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第29話 発展発展。

「ここがアルス様が住んでいる村なんですね」


 リリがパレット村にやってきた。村人たちは突然の聖女に戸惑うも、「綺麗な人―」と声を上げる。

 返り血は洗っているのと、棍棒は没収しているので、今はマジ普通の人に見える。

 エレナが、俺に向かって目を細める


「アルス()、はお仲間が多いんですね」

「やめてください」


 どうやら、リリの様づけが気に入らないらしく、あえてつけてくる。


 エレナたちが帰って来ないので見に行ったら、なぜか3人で限界バトルが始まっていた。

 聞けば、リリは俺を探しにここまで来たという。


 前から変なやつだと思っていたが、俺を悪党から助け出したいらしく、エレナを悪党だと思っていた。


 で、説明した。


 ――悪党だったのは俺なんだと。

 実際は知らなかっただけなんだが、大人になった今、そんなことは許されない。


 ただ、誤解も解けたということでひとまずパレット村に連れてきた。


「え、この魔法手錠ってリリのだったの!?」

「はい。でも、アルス様だったら構わないですよ? 大事にしてくださいね」

八咫烏(やたがらす)だけでなく、多くの宝を奪っていたというのか。それならば、怒っても仕方がないな」

「へえ、へえ、へえ、へえ? なるほど、なるほど、なるほど?」


 また、凄まじい事実も発覚。

 俺は、二人の大事なお宝を奪っていたのだ。


 それを知った乙葉は、リリに対して理解を示す。


 エレナは、よくわからないが語彙力がゼロになっていた。


「乙葉ちゃん、なんだかごめんなさいね。ちょっと、頭に血が上ってしまっていて」

「いや……こちらこそすまないな。お宝が奪われてしまったのならば、怒っても仕方がない」


 リリと乙葉は、お互いの境遇が似ていることからか絆みたいなものができてきている。その要因、いや元凶は俺かもしれない。



「エレナ」

「……なんですか?」

「色々と巻き込んで悪いな。全部、俺が悪かった」


 エレナはまったく関係がない。

 リリと戦って怪我をしていたのかもしれないので、謝罪した。


 少し不満そうだったが、それでも笑顔を見せてくれる。


「謝らないでください。アルスさんは、私を地獄から救ってくれたんですよ。感謝しかしていません」

「そうか、なら良かったが」

「でも、これから知らない人が尋ねてきたりしたとき、事態を把握していないと大変なことになるかもしれません。――もう、何もないですよね?」



 うぐ。

 俺は記憶を辿ってみる。

 正直、乙葉やリリは結構な頻度で王城に忍び込んできていた。

 そのためよく戦っていたので、覚えている。


 だが、頻繁ではないにしろ何度か来た敵はいる。


「思い出したら言います」

「あるんだ」

「いや、俺もここ最近色々あったし……わかるだろ?」


 怒られるかな? 怒られるだろうな。


「まあそうですね。でも、楽しいからいいですよ。アルスさんと知り合ってからは、毎日が退屈しないです。何もなかった私の日々でしたが、これだけ多くの人と関われると思いませんでしたし」

「エレナってやっぱ優しいよな。逆なら俺は憤慨してそうだ」

「実際は結構怒ってますよ?」

「すいません」

「ふふふ、冗談ですよ。――リリさん、悪い人ではなさそうですし、村の人たちも喜んでいますね」


 乙葉が、なんとリリをパレット村に案内している。

 実際に本当の聖女なことと、村人たちも高齢の人が多いので、みんなありがたいと拝んでいた。

 そういえばこの村に教会はないな。信心深いわけではないが、神への祈りは魔法とも親和性が高い。


「うお、聖女様だ……綺麗ですね」

「あら、ありがとうございます」


 硬派なアナグラムですら、リリの姿を見て驚いていた。

 棍棒持ったあの姿を見たら戦いたくなるのかな?



「あ、そうだ」



 それから俺は、リリをドナーさんの元に連れていった。

 彼女は元商人で、様々なコネも多い。


 剣を手に取り、そして――。


「確かにこの武器は凄いですねえ。金貨1000枚、いや1500枚はいけそうですよ?」

「マジかよ。そんなにか!?」

「はい。鉱物も凄いみたいですけど、ドナー様の技術のおかげですねえ」

「ありがてえ……聖女様にそこまで言われるなんて……」


 剣を目利きしてもらい、やはり高値で売れるとわかった。

 ドナーさんは喜んでいるが、聖女がなぜ剣に詳しいのかというところにも注目していただきたい。


「リリ、この剣はどこで売れそうだ?」

「そうですねえ。――ミフィ国に商人の知り合いがいますので、買い取りのお願いを頼んでみます? 多分、すぐ飛んできますよお」


 ミフィ国は四つの大国の一つだ。

 経済大国で、一番発展しているとも聞いている。


 平和条約が破られているのと、一度村が襲われたことも伝えた。


「これほどの剣だと貴族様を取引相手にするのがいいと思うので、そのあたりは問題ないと思いますよ? 一度見てもらって判断してもらうのがいいんじゃないですかねえ」

「そんなことできるのか?」

「できますよ?」


 するとリリは口笛を吹いた。

 どこからともなく鴉が飛んできて、リリの右肩に乗る。

 スラスラっと手紙を書いて足に括り付けると、どこかに飛んでいった。


「これで来ると思いますよお。仕事早い人なんでえ」

「マジか。なるほど、空なら手紙は検閲もされないもんな」


 まとまったお金と商人がいれば、村はもっと発展していくだろう。

 貴族相手に村の価値があると判断されれば、誰かに襲われることもなくなりそうだ。


 ただ、全部が全部高い商品だとそれはそれで危険だな。


 そのあたりは、今後ドナーさんと話し合っていこう。



 しかし、段々と凄いことになってきたな。

 豊富な資源に土地柄の特性(温泉魔力)。

 それなりに戦える奴らもいるし、経済が発展すると危険も増えていくだろう。


 そろそろ、後ろ盾(・・・)が欲しいところだ。



「あ、リリ、パレット村気に入りました。ずっと、ここに住みます」

「え?」



 あと、リリが永住権を手にした(強制)。


 教会も、作りたいらしい。


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