ファナとの買い物
アラクネを倒して数日後。
私はメシ屋通りにある喫茶店へ来ていた。
今日は一人ではなく、ファナさんと一緒だ。
今日、ファナさんは休みの日らしく、どうやら最近彼氏に振られたようで、「愚痴を聞いてほしい!」と誘われたのだ。
「聞いてよカナちゃん!あいつ、私の他にも女がいたのよ!それで“そっちのほうがいいから別れてくれ”って……ムカつくーーっ!!カナちゃんもそう思うでしょ!」
「それは酷いですね……!でも、別れて正解だったかもしれませんよ?その男、何股してたか分かりませんし」
「でしょ!?でも一番ムカつくのは、そんなヤツと本気で結婚まで考えてた私自身よ……!」
「そ、それは……まあ……」
それについては何とも言いようがないけど、どこの世界でも男というのは変わらないらしい……。
元いた世界でも、友達の愚痴に付き合わされたことを思い出す。
「というわけで今日はヤケ食いよ!お金は私が出すから、カナちゃんも遠慮せず食べて!」
「は、はあ……」
「すみませーん!このケーキおかわりで!!」
すでに空の皿が十枚ほど積まれている。
ファナさん、強い……。
「あの……そんなに食べたらお腹壊しますし、太りますよ……?」
「いいのよもうっ!どうせ私を見てくれる男なんていないんだから!好きなだけ食べてやるんだからっ!!」
「あは……あはは……」
乾いた笑いしか出ない。
その後もしばらく、ファナさんのヤケ食いは続いた。
◆◆◆
一時間ほど経ち、ようやく落ち着いたのか、街を歩くことになった。
「ふぅ……食べたわ……。太るとか後のことなんか考えずに食べまくってやったわ……」
ファナさんのお腹は少しぽっこりしている。
「あの、次はどこに行きますか?」
「そうね……カナちゃんは?」
「私は……服屋と雑貨屋を見たいです」
冒険者ギルドの先輩たちからもらった服しか持っていないので、
そろそろ自分に合う服や下着を買いたかった。
胸のあたりがブカブカなのだ……。
「いいわよ。あ、そういえば宝物見つけたんだってね!」
「はい。危険でしたけど、かなりの金額になりました」
「いいなぁ~。私も一攫千金してみたいわ……。あ、服屋はここね」
店内を見てみると、胸の大きい人向けの服が多い。
胸の小さい服は少なく、あっても子供服が多い。
「あ、カナちゃん。この服可愛いよ。試着してみなよ」
渡された服を着てみるが――
「ファナさん……胸のあたりがブカブカです……」
「……カナちゃん、胸小さすぎだよ」
ほっといてください……!
結局、デザインよりサイズ優先で選ぶことになり、
女性でも着られる男性用の服をいくつか選んでもらった。
店員さんには「彼氏さんへのプレゼントですか?」と聞かれたが、
自分用とは言えず、曖昧に笑ってごまかした。
下着はスポーツブラのようなものを数着購入。
ファナさんには「子供みたいだよ……」と言われてしまった。
悲しいけれど、これしか合うものがなかった……。
どうやらこの世界でも、私の胸はお子様サイズらしい。
その後、雑貨屋で五十万エントの魔法のポーチを購入した。
どんな物でも、いくらでも入るという優れものだ。
さらに包丁、鍋、まな板、調味料、食器などを買い揃え、ファナさんと街をぶらぶら歩き続けた。
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