01-11.ダンジョンの変化
「え~~~い!!!」
「グルァッ!?」
凄い! 一発成功だ!!
「フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!! フロストバインド!!!!!!」
うわわ!? ちょっ!? 危なっ!?
「グルァァァァァ!!!!」
「よし!! これで……あれ?」
む、むごい……。
四肢だけが凍りついて砕け散ったウルフが、床に転がって藻掻いている。
早くトドメを刺してやろう……。
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「す、すみません……」
「いやいや。凄かったよ、フィーア」
もう俺要らないなぁ。あのウルフすら捕らえてしまう魔術だ。斜め上へ飛んでいってしまうファイヤーボールと違い、地面を這うように飛んでいく冷気の塊だから、命中率もそう悪いものではないし。
「おい。バカなことを考えるでないぞ、ベラン」
「え? 何の話ですか? 師匠」
「惚けるでない。前衛は変わらず必要じゃ。特にフィーアの魔術に巻き込まれる心配の無い前衛なんぞ、世界のどこを探してもおヌシ以外にはおるまいよ」
「ですが……」
「必要じゃ。命中する前に突っ込んでこられたらどうするのじゃ。だいたいおヌシは無傷じゃろうが。つまり敵もおヌシに気を取られておらねば回避は可能なのじゃ」
なる……ほど……。
「おヌシが前に立っておるから敵はフィーアに近づけんのじゃ。それをくれぐれも忘れるでないぞ」
「そ、そうです!! ベランさんのお陰です!!」
流石に甘やかしすぎではなかろうか……。
「……世界に一人は言い過ぎです。危機感知などのスキル持ちならば同様のことは可能です」
俺よりずっと使いこなしている者たちがいるだろう。或いは師匠のように、スキルに頼らずとも経験と身体能力の高さで似たことを出来る者たちだっているだろうし。
「わかっとらんのう。おヌシだからフィーアは全力を出せるのじゃぞ」
「そうですよ! ベランさん!!」
「信を置く者が前におるから専念出来るのじゃ」
「そうですよ! ベランさん!!」
「何よりフィーアはおヌシにホの字じゃからのう♪」
「そうですよ! ベランさん!! 私は!! てっ!? えぇぇぇぇぇ!? ちがっ!! じゃなくて!! えっと! お師匠様ぁ~~~!!! 何言ってるんですかぁ~~!?」
「照れるな照れるな♪ 人の生は短いのじゃ♪ グズグズしとったらチャンスを逃すぞ♪ ベラン程の男前はそうそうおらんしのう♪ なんならワシが」
「それはダメです!!!」
「じゃろじゃろ♪」
「お師匠様!! 私!!」
「うむ♪ 覚悟を決めたようじゃのう♪ よかろう♪ よかろう♪ ワシが手ほどきしてやろうぞ♪」
「はい!! お願いします!!」
……何の覚悟だろう。
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「ここ本当に初心者向けのダンジョンなんですか?」
三十層目のボスは巨大な蟹だった。しかも謎に再生能力が高く、フィーアのファイヤーボールもフロストバインドも、自らの手足や爪を切り落とすことで対策してくる始末だ。
切り落としてもすぐに再生するからと、躊躇無く俺たちより巨大な爪を壁にしてくるのだ。なんならそれを投擲までしてくるし。流石にあの攻撃は危なかった。師匠が守ってくれなければ、フィーアを失うところだった。
「確かに変ですね。ここのダンジョンは十一階層までだって……以前聞いたことが……ありました……すみません」
それはもっと早く気付いてほしかった……。
「ふむ。バグったかのう」
「バグ?」
「ダンジョンがその内容を変える事自体は珍しくもないのじゃ。とはいえここまで急激な変化を起こすことは稀じゃ」
ふむふむ。
「あれじゃな。十階層のボスと二十階層のボス。奴らを幾度も幾度も倒したじゃろ。きっとその度に次の階層が追加されておったのじゃ」
えぇ……。
「ふむ。ワシも失念しておった。うっかりじゃ。許せ」
自分たちは良くても他の皆には迷惑になるんじゃ……。
「心配は無い。ダンジョンがデカくなって困ることなんぞ無いからな。十階層までの魔物共が強くなるでもなし。階層が追加されたのなら迂闊に潜らんのが鉄則じゃ。そんなことも守れん冒険者が命を落とそうが自己責任じゃ」
「ですが俺は知りませんでした。他にもそういう人たちが」
「それが甘えじゃと言うとるのじゃ」
でも……。
「だいたいここらのわっぱ共では十層のボスすら倒せんじゃろうが。であらば更に奥へ進むなんぞ夢のまた夢じゃ。本来階層ボスとはそのためにこそ存在するのじゃ」
俺たちみたいに周回と称して乱獲するのは普通じゃないんですね。やっぱり。
「まあ気にすることもあるまい。精々次にギルドへ顔を出した際に叱られる程度じゃ」
「叱られるようなことしてるんじゃないですか……」
「違うぞ。階層を増やしたことではなく、増えていることを報告せんかったことじゃ」
「だから良いという話ではありません。師匠」
「悪かったと言うておるじゃろうが。こまいこと言うようになりおって」
「報告に戻りましょう。どのみち今の俺たちでは三十階層のボスには勝てません」
「そうじゃのう……あれは確かに厄介じゃのう……」
考え込み始めちゃった。これは暫く動かないかも。
仕方ない。
「失礼します。師匠」
「うむ……」
返事を確認し、師匠を抱え上げる。
「えぇ~~~!?」
なに? どうした? フィーア?
「いいなぁ~……」
「流石に両手が塞がるのは危ないかなぁ」
師匠もフィーアも小柄だから片腕ずつで運べないこともないけども。帰りも魔物いるだろうから。
「はっ!? い、いえ!! なんでもないです!!」
「そっか。ありがとう、フィーア。行こうか」
「はい! ベランさん!!」




