最強じゃない俺たちと真実の鏡 第4話
「実はオレたち、学園長に一日でも早く旧校舎の鏡を取り外してほしいって頼んだんだー」
「な、なんだって!」
思いがけないことにアズラクが戸惑い、慌てる。
「早く取り外す代わりに、職人さんたちを手伝うように言いつけられたわけですが」
「駄目だった?」
バルトシュが笑顔でかわいく言ったが、アズラクは図書館へ走って行った。
双子もあとを追いかけたが、アズラクがブラム先生に楯突くという、見ていてあまり気持ちよくない光景見る羽目になった。
「俺が動かないと、ミナ·ハーカーが」
「古文書によると、鏡は奪われた魂を返さないと言われている」
「でも」
「救出に向かった者も取り込まれる。私はきみを行かせたくない」
「……そんな」
ブラム先生が厳しい表情で言った。
「これ以上、踏み込んではいけない。あとは退魔師に任せて、安全なところにいるように」
「しかし」
「これは命令だ」
教師の権限で学生の行動制限ができる校則があるので、アズラクは引き下がるしかなかった。
「ブラム先生のお言葉に賛成です」
図書館を出たあと、双子と鉢合わせする。
「それでも行きたい」
「今回は違うよ」
バルトシュが止めるが、アズラクは聞かない。
「放っておけない」
「オレたちはおまえを失いたくない」
初めて三人が対立した。
アズラクが立つ。
バルトシュも立つ。
アズラクが廊下に出る。
ニアレシュも付いて来る。
「おまえら……」
「監視だよ」
トイレに行く時まで付いて来たバルトシュを、アズラクは説得して見逃してもらうつもりだった。
「トイレくらい一人で行かせろ」
「駄目」
「『真実の鏡』を壊せば、ミナ·ハーカーを助けられると思うんだ。危なくなったら、一緒に逃げる。バル、おまえなら話がわかるだろ」
「駄目」
愛敬なく断られた。
意外な結果にアズラクは驚くが、バルトシュは頑固だ。
「オレは臆病だから反対するんじゃない」
「ミナがどうなってもいいのか?」
「どうでもいいわけじゃない」
「それなら」
「でも、あの時も十分死にかけただろ」
「…………!」
これにはアズラクも黙るしかない。
「アルノルトと戦った時のこと覚えてる? 突撃するおまえを見た時、死ぬんじゃないかって、死にそうな思いでいた」
「……」
トイレから出ると、ニアレシュが待っていた。
「僕たちは十分見た」
「アズラク、おまえが傷つく姿をもう見たくない」
アズラクが両手の拳を握る。
「あの時、俺たちは誰も見捨てなかった」
「アズ?」
「だから今回も見捨てない」
するとニアレシュが、
「今度はあなたが死ぬかもしれません」
と言い返した。
「……」
アズラクは返す言葉もない。
吸血鬼は言葉を解するだけあって、平行線で終わったが、話し合うことはできた。
だが、今回の『真実の鏡』に言葉は通じない。
しかし、言葉が通じる双子と意見が対立し、監視されるという状況になった。
夜になると、バルトシュとニアレシュがアズラクの剣や荷物を隠した。
深夜。双子が寝たと思ってアズラクがこっそりと起き上がる。
眠っている双子を見て、アズラクが呟いた。
「ごめん」
それからメモ用紙に同じ言葉を書き、そっとドアを開けた。
続く
お疲れ様です。
お読み頂き、ありがとうございます。
次の更新は2026/07/21です。




