01-16.空回る覚悟
「ふむ。なるほどのう」
「どうしましょぉ~! お師匠様ぁ~!!」
「なに。心配は要らん」
「おぉ!! 既に次の策が!! さすがはお師匠様です!」
「ワシが一芝居付きおうてやろう♪」
「お芝居ですか!?」
「うむ♪ あくまで芝居じゃ♪ おヌシもそのつもりで覚悟を決めよ♪」
「はい!! 私やります!! なんでもします!!」
「うむ♪ 良い心がけじゃ♪」
「して! 具体的には何をされるのですか!?」
「まぐわいじゃ」
「まぐわ……?」
「交尾じゃ交尾」
「……えぇ~~~~!?」
「声が大きいわ! 驚きすぎじゃ!!」
「で、ですが師匠!!」
「なんじゃ。目指す先が他にあるのか?」
「い、いえ! あの! それはゴールと言いますか!!」
「ばっかもーーーん!!」
「は、はひっ!?」
「ゴールとは添い遂げることじゃろうが! まぐわいも婚姻も所詮は通過点じゃ! 勘違いするでない!!」
「はいぃ!!! すみませんでした~~~!!」
「よし。ならば早速戻って始めようぞ」
「いや……えっと……」
「なんじゃ。何故戸惑う。その程度の覚悟でワシのベランを欲すると言うのか。おヌシ何でもすると言うとったじゃろうが」
「いえ……あの……そうではなく……」
「なんじゃ。気になることがあるならハッキリ口にせい」
「……それって……私とお師匠様が……?」
「はなっからベランに手を出せるのならそれでも構わんぞ」
「いや……あの……それは……」
「無理じゃろうが。じゃからワシとおヌシなのじゃ。あの朴念仁も隣でまぐわっとりゃその気にもなるじゃろうが」
「それは……無理ですぅ……」
「なんじゃと?」
「いえ! あの! お師匠様は敬愛しておりますが! ですが!! せめて初めては!!」
「そこまではせんぞ。誤解するでない」
「へ?」
「あくまでフリじゃ。演技じゃ。その気にさせるだけじゃ」
「あ……なるほど……」
「ほれ。納得したのなら」
「で、ですが!!」
「なんじゃ」
「それってお師匠様も……」
「そうじゃな。ワシも最後まで参加するじゃろうな。首尾よく行けばの話じゃが」
「……やっぱり……お師匠様も」
「誤解するでない」
「え?」
「ワシはベランを好いておるが、添い遂げようとは思わなんだ。なにせエルフじゃしの。おヌシらとは生きる時間が違いすぎる。遠慮なく混ざりこそすれ、人生を共には出来ん」
「お師匠様……」
「それはおヌシの役目じゃ。ワシはおヌシを見込んで託すのじゃ。ワシが手塩に掛けて育てたベランを任せられるのはおヌシだけじゃ。受け取ってくれるな?」
「は、はい!! ベランさんは必ずや私が幸せにしてみせます!!」
「うむ♪ 期待しておるぞ♪」
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「……zzz」
「……寝てますね」
「寝とるのう」
「……明日にしますか」
「それしかないのう」
「あ! ちょっ! お師匠様!? なんでベランさんのベッドに!? そこは私にお譲り頂けるのでは!?」
「おヌシも入ればよかろう」
「流石に狭すぎます!?」
「ワシは構わんぞ♪ ほれ♪」
「なんで脱ぐんですかぁ!? しかもそんなにピッタリくっついて!!」
「おヌシも脱いで入ってこい♪ 目覚めたベランの反応が楽しみじゃのう♪」
「体張りすぎです!! お師匠様ぁ!!」
「なんじゃ。ワシに負けると心配しておるのか? まあ、その時はそれまでじゃな。ワシの見込み違いじゃった。フィーアはベランを託すに相応しくなかった。そう割り切ってワシが見届けるとするかのう」
「なっ!? ななな!?」
「ほれ。おヌシはどうするんじゃ?」
「や、やります!! やるに決まってるじゃないですか!」
「うむ♪ その意気じゃ♪ やはりワシの目に狂いはないのう♪ 孫の顔を見れるのもそう遠くはなさそうじゃ♪」
「ままままままご~~~~~~!?!?」
「……うぅ」
「ほれ。大きな声を出すと起きてしまうじゃろうが。寝る子は起こすでない」
「はわわ~!?」
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翌朝。
「フィーア。なんでそんな格好なんだ。風邪をひくだろう」
あ、あれ……? 思ってた反応と違う……。いえ……ある意味予想通りではあるんですが……。
「師匠も。またこんな格好をして」
またしても慣れた手つきで、まだ寝ているお師匠様に服を着せていくベランさん。
……これってお師匠様のせいなんじゃ?
ベランさんが女性の裸体に慣れてるのって、お師匠様が昔から見せつけてきたせいなんじゃ?
……。
私の覚悟はなんだったのぉ~……。




