表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボマー松永久秀の投資戦略  作者: 斎藤 恋
松永家拡大編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/68

第52話:石山郷を掌握した

◇永正一五年一一月下旬

◆元武藤邸


「邸内を浚え!財宝に食料、全てここに集めよ!財を懐にしまうのは良いが、勝手にしまった者は、配給を減らされるから、そのつもりでな?」


笑みを浮かべつつ、俺は配下に警告を送る。

多少の財貨を持ち出したところで、こちらに大した損害はない。

しかし、食料を無駄に食われることだけは、避けたかった。



「若!食料、財の類はこれで全てかと思われます。」


一刻ほどして、邸内の財と食料が集められた。

財といっても本当に大したものはなく、精々が五貫文ほど。

食料も二〇石ほどの米と雑穀があるだけのようであった。



「本当に、追い詰められておったのだな…。」



逸見や延永の圧力で、締め付けられていたことがよく分かる残量だった。

兵の数も多くなく、食料も不足している様は、先の見通しのない暗い暗い山道を歩いているような光景を想像させた。



「しかし、どうするか…。多少なりとも、この地を安定させたいが…。」



これから、この地から周辺を支配していかねばならない。

その為には、この地の住人には、少しでもこちらに親身になってもらう必要があった。



「では、食料を配っておくのは如何でしょうか?」



そう言って、俺に伝えてきたのは、新しい秘書官の瑞樹だ。

ちなみに、孤児上がりの女の子。

適当な孤児の子に教育を施して、秘書官という役職を与えているのだ。


まだ、一四歳程度なのでできることも少ないが、それでも俺より三つ歳上だ……。



「食料か…。悪くはないな。だが、城にある分だけでは少なくないか?」



城にあった食料は、精々が二〇石。

これでは、本当に大した量じゃない。

何かしらの味付けしたとしても、一瞬でなくなるだろう。



「では、村に行って集めてみては?」


「村で?しかし、それでは反感を買うのでは…?」



こっちの意見は、瑞樹ではなく信克。

もう一人の秘書官だ。流石に女の子ひとりでは、使えない場所もあるからな。



「いえ、問題ないでしょう。あの武藤に味方する名主などもいたでしょうし、溜め込んでいる輩もいるはずです。それを村の者に知らしめれば、こちらの評判も大きく伸びるでしょうから。」



食料は、強欲に溜め込んでいるものからせしめる。

信克はそう言っているのだった。



「………悪くないな。よしっ!郷の庄屋や指導者層の連中をまずは捕えよ!こちらに味方する者もおろう。しかし、それを精査するのは後だ!行け!」


「はっ!」


部隊を率いる者の一人、幸助に指示を出した。

今この地にいるのは、一色義清と護衛数人。あとは、俺の部隊二〇名の計二五名だ。

正直、場所によってはあちらの方が人数は多いだろう。


しかし、俺の部隊は、ここ数年で鍛え上げられた精鋭だ。

未来日本の知識を使って育て上げたことで、筋肉の質が違う。完全なマッチョである。

ついでに言っておくなら、この名田庄の地に来てからは、野盗連中の征伐も行っている。実践経験も豊富なメンツなのだ。



「行ってまいります!」


「おう、行ってこい。気を抜いてやられんなよ?」


「はっ!」



大きな声で返事するその者らを率いて、着実に昇進を果たした幸助が石山郷の有力者を捕らえに走っていった。



「あとは任せるか…。」


俺は、残った三名を指揮し、配給する食糧のことを考え始めた。



「……穀物は粥にして…、あとは、骨でも煮込むか?」



少しでも腹が満たせるように、頭を捻りながら…。



────────────────────────────



「久秀様。石山郷の庄屋、そして町の指導者層にあった者を捕らえて参りました。」


「うむ、ご苦労。で、反発はあったか?」



半日ほどして、幸助が帰還した。

連れられてきたのは、石山の庄屋や指導者層の立場の者とその家族、合計一二名ほどを幸助らは捕らえてきた。

とは言っても、男女とも家族丸ごとでの数だ。



「ありました。しかし、大したものでもなく、すぐ鎮圧できました。」


「よし、よくやった。……で、蔵に食料はあったか?」



それが一番の重要事だった。

食糧の配給で、この地の者の支持を得るのだ。そうすることで、ここ石山を安定させねばならなかった。



「ありました。全部で……二五石、と言った所でしょうか?」


「二五……、武藤の屋敷にあったものも合わせれば、四五石か。なかなかの量だな。」



しかし、石山郷の人間は、聞いた限りおおよそ二〇〇名。

一石とは一人の人間の一年分の食料だから、四五石だと単純計算でおおよそ1ヶ月半しか保たない。


これでは、次の収穫までここにいる者の食料を賄うことはできなかった。


「……とりあえず、粥にしろ。あと、掘り返してきた骨は、どうなっている?」



俺は事前に準備させていた動物の骨を、火に焼べさせていた。

ここからするのは、未来日本人なら誰もが思いつくかもしれない飢餓からの脱出法だ。



「しっかりと焼いたか?」


「はっ!焼きましたが……、これをどうなさるのでしょう?ただの骨、ですよね?」



俺はそれに答えず、目の前で作業だけを観察させておく。



「こうして、骨についた泥などを洗い流し、付いている肉片などはしっかりと焼いて消毒する。ここにあるのは、そうして集まった骨なわけだが、それはいいな?」「……はい」



「じゃあ、次だ。次に行うのは粉砕だ。この棒で、しっかりと骨を潰して砕いていくわけだ。念入りに火にかけているから、この骨も砕きやすい。……理解できたな?お前らもやれ。」「え……は、はい」



そうして、何人もの手隙の者が、焼いた骨を砕いて粉末にしていった。

動物の骨には、様々な栄養が含まれている。骨の内部には骨髄もあるし、こういったものが溶け込んだのが、未来の日本でもある豚骨スープといったもんだ。


だから、いわゆる豚骨の素を取り出す作業なわけだ。

しっかり砕かないと、骨片が歯に付くので厄介だが、それでもしっかり焼き入れさえすれば砕きやすくはなっている。


砕いた後の骨粉は、水で煮出すのだ。あとは、その煮出した汁で米や雑穀を混ぜたものを粥にする。

そしてできるのが………


「この松永久秀特製、白湯粥ぱいたんがゆだ。お前らも一口食ってみろ。」


「……へ、へい。」


ゲテモノ食わせんのか…?とでもいいたげな表情で、兵士のみんながこちらを見ながら匙を口に入れていく。

しかし……「……うまっ」「お、おい、マジか…。」「すごっ……」



「美味いか?だが、これ以上食うんじゃねー!お前らには、食いもんがあんだろうが!」


「そ、そんな若様!」「そうですぜ!こんな美味いもん食わせといて、お預けなんて酷すぎやす!」



兵らからは、不平の声が上がりだす。

だが、ここにあるのは、郷の者からの支持を得るための食料だ。

この連中に食わせてやるためのもんじゃない。



「阿呆。作り方なら、今教えたろうが!テメェらで作りやがれ!このすっとこどっこいが!!」


「あ、そうか」「いいんですかい?勝手に作りやすぜ?!」「おい、空いてる鍋用意しろ!」



各々が、早々に行動を始めやがった。

まだ、個々ある食料を配る仕事も待ってるんだが……



「あの、阿呆共……。はぁ……ちっ…。」


俺は、舌打ちしつつ、数人の残った者と共に食料を運び出す。

集められた石山郷の者たちへ、集めた食料を配って回るのだ。



「聞け!ここにある食い物は、この地を治めておった武藤や、その一党が溜め込んでおった食い物で作った飯だ!ここにあるだけで、一月半は保つだけの量がある!お主らの中には、既に食い物の尽きた者もおろう!いや、ほとんどがそうなはず!」


俺は、そう叫んだ後で周囲を見渡す。

既に飢えが顔に浮かびつつある者も多い。

飢餓というのは、人を狂わせるのだ。



「だが、我らは、武藤とは違う!我らの名は、松永!土御門家に仕える武士、松永である!我らはこれより、奴らが溜め込んでおった食料を配る!皆々食いたければ並べ!これから、毎日こうして配るからな!我らにしっかり従え!従えば食わせてやる!」



ゆっくりと、人は並び始める。

本当は、飛びかかるように食いつきたいのだろう。

しかし、俺はそれをひとりひとり宥めすかし、ゆっくりと食べるように伝えていった。


鳥取の餓殺し。その先例を……いや、まだ起きていないから、洗例ではないか?

先例を生かすために。



「リフィーディング症候群は避けたいからなぁ……」




石川郷の住民は、一夜で俺の支持者になった。

以降、松永家への忠誠を、住民皆が誓うようになる。



====================


◇人物紹介

信克のぶかつ

秘書官の一人

一四歳。

孤児の時に久秀によって拾われている。

食料を溜め込むのではなく、与えてくれる久秀に心酔している。

武芸は得意ではないが、情報の取りまとめが上手い。

元父に、集めてきた食料を奪われたり、食事に関するトラウマが多い。

そういったトラウマから、他者に分け与えられる久秀を尊崇している。

なお、もうひとりの秘書官の瑞樹とは恋仲にある。

それと、元々の名前はもっと違ったものだった。秘書官になる際に、久秀から付けてもらったのが、今の名である。

苗字も、酒咲さかさきという苗字を与えられている。


瑞樹みずき

秘書官の一人

一四歳。

孤児の時に久秀に拾われている。

初めて会った時に、久秀に恋をしている。

しかし、その後桜とも出会い、桜の美しさによって恋心を粉砕されている。

一時期、桜のことを信仰していた。

秘書官に抜擢されてからは、同僚らと打ち解け、信克と親身になる。

結果、お互いに恋仲となり、男女の仲となっている。

太っている者が嫌い。久秀に集められた孤児たちは、時代的には変わっているが、肥満体型の者を嫌悪する傾向にある。


・幸助

兵士の一人

一九歳。

以前は、久秀の奉公人をしていた。

ガタイがよく、兵として引き抜かれた後は伝令将校から、久秀直属の親衛隊として働くようになっている。

普段は、道三の下でめ組の組長として働いている。


====================


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ご読了ありがとうございます♪

⭐︎の評価を頂けると喜びの余り、執筆速度が加速します

(*,,˃ ᵕ ˂ )✰*


"Fantia"でも【斎藤家協同組合 (斎藤 恋)】という名で活動しております。たくさんの小説が組合にはございます!読書好きの方は、是非どうぞ!無料で読める作品もいっぱいですꉂ(˃▿˂๑)

"URL"はXにて。


先行公開も行っておりますので、また来ていただけると嬉しいです!


詳細は"X"にて"@SaitoRen999"で検索ください。面白かったら、X経由でも応援いただけると幸いです。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ