表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/38

ガラクタ屋の幽霊

 ミリアさんとパーティを組んで数日。

 一緒に朝食を取っていると、ファナさんが妙な噂を持ってきた。


「ねえカナちゃん知ってる? 最近ガラクタ屋に幽霊(ゴースト)が出るんだって……!」


 ファナさんは両手をヒラヒラさせて、いかにも幽霊の真似をしてみせる。

 世界が違っても、オバケのジェスチャーは同じらしい。


「幽霊……ですか?」


「そうそう。ガラクタ屋が仕入れた鎧がね、勝手に動いたり、うめき声をあげたりするんだって」


「それなら、除霊かなにかしてもらえばいいんじゃないんですか?」


「まあ、退魔師(エクソシスト)に頼めば良いんだろうけど、お金が結構かかるからね……。でも、急に鎧が動いたり、うめき声あげたりしたら怖いよね~……!」


「まあ……確かに……」


 私はオカルト好きでもないし、正直よそ事の話。

 ミリアさんも興味なさそうに黙々と食べていた。


「そういえば、その鎧が“ジェスト”とか言ってたとか……」


「その話、本当……っ!?」


 さっきまで無関心だったミリアさんが、突然ファナさんの両腕を掴んだ。


「ひっ……は、はい……噂では……」


 ファナさんは目を丸くして固まっている。


「カナちゃん、悪いけど私すぐガラクタ屋に行ってくるわ!」


「あっ、待ってください! 私も行きます!」


 私は急いで残りの料理をかき込み、代金を払ってミリアさんを追いかけた。



◆◆◆



 ガラクタ屋に着くと、店の外には人だかりができていた。

 例の“動く鎧”を見ようと集まっているらしい。

 店主は疲れ切った顔で店先に座り込んでいた。


 そんな中、ミリアさんは迷いなく店内へ。

 私も人混みをかき分けて後を追う。


「あら、カナちゃんも来たの?」


「はぁ……はぁ……はい……。動く鎧ってどんなのか気になって……」


 走ってきたので息が上がる。


「動く鎧ってのは、大体リビングアーマーよ」


「リビングアーマー……?」


「鎧に低級霊を憑依させて使役する番兵みたいなもの。並の冒険者よりよっぽど強いわ」


「な、なるほど……」


「多分、冒険者が気づかずにここへ売りに来たんでしょうね」


 店内を見渡すと、隅に青い鎧が立っていた。

 高さは二メートルほど。

 どこかで見た覚えがある。


(前に来たとき、冒険者の人たちが荷車から降ろしてた鎧……?)


 そのとき――


「……ジェスト?」


 ミリアさんが声をかけた。


 鎧がピクリと動く。


(う、動いた……!?)


『その声は……ミリアか……?』


 鎧の中から声がした。


(喋った……!?)


「ええ、そうよ。あなた、昔私たちと旅してたジェストなの……?」


『ああ、そうだ。それよりここはどこだ?薄暗くて埃っぽいが……』


「ここはラウルのガラクタ屋。あなたは“ガラクタ”として売られてきたのよ」


『ははは!俺がガラクタ?冗談だろ! 俺はれっきとした人間だぞ!』


「何言ってるの。今のあなた、リビングアーマーと大差ないわよ?」


 ミリアさんは姿見を鎧の前に置いた。


『ん……?んん……? うえぇぇぇっ!? 俺、鎧になってる!?』


「呆れた、今気づいたの……?」


『いや、つい最近目が覚めたばかりでな!それより中どうなってる!? ミリア、見てくれ!』


 鎧は頭部を外して見せた。

 中は空っぽ。


「ふむ……空ね。後ろ首の内側に呪印がある。これが鎧とあなたの魂を結びつけてるんでしょう」


『なんてこった……!トラップにかかったと思ったら、気づいたらリビングアーマーかよ……!』


 鎧――いや、ジェストさんは頭を抱え込んだ。

 抱えているのは自分の頭だけど。


「あなたが行方不明になってから、もう百年くらい経ってるわよ」


『ひ、百年……!?あの冒険が終わったら宝くじを換金するつもりだったのに……!』


「詳しい話はグレンのところで聞きましょ。ほら、カナちゃん、ジェスト、行くわよ」


『あ、ああ……』


 こうして私たちは、ガラクタ屋を後にし、ジェストさんを連れて冒険者ギルドへ向かった。

 少しでもおもしろいとか、続きが気になるなど、気に入って頂けたら☆☆☆☆☆やブックマークへの登録をしていただけると今後の励みになります!


 また、感想をいただけましたら喜んで返信させていただきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ