ユッキ
同時刻
夜の空を駆ける一人の少女。
その少女がたどり着いた先を見ると絶望しか無かった。
「な、なに。あれ」
少女の前方には数十メートルはあろうかという巨大な化物が存在した。
体は全て黒いモヤで覆われているのに、目だけはギョロリとこちらを向き、口は両の端まで裂けて、その合間から鋭い歯が見てとれる。
まさしく化物。
「きゅ、9べぇ!!こ、こんな化物今まで見たこと無いよ!」
少女、月島日向はすがるように、救いを求めるように相棒へ呼び掛ける。
「これは予想外だにゃ、僕にもどうしようも…」
相棒の見た目が白い猫のような物体、9べぇと呼ばれる存在は人間の言葉を使い少女に絶望の言葉を述べた。
「ボクが。な、なんとかしないと!」
少女は言うや否や、件の化物向けて右手の杖を振り、光線のような光を放つ。
だが、それを化物はものともせず。右手の触手の様な物で少女を呆気なく捉えてしまった。
「く、苦じい…」
「日向!」
だが、少女の苦しみは直ぐに解き放たれることとなった。
少女の命と引き替えにだが。
バクりと化物は何の躊躇も躊躇いもなく少女の頭部を貪り食う。
ゴリゴリと骨を砕く音が辺りに響き。
血肉を貪る陰鬱な音が木霊する。
「ーーーーーーっ!!」
その光景を目の当たりにした9べぇは今まで失っていた記憶を呼び覚ます。
そうだ。
僕、、、ボクは
あの化物に食べられたんだ。
「嫌ぁあぁぁあああぁああっ!!」
9べぇは自信が月島日向だと言う事実。そして、化物に吸収されその細胞を使い人々を苦しめるウィルスへと変化せられた事、そのウィルスにより死に至った人々の痛みや記憶。
その全てに押し潰され、自己崩壊を起こした。
そして、闇夜に災厄のみが残された。




