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過信しすぎた冒険者

 ディンさんたちと別れたあと、私は一人で夜の森へ来ていた。

 ここに来た理由は――自分の力を証明したかったから。

 平たく言えば、ただの慢心だ。


 誰にも言っていない。

 言えば止められるに決まっているから。

 強いて言えば、門番に「少し外に出ます」とだけ伝えた。


──アオォォン……!──


 森に入ってしばらくすると、狼の遠吠えが響いた。

 私の気配を察したのか、あちこちから声が返ってくる。


「私の力……見せてあげる」


 剣を抜き、気配を探る。

 前ではない。横か、後ろ――。


 緊張が張りつめた瞬間、背後から草を踏みしめる音が迫る。


「はっ!」


 振り向きざまに剣を振るうと、飛びかかってきた狼が弾き飛ばされ、地面に倒れた。


「まずは一匹……!さあ!どんどん掛かってきなさい!私がいくらでも相手になってやるっ!」


 完全に調子に乗っていた。

 この後私は狼達の本当の恐ろしさを知ることになるとも知らずに……。


 だが次の瞬間、周囲の気配が一斉に動く。

 

「なっ……!」


 前後左右、そして上からも狼たちが迫る。

 数が多すぎる。

 一匹や二匹ならどうにかなるかもしれないが、これは無理だ。


 魔法で撃退しようにも広範囲を攻撃できるような魔法は私はまだ使えない。

 たとえ使えたとしてもスペルを唱えている暇もない。

 私の方が圧倒的に不利だ。


(逃げないと……!)


 そう思った瞬間、足元に衝撃が走った。


「きゃっ……!」


 バランスを崩し、地面に倒れ込む。

 視界が揺れ、複数の影が一気に覆いかぶさってくる。


(ヤバい……!ヤバいヤバいヤバいヤバいっ!!)


 押し倒された私に狼達が一斉に襲いかかる。


「いや……!いやぁっ!やめてっ!いや!いやあ……っ!!」


 私の脚や腹部、顔に狼達が噛みつこうと襲いかかる!

 必死に剣を振り回して狼達を追い払おうとするも、狼の一匹が剣を持つ腕に噛みついてきたため剣を落としてしまった。


 アルトさんが言っていた「自分の力を過信しすぎたヤツが命を落とす」その言葉が脳裏をよぎる。

 自分の力を過信しすぎた冒険者、それがまさに今の私だった。


「いや!いやあっ!助けてっ!誰か助けて……っ!」


 狼達が私の手や脚、それに顔やお腹など色んなところに噛みついてくる。

 噛みつかれたところから血が流れて激痛が走る!


 助けを求めても夜の森にいる人なんてそうそういない。

 私を待つのは狼達に喰い殺される運命しかない。


 それでも必死に逃げようと藻掻くもたくさんの狼が私の上にのしかかっているため起き上がる事すら出来ない!


 そして一匹の狼が私の喉元へと噛みついてくる!

 狼の噛む力が意外と強く、気管を塞いでいるため息ができない。


 首に噛みついている狼を払いのけようとしても腕にも複数の狼達が噛みついている。


「離……して……っ!」


 腕に噛みついていた狼をどうにか振り払い、喉に噛みついている狼を退けようとしたが、腕にまた狼達が噛みついてくる。


(も……もうダメ……意識が……)


 息ができず意識が遠のいていく。私……ここで死んじゃうのかな……。


(いや……誰か……助けて……)


 薄れゆく意識の中、心のなかで来るかどうかも分からない助けを呼ぶ。

 目の前が真っ暗になってくる……。


(も……もうダメ……)


 意識が遠のきかけたその時――


「ギャインッ!」


 鋭い音とともに、私の上にいた狼の一匹が弾き飛ばされた。

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