01-02.スキル検証
「ベランさんのスキル【リマインダー】が進化しました♪」
進化……? 強化じゃなくて? 進化?
……いったい何が起きたんだ?
----------------------
気がつくと自宅に帰ってきていた。
考え事をしているうちに辿り着いたようだ。
熱中しすぎて道中のことを殆ど覚えていない。
『リマインダー』
頭の中で念じると、設定済みのスケジュール一覧が脳裏に浮かぶ。
----------------------
05:00|起床
06:00|出発
12:00|昼食
16:00|帰還
----------------------
スケジュールという程のこともない。最低限の設定しかなされていない。時間になると脳内に通知が届く。時間になったと教えてくれる。それが今までのリマインダースキルだ。
依頼を受けている最中などはより細かく設定することもあるが、基本はシンプルにこの四つだけだ。あまり細かく設定しすぎてもやかましくなるだけだからだ。
いったい何が変わったのだろう。
見た感じ特に変化は……うん?
----------------------
起床|05:00
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
なんだ? 何故順序が変わったんだ?
……?
起床の時間に意識を向けてみた。
----------------------
起床|【……】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
いつも通り設定待ちの状態になった。
しかし僅かに違う。
……もしや
----------------------
起床|【日の出】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
時間以外を設定出来るようになった?
……どういうことだ?
……なんだ? これが進化なのか?
……???
……えっと。……その。……なんだ。
進化ってこれだけなのか? 五時に起きるのではなく、日の出と共に起きられるようになったと?
結局目覚まし時計と変わらないじゃないか。
シスターさんいわく、進化は強化より遥かに珍しい事象なのだそうだ。中にはそういうタイプのスキルもあるのだと。そう言っていた。
……その結果がこれか? ただ日の出を……待てよ。
----------------------
起床|【襲撃】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
……出来た。
え? これ本当に通知が鳴るのか?
寝ていてもいつでも起きられる? 就寝中に魔物が襲ってきても、隙を晒すことなく逃げられるのか?
いや。襲撃があってから起きたのでは遅いか。
----------------------
起床|【襲撃前】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
出来た……。
設定出来たということは、本当に鳴るんだよな?
試してみよう。
----------------------
起床|【エラー】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
……やはりそうだ。【25:00】と設定したら弾かれた。
あり得ない数字は設定出来ない。なら文章の場合も同じなのだろう。
----------------------
起床|【襲撃:10分前】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
これもいけるのか……。
……でもどうやって?
危機感知スキルなんかと同系統なのか?
だとしても……。
----------------------
起床|【襲撃:エラー】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
今度は弾かれた。一日前では設定出来ないらしい。
----------------------
起床|【襲撃:30分前】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
これは通った。
----------------------
起床|【襲撃:エラー】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
1時間前もダメか。
----------------------
起床|【襲撃:エラー】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
31分前もダメだった。
----------------------
起床|【襲撃:30分前】
出発|06:00
昼食|12:00
帰還|16:00
----------------------
最大でも30分前までらしい。
----------------------
起床 |日の出
出発 |06:00
昼食 |12:00
帰還 |16:00
危機Lv.1|軽度の危険:30分前
危機Lv.2|程々の危険:30分前
危機Lv.3|【重度の危険:30分前】
----------------------
おぉ……。
----------------------
起床 |日の出
出発 |06:00
昼食 |12:00
帰還 |16:00
危機Lv.1|軽度の危険:30分前
〃 | 〃 :15分前
〃 | 〃 :10秒前
危機Lv.2|程々の危険:30分前
〃 | 〃 :15分前
〃 | 〃 :10秒前
危機Lv.3|重度の危険:30分前
〃 | 〃 :15分前
〃 |【 〃 :10秒前】
----------------------
……待て待て。
この調子で増やしていく前に試してみるべきだ。
そうだ。そろそろあの子が来る時間だ。
----------------------
来客 |来客
----------------------
これでいいのか?
……。
…………。
【来客】【来客】【来客】
鳴った!
「ベラ兄! ベラ兄~!」
玄関の向こうから元気の良い声が聞こえてきた。
「いらっしゃい」
「あ♪ やっぱり帰ってた♪ 今日もいつも通りね♪」
鍋を持った少女が部屋の中へと入っていく。
この子はミリー。この共同住宅の管理人の娘さんだ。
ひょんなことから夕食を共にするようになったのだ。
「あれ? 今日はお皿並べてないね。珍しい」
「ああ、すまない」
スキルの検証に夢中になりすぎてしまった。
「いいよ♪ いいよ♪ なんか良い事あったみたいだし♪」
お見通しか。
「さあ♪ 夕食にしよ♪ 何があったか聞かせてもらうからね♪」
二人で準備を済ませて席についた。
ミリーには何があったのかを正直に話してみた。
「おめでとう!! すっごいじゃん! スキルの進化なんて初めて聞いたよ♪」
「俺もだ」
「だよね♪ だよね♪ それで? どう変わったの?」
かくかくしかじか。
「ならさならさ♪ ミリーが来る時って設定しておいて♪」
----------------------
ミリー|ミリー来訪
----------------------
「あはは♪ 絶対消しちゃダメだからね♪ ずっと残しておいてね♪ そうすればもしベラ兄が立派な冒険者になって旅立っちゃっても、ミリーのことだけは忘れないもんね♪」
「ああ。そうだな」




