表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/49

冒険者としての第一歩

 冒険者ギルドでウェイトレスや皿洗いなど、様々な激務をこなして働くこと約一ヶ月。

 非番の朝、私はグレンさんからジャラリと音のする少し大きめの袋を手渡された。


「カナちゃん、一ヶ月ご苦労だったな」


「グレンさん、これは……?」


「カナちゃんの一ヶ月分の給料さ。ほら、明細もある」


 私は袋と一緒に渡された紙を受け取る。


 明細にはこう書かれていた。


- 支給額:20万エント

- 差引額:部屋代 3万エント / 食事代 4万5千エント

- 差引支給額:12万5千エント


(思ったより多い……!)


「カナちゃん頑張ってたからな。その分、少し色をつけておいた」


「あ……ありがとうございますっ!」


 私は深々と頭を下げた。


「それでだ。カナちゃん、本当に冒険者になるのか?せっかく仕事にも慣れてきたし、このままここで働いてくれると助かるんだが……」


「すみません。私は……元の世界に帰りたいので」


「……そうか。分かった。なら、これを持っていけ。餞別だ」


 そう言ってグレンさんはカウンターの裏から大きな袋を取り出し、ドスンと置いた。

 袋の口からは、見覚えのある剣の柄が覗いている。


(これ……最初のお使いで武器屋に持っていった剣だ)


「グレンさん、これは……?」


「言っただろ、餞別だ。冒険者になるのに装備が何もないのは困るだろ?買うにしても、今渡した金だけじゃ足りねえ。だから、装備一式、俺からの贈り物だ!」


「グレンさん……本当にありがとうございますっ!」


「一応言っとくが、それらは最低限の装備だ。あとは自分でどうにかしていけよ」


「はい!」


 袋の中には、鉄の剣、鉄の胸当て(肩なし)、旅人の服(上下)、布のマント、レザーグローブ、レザーブーツが入っていた。


(これ全部買ったら……絶対お金足りなかったよね)


「早速着てみます!」


「ば、バカ!俺の前で脱ぐな!部屋で着替えてこい!」


「あ……」


 嬉しさのあまりその場で着替えようとしてしまい、グレンさんに止められた。

 私は慌てて部屋へ戻り、装備に着替える。


---


 着替えを済ませて戻ると、グレンさんが目を細めた。


「ほう、なかなか似合ってるじゃねえか」


「えへへ……」


 褒められて、思わず頬が熱くなる。


「この鉄の胸当てはどう着ればいいんですか?」


「慣れんうちは大変だろうから手伝ってやる。ただし、一人で着られるようになれよ?」


「はい!」


 グレンさんに手伝ってもらい、胸当てを装着する。


「よし。次は剣のベルトを腰に巻け」


「はい」


 剣を腰に下げると、ずしりと重さが伝わる。


「背中に背負ってもいいが、抜きにくいからな。あとその剣は俺が昔使ってたやつだ。武器屋に研ぎ直してもらってある。まずは重さに慣れろ」


「はい!」


「マントはそのまま羽織ればいい。あと、剣を持つときはレザーグローブを外すな。素手で振り回すと手の皮が剥けるぞ」


「気をつけます!」


「それと、寝泊まりする場所だが……あの部屋、続けて貸してやる。一ヶ月3万エントだ。どうする?」


「お願いします!」


 私は3万エントを支払い、部屋を継続して借りることにした。


「最後に仕事だが……こういうのがある」


 グレンさんはニヤリと笑い、依頼書を2枚見せてきた。


「一つは薬草の収集。もう一つはホーンラビットの角の収集だ。どっちも初心者向けで報酬は安いが、冒険者の練習にはちょうどいい」


「両方受けます!」


「よし。ホーンラビットは額に小さな角があるウサギだ。この街のすぐ外の森に大量にいる。角は薬の材料になる。肉も持って帰れば買い取ってやる。料理に使うからな」


 そう言って、見本の薬草を手渡してくれた。


「薬草はこれだ。森に群生してる。どちらも数は決まってないが、少なすぎても多すぎても困る。依頼の期限だけは守れよ」


「分かりました!行ってきます!」


「ああ、それと――」


 グレンさんは真剣な顔になる。


「あの森は夜になると狼が出る。暗くなる前に帰ってこい。森へ行くには西門からだ。街は魔物避けの壁で囲まれてるから、門を通る必要がある」


「壁……?」


「街を守る防護壁だよ。門番に言えば通してくれる」


「分かりました! 本当に何から何までありがとうございます!」


「よ、よせよ……照れるだろ……。あ、これ渡すの忘れてた」


 グレンさんはカードのようなものを差し出した。


「これは……?」


「冒険者カードだ。名前とランクが書いてある」


 見ると、私の名前と顔写真、そして「F」の文字。


「Fランクは新人だ。ランクを上げたければ活躍してみせろ」


「はい!」


「他に質問は?」


「今のところは大丈夫です!」


「よし、行ってこい!」


「はい!行ってきます!」


「ああ、気をつけてな!」


 こうして私は、グレンさんからの心のこもった餞別を身にまとい、

冒険者としての第一歩を踏み出した。

 少しでもおもしろいとか、続きが気になるなど、気に入って頂けたら☆☆☆☆☆やブックマークへの登録をしていただけると今後の励みになります!


 また、感想をいただけましたら喜んで返信させていただきます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ