ホブゴブリン
左の通路を進んでいくと、奥の方から明かりが見え、それと同時にゴブリン達と女性達の声が聞こえだす。
私達は急いでその場へと向かうと、そこは広間となっており、20数匹のゴブリン達が入れ替わり立ち替わりでレーテから連れてこられたと思われる若い女性達を次々と犯していた。
女性達はいつから犯されているのか、声は出すものの反応は薄く、目も死んだ魚のようになっていた。
その光景を見た私は怒りで手が震えていた。
「グギャ……っ!?シンニュウシャ……!」
見張りと思われる一匹のゴブリンが私に襲いかかる。
「はあっ!」
私は素早く剣を抜くと同時に横に薙ぎ払い、ゴブリンを真っ二つに斬り裂いた。
「みんな、ゴブリンを皆殺しにして女性達を助けましょう!」
私は静かな殺意をゴブリンへと向ける。
生まれて初めて誰かを本気で殺したいと思った!
「そうね!」
『この広さなら大剣も振るえそうだな』
私達はそれぞれの武器を手にしてゴブリンへと襲いかかった。
「はっ!」
私は目に付いたゴブリンへと向かって走り出すと、盾の縁で殴りつけ、そのまま盾ごと地面に叩きつけてゴブリンの頭を潰した。
「ギギイ……っ!!」
後ろから2匹のゴブリンが飛びかかってきた……!
私はすぐに身を翻し、後ろに避けるのではなく、あえて前に走り出すとすれ違いざまに右側の一匹を剣で斬り捨て、左の方は右を斬るのと同時に盾で殴って叩き落とした。
「ギ……!ギギャー……っ!!」
叩き落されたゴブリンが痛みにのたうち回っているすぐ横に立つと剣をゴブリンの心臓目掛けて深く突き刺す。
「まだまだーー……っ!!」
ゴブリンに突き刺した剣を引抜くとその返り血が私の顔にかかるが、それを気にすることもなく次のゴブリンを目掛けて走り出す。
『……ミリア、カナってあんなに強かったのか?』
「ええ、カナちゃんってああ見えて割と強いのよ」
大剣を振り回しゴブリンを手当たり次第にミンチに変えていくジェストさんが、次々とゴブリンの頭を魔力の矢で撃ち抜いていくミリアさんへと尋ねていた。
「これで終わり……っ!」
私は最後の一匹のゴブリンを斬り殺すと、剣に着いたゴブリンの血を払い落とした。
ゴブリンはこれで全部倒したはずだけど……ボスとやらの姿が見えない……。
「オマエタチ……!ヨクモ……ナカマコロシタ……!」
すると、奥の方から棍棒を持った一匹のゴブリンよりも大きな魔物が姿を表した。
「出たわ……。ボスのホブゴブリンよ……」
「あれがホブゴブリン……?」
そいつは裸で腰にボロ切れしかまいておらず、肌の色や髪の毛がないという所はゴブリンと同じだが、身長が違った……。
見た目にしてジェストさんと同じくらいの高さがあり、体つきも筋肉質で肌の色が緑色な事を除けば大男のように見える。
『ここは俺に任せて貰おう』
ジェストさんがホブゴブリンの前へと立った。
「ジェストさん……っ!?」
「カナちゃん、ジェストさんに任せておけば大丈夫よ。ホブゴブリンは見た目通り力が強いわ。それに筋肉も硬くて剣も通りにくいけど、ジェストとあの大剣なら問答無用でホブゴブリンを切り裂けるわ」
「グガァァーー……っ!!」
ホブゴブリンは威嚇にも似た声を上げると、ジェストさん目掛けて手にした棍棒を持って走り出す。
一方のジェストさんは大剣を構え、その場に立っている。
「グギャっ!!」
『むん……っ!!』
ホブゴブリンは棍棒を振り下ろす。
しかし、ジェストさんは棍棒を持っているホブゴブリンの腕を大剣で払うと、今度はホブゴブリンの体を縦に切り裂いた。
ホブゴブリンは、断末魔の叫びを上げる間もなく絶命した……。
『ま、こんなものだな』
ジェストさんは大剣を背中へと背負い直す。
「カナちゃん!村の女性達に早く避妊魔法をかけるわよ……っ!」
「は……はいっ!」
『……』
ジェストさんがホブゴブリンと戦っている間、私とミリアさんで村の女性達に避妊魔法をかけ、その後ゴブリン達に汚された身体を丁寧に拭いていた。
そんな私達の様子を、ジェストさんは少し寂しそうに見ていたのだった……。
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村の女性達全員に避妊魔法をかけて、汚れを拭き取ると、村の女性達を少し休ませる事にした。
その間、私はこの広間の中を探索している。
ちなみに、村の女性達はミリアさんが見てくれているので何かあっても問題はないだろう。
この広間もゴブリン達が掘ったのかは分からないけど、かなりの広さがある。
『カナ、こっちに来てくれ』
奥の方からジェストさんが私を呼んでいる。
「どうしたんですか?」
『これを見てくれ』
ジェストさんのところに行くと、そこには何か埋めたような穴があった。
その穴はしっかりと埋められており、まるでこの奥から何者かの侵入を防ぐために埋めているようにも見える。
『あと、こっちも見てくれ』
ジェストさんは手に持っているものを私に見せる。それは見覚えのあるものだった。
「それは確か、アラクネの洞窟で見つけた金の燭台……ですか?」
『ああ、とても良く似ている。違うとすれば、真ん中の宝石くらいだ。』
確かによく見れば、前見つけたのはレッドダイヤだったが、これはルビーのようなものが取り付けられている。
その金の燭台をジェストさんは2つに手に持っていた。
『もしかすると、この穴の先にはアラクネの洞窟へと繋がっているのかもしれない』
「アラクネの洞窟に……?」
『ああ、この燭台はアラクネの巣にあった物に似ている。もしかすると、ゴブリン達はアラクネの洞窟へと繋がる通路を掘ってしまい、その後慌てて埋めたのかもしれない』
と言うことはこの近くにもアラクネの洞窟が伸びているという事だろう。
しかも、金の燭台はアラクネの巣にあった。
もしかしたらこの金の燭台もアラクネの巣にあったものなのかもしれない。
だとすれば、それはつまり他にもアラクネがいるという事を意味していた。
「き……きゃぁぁぁーーー……っ!!」
奥の方を調べていると、女性を休ませている方から悲鳴が聞こえてきた。
急いで戻ると、左側の通路から来たのであろう20匹くらいのゴブリンが、この広間へと押し寄せようとしていた。
「ここは私に任せて……!」
ミリアさんはゴブリン達の前に立ちふさがると、呪文を唱え始めた。
「風よ……。我ら取り巻く大気よ……。我が手に集い全てを打ち砕け……っ!『竜巻』っ!!」
ミリアさんの手から発せられた横向きの竜巻により、ゴブリン達は押し寄せてきた通路を押し戻され、その体は壁に擦れながらバラバラにされていた。
「ふう……、終わったわね……」
「皆さん、もう大丈夫です。レーテまでお送りします」
私達は、女性達の体力の回復を確認すると、レーテを目指すのだった……。
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