表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボマー松永久秀の投資戦略  作者: 斎藤 恋
松永家拡大編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/68

第65話:土御門有春と話した。蔵入地について決定された

◇永正一八年二月


朝廷の蔵入地が京南部に設置されることが決まり、各寺社も実際にその活動のために人手を集め始めている。

西岡も、俺達からの推挙もあって、向日神社と勝龍寺が治める土地になることが決まっている。


過去の三好之長のせいで、地元の国人達はほぼ壊滅状態の為、逆らう者が全くと言っていいほどまでに存在していないことも、開発が一挙に進む原因だった。


朝廷も、その上がりには期待している上に、武家からの横槍もほぼ存在しないという最高のタイミングだった。

内藤家や六角家からすると、多少微妙な心境なのだろうが、元々が東寺や伏見稲荷などの大手寺社の土地であるために弁えているのだ。


細川澄元としては、「これらの土地は自身のものだ!」と主張したい気もあるらしいが、三好のやらかしの賠償といった話を出されては、受け入れざるを得ないのだ。


朝廷にとっては、「三好之長、唯一の功績だ」などと皮肉る者もいると言う話だ。



「あれらの土地が、松永の…いや、座の技術全てを投入した土地となれば、どの程度の上がりとなるかね?」


土御門家の主人が、俺に向かってそう問うてきた。


「そうですな……、薬剤を土地に馴染ませるまでに五年は最低でも掛かりまする。それ以降ということであれば、米の石高だけで二万は硬いでしょうな。」


「二万…?二万石だと?」


「えぇ。米だけで二万石です。裏作の麦や大豆、あとは畑も作るとなれば、それだけでも一万石はあるでしょう。全部で三万石ほどでしょうかな。全ての田畑で、食料を作った場合ですよ?」


「三万石が、毎年入ってくるのか……?」


「いえいえ、五公五民だとしても、半分でしょう。」


「あ、あぁ……そうか。民の分も残さねばならんよな…。」


「それだけではありませんがね。東寺や稲荷、八幡宮などの各種寺社にも配分がありますから。」


「あ……となると、もっと少ないのか?」


「ざっと、朝廷が一だとして計算するなら、三〇〇〇石辺りでしょう。」


「………そうか、その程度か。」


「いやいや、貫文になおせば三〇〇〇貫文ほどですよ?!」


「あ……しまった。最初の数字に釣られてしもうたな。」


「びっくりさせないでください。それと、ここに巨椋池に繋がる三川の運上金も加わりますからな。これが大体二〇〇〇ほどでしょう。朝廷が四〇〇貫文でしょうか。合わせて、三四〇〇貫文の年間収入となりますな。」


「三四〇〇貫文………。」


「これだけの収入となると、やはり今度は銭そのものの心配が勝ちますなぁ…。今のこの国には、銭が少な過ぎますから。」


「……?そうなのか?」


「えぇ。朝廷や我らで、この国の銭の過半以上を取り込むこととなりましょう。そうなれば、銭そのものの価値が下がってしまう。」


「銭そのものの価値……?」


「えぇ、そうです。銭が銭として認めれられなくなるかも、という話です。」


「大問題ではないか!」


「そうなのですよ…。大陸からの輸入も、制限がかかっていると聞いたこともございます。どちらにせよ、アチラから入手するだけでは少なすぎる……。」


「ここでは作れんのか?」


「作れるには作れまする。しかし、材料が全く足りません」


「何がいる?銭といえば、銅辺りか?」


「そうですね。銅と錫が必要でしょう。しかし、ウチの銅山だけで賄うのはかなり厳しです。それに、銭そのものの持ち運びが大変すぎる。どうせなら、もっと持ち運びしやすいものを銭にできればよいのですが……」


「持ち運び、か…。確か、甲州では金を使うとも聞いたが…?」


「悪くない提案です。しかし、当家の領内に金山はございませんから。」


「甲州の者に……いや、それができれば、もっと量が出ておるか。」


「そうですな。甲斐の武田家などが、甲州金などと言って金を出しておることは、私も存じております。しかし、絶対数が少なすぎる。どうにもなりますまい。どうせなら、西の銀を使った方がよろしいでしょうな。」


「西?銀だと?」


「西には大きな銀山がございますぞ?」


「生野のことを言うておるのか?」


「えぇ…(石見にもあるんだがな)」


「しかし、銀、か…。」


「どちらにせよ、当家では所有しておりません。この辺りは朝廷が考えねばならぬでしょうな…。」


「そうか……。では、その辺りも話しておくべきか?」


「さて……、話し過ぎて煙たがられる恐れも御座います。我々は少々やり過ぎておりますからな。」


「むぅ…、それは、あるだろうな。というより、近衛様からも、これ以上の介入はするなと釘を刺されておる。どうにもならんか……。」


「当家でも、案は御座います。しかし、そのどれもに時間がかかり過ぎますからな。最低でも五年はいただかなくては、どうにもなりません。」


「五年で良いのか?なら、早急に始めて欲しいのだが。」


「最短で五年、で御座いますよ。戦や妨害があれば、もっと時間はかかることでしょう。」


「ふむ…?私にできることはあるか?」


「そうですな…。私が欲しいものに、綿花があるのです。三河の地には、それがあると聞いております。土御門様の伝手で手に入りませぬか?」


「綿花?日の本にもあったのか?大陸からの輸入品だと聞いておったが。」


「あるらしいですな。稲荷などの方にも頼んでおるのですが、芳しくありませんで……。」


「そうか…。よし、公卿の伝手を使い探ってみよう。銭は、出せるのだよな?」


「もちろんです。対価は惜しみませんよ?……流石に一万貫文だせ、などと仰られると無理になりますが。」


「ふはははは、そこまでは言わぬ。だが、数貫文か数十貫文は覚悟しておいてくれ。」


「その程度であれば、問題ありませぬ。」


「程度、と言うか。笑わせてくれるわ。はははは。お主も私も贅沢になったものよな?」


「くふふふ、それはもう。土御門様のお陰にございますれば。」


「思うてもおらんことを、よう言うわ!ふふふ、まぁ良い。綿花であったな。他にはないか?あるなら、今のうちに言うておけよ?」


「他、ですか?……そうですな。強いて言うなら、唐国や他国から来た変わった植物、その種などがあれば欲しいですな。」


「種、だと?そんなものがいいのか?もっと、良き人材だとか、書物の類が良いのかと思うたが…。」


「良き人材など、大抵は囲われておりますよ。それに、書物の類は、図書寮の方に納めていただければ結構ですから。」


「そういえば、図書寮も始まったのだったな。当家の者も、写本に忙しいと嘆いておるわ。嬉しそうな顔での?ふふふ」


「それは、良ぉございます。」


「あぁ、あのような顔を見たのはいつぶりか。嬉しいことよ。お主のお陰で、当家も朝廷も潤っておる。先が明るく見えたのはお主がおったお陰よ。近衛殿も、随分と喜んでおった。三条殿もな。」


「左様でしたか。そのお言葉だけで幸せの極みにございます。」


「官位の話も正式に進むぞ?最初は、主計頭だが、そのうちもっと上がることになるだろう。」


「官位は、そこまで望んでおらぬのですが……。」


「そうも言うておれん。どちらにせよ、当家とも縁続きであるしな。だが、必要以上に上を目指そうとするなよ?お主の巻き添えで、当家まで被害にあっては敵わん。お主であればないとは思うておるが…。」


「はい。上の官位を目指そうとも思うてはおりませぬ。将軍などになったとしても、当家に利はありませぬし…。」


「だの…。私も今のままで良いわ。近衛殿などを見ておると、苦労しかしておらぬように映る。あのように苦労するためだけに位を上げるなど、私はごめん被りたい。」


「私もです。しかし、私のような家の歴史浅い者とは違い、土御門様のような方なら、家の為にももっと上の位を望むべきなのではありませんか?」


「いや、我らは安倍晴明より続く、陰陽師の家系ぞ?暦やそれに関することならまだしも、それ以外の職務や役など欲しゅうないわ。貰うても、使いようがないであろう。」


「そうですなぁ…。孫が帝に、などと、仮に言われたとしても、どうして良いか分かりませぬしな。」


「であろう?そのようなことになれば、相応の立ち居振る舞いも求められるのだぞ?さらには、欲深な公卿らとの長い交渉もいる。我らのような実務を担う者にとっては、貰っても使いようのないものだからの。」


「なるほど……。それを聞いて安心いたしました。」


「したか?」


「えぇ。私も、今の立場だけでも大変だと言うのに、それ以上を求められても、どうしようもございませんからな…。」


「だが、五摂家の方の中には、そうした立場を望む方もおられる。武家を利用しようとされておる方もな。」


「…………左様ですか。気をつけねばなりませぬな。」


「そうだ。我らは良い。問題は主よ。引き抜きの為に声が掛かる恐れがある。気をつけよ。」


「……はい」



土御門有春は、俺に対して、朝廷のドロドロした内情について話して聞かせてくれた。

警戒すべき家があること、名目を付けて、朝廷内の争いに引き出してこようとする者の存在があることなど、だ。


実務官僚である土御門家には言って来ずとも、その被官と見なされている松永家には、引き抜きやひっかけのような罠が仕掛けられる恐れもあるということを。


朝廷が安定化することで、史実では表立って出て来なかった問題も、表舞台に噴出するようになる。



俺は、その可能性について、まるで検討していなかったことに気付かされてしまったのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ご読了ありがとうございます♪

⭐︎の評価を頂けると喜びの余り、執筆速度が加速します

(*,,˃ ᵕ ˂ )✰*


"Fantia"でも【斎藤家協同組合 (斎藤 恋)】という名で活動しております。たくさんの小説が組合にはございます!読書好きの方は、是非どうぞ!無料で読める作品もいっぱいですꉂ(˃▿˂๑)

"URL"はXにて。


先行公開も行っておりますので、また来ていただけると嬉しいです!


詳細は"X"にて"@SaitoRen999"で検索ください。面白かったら、X経由でも応援いただけると幸いです。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ