思います……」


「そう……、じゃあラウルには戻らないのね」


「はい……、ミリアさんとジェストさんはどうしますか……?」


 私は二人の様子を窺う。


 たとえ、2人が行かないと言ったとしても、私は1人でも元の世界に戻るための手がかりを探しに行きたい……。


「ごめんなさい、私は付き合えそうにないわ……」


『俺もだ、付き合えなくてすまん……』


「そうですか……」


 薄々予想はしていた。


 ミリアさんは、この街での暮らしが長いだろうし、ジェストさんも自分の生き方があるだろう……。


「実は冒険の合間でいいから、スケ嬢の仕事をしてくれって別のお店から頼まれてね……」


『俺は長期の仕事を受けることになった……。カナは俺のマスターだと言うのに、本当に済まないと思っている……』


「ミリアさん、ジェストさん……。気にしないでください」


 仲間たちとの別れに涙が出そうになる……。


「カナちゃん、何泣いてるのよ……」


 ……どうやら泣いていたようだ。


『せめて、旅立つ為の支度は手伝おう』


「そうね、私も手伝うわ」


「ここからリーツェまではどのくらいかかりますか?」


「馬車で2日ってところかしら……?」


『リーツェ行きの馬車は今も出ているのか?』


「ええ、健在よ。後で時刻表を持ってきてあげるわ」


「ありがとうございます……。私はグレンさんに挨拶をしてきます」


 私は食事を済ませたあと、冒険者ギルドの受付へと向かうと、受付にいたティアさんにグレンさんを呼び出してもらうことにした。


---


「カナちゃん、話というのは何だ?」


 ティアさんに呼びに行ってもらってから少し経ってからグレンさんが受付の奥からやって来た。


「グレンさん、実は私、近々この街を立とうと思います」


「それは、カナちゃん一人で行くってことか……?」


「……はい」


「そうか……、寂しくはなるが元気でな。それで、いつ立つんだ……?」


「支度ができ次第ですので……、早ければ明日にでも……」


「またこの街に来ることがあればいつでもここに寄ってくれ。あと、冒険者カードはどこの冒険者ギルドでも通用する。次に会うときはカナちゃんの冒険者ランクがどうなっているのか、楽しみだな」


「はい、今までお世話になりました……」


 私は冒険者ギルドを出ると、旅に必要なものを買いに行くのだった……。

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