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第46話 伴出、試合に負ける

 これまでにサワキ側はすでに二人討ち取られた(文字通り)。バッターは最後の頼みパトリシアである。

 鍬をバット代わりに構える。姿はしっかりと決まっている。

「ありゃまあ意外にいい足腰してるべな。普通クワをそんな風に構えるだけでもまあまあ大変なものを」

 バリーが笑う。

「さっさと来なさい! 私はサワキさんとちがって田舎なまりメスお兄さん属性はありませんからね! 容赦しませんよ!」

「なんのことで誰のことだべ?」

「ええ。ここで初めて明かされますけどね、絵がないからわからないと思いますけど、相手のピッチャーのバリー、とろびんび先生の描く『田舎のやたら、エッチなお兄さん。』みたいな見た目してますよ。実に······いいね!!」

「あ、はい、そうなんですにゃすごいですにゃね······」

「聞き流すなよ」

「あの、具体的な名前避ける方針かと思ってましたにゃ。作品名とかそういうの」

「ああ。そういやすでに名前出しまくってたなと思い直したようだな。まあ今更だしな」

「逆方向に思い直してほしかったですにゃ」

「ちなみに第42話に出てくる“親友といかがわしい関係になるTSものの同人誌のシリーズで男の姿のまま親友とブレイブアップすることになる外伝的な巻(カニミソの部分)”とは雨天あめか先生の『俺の親友はTS(性転換)体質4.5』のことだ。みんな知りたかっただろうからここで記載しておくよ。すごくイイからオヌヌヌだ」

「この時代にオヌヌヌは······あ、いえ、ありがとうございましたにゃ······」

「とにかくいくべよダサピンク現象さん」

「······テメェ! ぶっ潰してやる!!」

「そら!」

 エッチなお兄さんバリーのジャコビニ流星投法で投げたイガグリは、事前に入れられたヒビにジャイロと空気抵抗が加わり空中で四散、本体の栗を破片が隠しつつダメージ範囲を拡大してパトリシアに迫る。

「恥を知れ、俗物!」


 さながら散弾のように飛翔するイガグリが、もっと密度と速度、重さのある散弾に飲み込まれ、さらにその濁流がバリーに迫った。


「うっ! ぐぺぺぺぺーっ!」

 バリーを土、砂、石、イガグリの交じったツブテが襲う!

「なっ! ば、バリー!!」

 いまひとつキャラをつかみきれていないが故にセリフの少ないベルとビューンが駆け寄り介抱しだした。二人ともバリーが大好きなのだ。

「パトリシアさんはこれでもレベル50。そんなイガグリ程度なんてことはないのさ」

「これがセイカ直伝の秘技よ。ちなみにファットソードなどの名前があるんだけどあまり使われないわ。もっぱら地面を抉るヤツや例の技とか言われるわ」

「つまりは土龍閃だな」

「土龍閃ですにゃ」

「ええ、土龍閃よ」

 そう、土龍閃である。

「よーし、塁に出れたな! これで逆転だ!!」


 なお、次のサワキにいいところはなく交代したベルに簡単に打ち取られるのだった。


「いやー攻守交代だね! 守備も頑張っていこうよみんな!」

 サワキは無視された。

「よし、ピッチャーは誰が行く?」

 ルーシーとパトリシアは黙ってサワキを指さした。

「よ、よーし! サッチー頑張っちゃうお!」

 革手袋を貸してもらえないのでサワキは放り投げるようにしかイガグリを投げることができない。しかし、弾に威力がないのでイガグリも大きく飛ばない。しかししかし、飛んできたイガグリをパトリシアもルーシーも取ろうとはしない。ホームランにはならないが点は取られるばかりである。

「······えー、9対0!」

「もうほぼコールド負けですにゃよ」

「湖なのですから周囲に他に町があったり船を出してくれるところがないでしょうか? ブレディールの反対側を回ってみましょうよ」

「うむ、いい時間かもね」

「はい?」

「審判さん、時間大丈夫かな?」

「うむ? うーむ、たしかに連盟規定時間に迫りつつあるな」

「あ、連盟とかあるんですね······」

「そろそろお開きにするってことですかにゃ? 負けちゃいますにゃよ?」

「それにしても遊んだ遊んだ。もうすぐ真っ暗になりそうだ」

「ほんとですにゃね。森だとなお真っ暗ですにゃ」

「ありゃ! これはまずいべ! 本当にもうすぐに真っ暗だわ!」

「さて、勝負に負けたし引き返さなきゃならないから適当なところでキャンプするか。あとのことはあとで考えよう」

「わかりましたにゃ」

「呑気ですね······」

「おいどうするよ、これじゃ帰れねえべ。いくら慣れてても夜の迷いの森は無理だ。抜けれねえ」

「野営の準備もしてねえぞ、どうするんだ?」

「いやー、ここにあるボーイズコマンダーという玩具はライト機能もついててなんとまだ電池が生きてるんだよなー、道を歩くだけならこれでなんとかなるんだけどなー、方位磁石で方角もわかるしブレディールまでなら行けるんだけどなー」

「やばいべ、あの旅人におわせはじめたべ」

「キャンプはオレ達分の準備しかしてないから助けてやれないしなー、あとなんかここに来るまでにでかい動物みたいな影も見た気がするなー、でかいオオカミとかいるのかなー」

「ぬ、ぬがぐぐぐ! おら達もその辺で野宿すればいいべ! 地元民なめんな!」

「ダメだろバリー、おまえはあの桃色片想いの土龍閃もどきでケガしてるんだから」

「そうだぞ、おまえにもしものことがあったらおいら達は、おいら達は······!」

「いきなりなんだよおまえら気持ち悪いべ」

「あっちなんかはじまってますにゃよ」

「大丈夫だろ、導入部だけだから」

「なんの導入部なんでしょうか······」

「ええいわかったわかった! ブレディールに来てもいい! いいから助けてくんろ!」

「試合終了! 旅人一味大勝利! ブレディールへレディ・ゴーッ!!」

「やれやれですにゃ」

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