01-20.心機一転、新たな出会い
「どやぁ♪」
「「お~~~!」」
フィーアと二人、お互いの新たな装いを見て感嘆の声を上げる。
フィーアはどことなく師匠と似た装いだ。つまりはエルフ風の衣装だ。
白のワンピースをベースにノースリーブの淡い若草色のチェニックを羽織り、肩にも同色のショートケープを纏っている。
腰回りには革製のベルトとポーチが巻かれ、その手には真新しい杖が握られている。
立派な魔術師の装いだ。今のフィーアの姿を見て、新米冒険者と思う者はいないだろう。
「良いな。似合ってるぞ。フィーア」
ここで師匠みたいとか言っちゃダメなのは、俺だってなんとなくわかる。
「えへへ~♪ そうですか~♪ ありがとうございます♪ ベランさんの方こそ~♪」
はは♪ すっかり浮かれてるな♪
やっぱり新しい装備は嬉しいな♪
「カッコいいです♪ ベランさん♪」
「ありがとう♪ フィーア♪」
そう言ってもらえるのは素直に嬉しいな♪ この装備、俺もカッコいいと思うんだ♪ これぞ冒険者って感じだよな♪
「お~♪ お~♪ さっそくイチャツイてるやん♪」
「はい♪ お陰様で♪」
「アッハッハ♪ 嬢ちゃん素直やね~♪ 大物になるわ~♪」
「頑張ります!」
「期待してんで♪」
「はい!!」
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新しい装備を身に纏い、心持ちも新たにダンジョンの見回りを続けた。
俺たちはただ歩き回るだけでなく、負傷した冒険者たちを治療したり、危険な魔物を共に排除したり、同行して帰還の手助けをしたりと、毎日忙しく働き続けた。
その甲斐もあってか、冒険者たちからの評判は日増しに良くなっていった。もちろん新しい装備の効果も大きかった。やっぱり見た目って大切だ。素直に頼ってくれる人も明らかに増えていた。噂が広まってからは尚の事だ。
「おい。お前たちだな。ギルドの使いってのは」
たまに……割と頻繁に、こんな言い方をされることも少なくはない。若い冒険者たちの中には、ギルドを下っ端と勘違いしている者たちもいるからだ。
きっと職員さんたちの丁寧な態度を見てそのような誤解をしてしまうのだろう。荒くれ者で高圧的な先輩たちを見て、自分たちもそうしていいのだと勘違いしてしまうのだろう。
「今からボスに挑戦する! 付いてこい!」
一人の少年が声を掛けてきた。背後には三人の仲間たちを引き連れている。
もちろんこの手の要求は飲み込めない。若者たちを危険な場所に連れて行くわけにはいかない。何かあった時に責任が取れない。仮にフィーアの治療やその他の支援でボスを倒せても、それはこの子たちの実力とは言えない。勘違いして十一階層以降に進まれても困ってしまう。だから付いてはいけない。
なんて正直に伝えても、かえって刺激してしまうだけだとわかっている。こういう子たちの対応も初めてではないからだ。
「先ずは君たちの名前とランクを聞いてもいいかな?」
「なんだと!? 誰に向かって聞いてやがんだ!!」
「それを知らないから教えてほしいんだ」
「テメェ!! 馬鹿にしてんのかっ!?」
剣士の少年は剣を抜いて突き立ててきた。
喧嘩っ早いにも程がある。他の子たちも止めようとしていない。本当に冒険者になりたての子たちみたいだ。
「ベランさん」
やばい。背後に控えたフィーアが怒ってる。
早くこの状況をなんとかしないとだ。
「もしかしてこのダンジョンに来るのは初めてかい?」
「だったらなんだってんだ!!」
よかった。会話をする気はあるみたいだ。
「初心者向けだと聞いているのかもしれないけれど、今このダンジョンは変革期に突入しているんだ。近々攻略難度DからB以上に引き上げられるそうでね。Dランク以上でなければ」
「無礼者!!」
少年の仲間の一人……少し年上の少年が声を上げた。
「この御方をどなたと心得る!!」
ごめんね。知らないんだ。
「リーンゴ王国第四王子殿下にあらせられるぞ!!」
……聞いたことのない国だ。どこか遠いところから来たのだろうか。それとも地図にも乗らないような小国だろうか。
なんで王子様が? ダンジョンに?
「失礼ですが王子殿下。冒険者カードはお持ちですか?」
「そんなもんはねぇ! 俺を冒険者なんかと一緒にすんな!」
……流石に初めてのパターンだ。
本来であれば、冒険者登録を行わずにダンジョンへ潜ったものはギルドへ通報するかしょっ引くべきだ。
とはいえ相手は王子。たぶんこの様子だと真実なのだろう。
それに冒険者たちの噂も知っていた。ギルドも彼らの存在を知っていて敢えて放置しているのかもしれない。王侯貴族には不必要に関わらないのが一般的な対応だ。
「疾く参列せよ!! これは王命であるぞ!!」
「わざわざこうして迎えに来てやったんだ! グダグダ言ってねえで案内しやがれ!!」
さてはギルド長、押し付けましたね?




